はぁ…
どうしてこのところ、急な出張が多いんだろ。
会社に頼りにされてるのは嬉しいけど、出張に行くと、彼に会えなくなる。
ただでさえ忙しい彼なのに…
さみしいな…
とはいえ、彼も大阪でのコンサートだから、あたしが出張に行かなくても、会えないんだけど。
そんなことを思いながら、窓の外を眺めていた。
すると突然、LINEのメッセージを受信した。
ーやっと新幹線。到着がギリギリになりそ。
ーお疲れ様。あたしも新幹線に乗りました。お互い、仕事、頑張ろうね。
ちょっとした時間にも連絡をくれる彼。
すごく嬉しかった。
ー新幹線、同じだったりして(笑)
ーまさかぁ(笑)
なんて思いながらも、一緒だったらいいな、なんて思う自分もいる。
ー何に乗ったの?オレはのぞみ◯◯号だよ。
えっ?
嘘!?
それ、あたしも乗ってる…
あたしは慌てて返信した。
ー同じの、乗ってるかも。
あたしは名古屋で降りるけど、新大阪行きの新幹線に乗ってるんだ。
ーマジ!?席、どこ?
ーあ、自由席しか会社からもらえないから…
ーじゃあ、今からそっち行く!何号車?
ー2号車だよ。でも、まずいよ?
ー大丈夫だって!隣の席、空いてる?
ーうん。
ーじゃあ、問題ない!すぐ行くね!
そう言うと、彼からの連絡が途切れた。
そして、5分ほどすると、帽子を深く被って、マスクとめがねで変装した彼がやってきた。
ほんとに乗ってたんだ……
「お待たせ!」
『うん。』
「大丈夫だって!ちゃんとマネージャーにも話してきたから!」
『そっか。』
「打ち合わせもあるから、名古屋まではいられないけど、少しなら大丈夫。」
『うん。』
やっぱり移動中も休んでいられないんだね。
大変だな…
なんか、体調が心配だよ。
「なんか、顔が険しいよ?」
『だって…』
「だから、平気だって。」
『うん。』
すると彼はあたしの肩に頭をもたれかけた。
『雅紀?』
「ちょっと、寝かせて?」
『時間、大丈夫なの?』
「30分くらい平気。」
『じゃあ、その頃、起こすね。』
「ありがと。」
疲れているのか、すぐに寝息が聞こえてきた。
それからあたしはスマホのタイマーをセットして、目を閉じた。
ブブブブブ…
バイブの振動で目が覚める。
『雅紀?起きて?』
「んー?」
『30分、経ったよ?』
「もう?早いなぁ。」
んーっと伸びをして、彼が体を起こした。
そして、あたしの髪をそっと撫でる。
「東京に戻ったら、そのままお前の家に行くから。待っててね。」
『ほんとに?』
「ほんと。」
『わかった。』
雅紀の笑顔にあたしはふっと頬が緩んだ。
そして雅紀はそっとあたしの頬にキスした。
『ちょっ!!』
「パワー充電完了。」
悪戯っ子のように笑うと、あたしの頭をポンポンと叩いた。
「じゃ、行くね?」
『うん。』
「仕事、頑張ってね。」
『うん。雅紀もコンサート、楽しんできてね。』
「もちろん!じゃあね!」
『うん、いってらっしゃい。』
「いってきます。」
そう言って、絡めていた指をほどいた。
ちょっと寂しかったけど、大丈夫。
お互い、仕事を頑張れば、また会えるから。
別々の場所だけど、頑張ろうね。
あたしは笑顔で雅紀の去ってく後ろ姿を見つめていた。
***
こんにちは。
ただいま、新幹線なう、であります。
っつーか、こんなバッグ持ってたら、京セラ行くと思われるよなー。
手前の名古屋で降りますけどね。
行きたいなー大阪(笑)
なんで今週末が大阪出張じゃないんだよ!?
仕方ないけど。
嵐さん、同じ新幹線に乗ってないかなー。
いや、前乗りだろうな(笑)
でも、なんとなく、あーばさんが会いに来てくれる妄想しちゃいました(笑)
ではでは。
行ってきまーす。
ふたば。