二人の夏休み~いつも忙しい君だから~ side 翔 #7 | Crazy Moon -ふたばのブログ(仮)-

Crazy Moon -ふたばのブログ(仮)-

嵐&NEWSファン、ふたばのつぶやきブログ

彼女と手を繋いで、ゆっくりと庭園を歩く 。

彼女と一緒にいるのが当たり前になってるけど、そんな日は一年前からだったんだよなーって、ふと思い出す。


『‥‥そういやさ?覚えてる?』

「??‥‥なにが?」

『オレが告白した日のこと。』

「‥‥あの海でのこと?」

『うん。』

「覚えてるよ?きまってるでしょ。」


若干、ふくれた声を出す彼女。

まぁ、そうっすよね。
彼女曰く、相当、待たされたらしいからな。


「それが‥‥どうかした?」

『なんかさ?もう一年になるんだなって思ってさ?』

「‥‥うん。‥‥ほんとだね。なんか‥‥あっという間」

『今じゃ、夏海って呼ぶのが当たり前なのに‥‥あの頃はねぇさんって呼んでたなーって思い出してた。』

「ふふっ‥‥ほんとだね。はじめは‥‥くすぐったくて、なんか恥ずかしかったな‥‥(笑)」


ねぇさんって呼んでた過去を思い出すと、なんだか、ちょっと変な感じで。

今は夏海って呼ぶのが当たり前になってるわけだからさ。


なんか、不思議だよな。


『いや、オレの方が恥ずかしかったわ!』

「えーー。私だって~。まぁ。私が呼んでっていったんだけどね(笑)」

『ホントだよ。あれには焦ったもんな』

「だって‥‥せっかく告白してくれたのに、ねぇさんって呼び方は‥‥ねぇ?」

『ま、それもそうだな?あはは。』


あの頃を思い出して笑えるってのはさ?

それだけの時間を二人で過ごしてきたからなんだよな。


本当は、隣にいるのが当たり前じゃないんだ。


『‥‥あれ?』

「ん?」

『あそこ、海岸に繋がってねぇか?』

「あ‥‥ほんとだ。 出れる‥‥のかな?」

『ちょっと、行ってみっか?』


海はオレたちにしてみたら特別な場所。

あの海じゃないけど、やっぱり海は大事な場所だからな。


「‥‥。大丈夫‥‥かな‥‥」

『大丈夫だよ。誰も、オレがこんなとこにいるなんて、思わねーよ。』

「‥‥そっか(笑)なら‥‥いってみよ。」


ちょっと戸惑った彼女だけど、すぐにオレのマイナス点を思い出したらしく、笑ってやがる。

ま、それでもいっか(笑)


そして海に繋がる通路まで来ると、オレは彼女に声をかけた。


『足元、気を付けろよ?そこ、段差。』

「う‥‥うん‥‥‥‥きゃっ!!」

『ぅおっと!!』


予想通り。

一応、予想してたから、寸前で彼女を抱き止められた。


あっぶねー。

ここで転んだら、大ケガだったぜ。


「ごっ!ごめん。翔ちゃん!!大丈夫??」


慌てる彼女。

だけど、転びそうになったとはいえ、彼女を抱きしめるチャンスに恵まれた。


オレはそのまま、ぎゅっと、彼女を抱きしめた。


「ちょっ‥‥翔ちゃん‥‥」

『‥‥夏海‥‥』

「‥‥うん。」

『好きだよ‥‥』


彼女の肩に顎をのせて、耳元で囁く。


「‥‥。私も‥‥翔ちゃんが 好きだよ。」

『知ってる。』

「(笑)‥‥もぉ‥‥なに それ。」

『一年前から知ってるし。』

「私もだし(笑)」


こんなやりとり、幸せ過ぎる。


このまま……

うん、このままずっと……


『‥‥。なんか、離れんの、イヤだな。』

「へっ??」

『このまま、ずっと抱きしめてたい‥‥』

「‥‥うん。」


このまま時間が止まればいいのにな。


『‥‥なんてね。』

「‥‥。」


でも、そんな訳もなく。

オレは抱きしめる腕をそっとほどいた。


『ここじゃ、そろそろ限界かな?』

「‥‥。」

『どうする?』

「‥‥。」

『海、行く?それとも、部屋に戻る?』


たぶん、オレと同じ答えが返ってくるはず。


「戻る‥‥。」

『ん、了解。』


よかった。

同じだった。

オレは彼女の頭をポンッと叩いた。


「あっ‥‥」

『どした?』

「‥‥手‥‥繋いでほしい‥‥な‥‥///」

『ふふっ、当たり前だろ?』

「(笑)当たり前なんだ‥‥」

『そ、当たり前。  ほら、行くぞ?』

「うん。」


彼女の手を引き、ゆっくり来た道を戻りはじめた。


『今度こそ、足元、気を付けろよ?(笑)』

「わかってるって‥‥きゃっ!!」

『ったく(笑)』


夏海らしいな(笑)

ホントに一緒にいて、飽きない。


「ごめん‥‥浴衣 慣れてなくて‥‥」


申し訳なさそうに呟く彼女。

オレはふっと笑った。


「あっ‥‥どぉ‥‥しょ‥‥」

『ん?どうした?』

「下駄が‥‥」

『あー、こりゃ大変だな?』


慌てた彼女の足元で、下駄の鼻緒が切れていた。

オレはふと前に教わったことを思い出し、しゃがんだ。


「??‥‥どうしたの??‥‥お腹‥‥痛いの??」


あーぁ。
まったく、意味不明なこと(笑)

でも、今はそれより応急措置。

浴衣の袂からハンカチを取りだし、引き裂く。

ビリビリビリビリ‥‥


「しょ!翔ちゃん!!どうしたの??」

『下駄、貸してみ?』

「‥‥はい。」

『で、足はここに乗せといて?』


そう言って膝を叩いく。


「‥‥はい。」


あんまり細かいのは得意じゃないけど、これくらいならなんとかね。

さっと直して、彼女の前に置いた。


「‥‥。すごい‥‥なんか映画みたいだね。」

『よし、オッケー』

「ありがとう。」

『だろ?前にさ?仕事で教えてもらったんだよ。』

「そぉなんだね。」


ちょっと得意気になってみせる。


が、ふとさっきのことを思い出した。

あれは、やっぱりスルーできないっしょ?


『っつうかさ!?夏海さん?』

「はい?なんですか?翔さん。」

『オレがしゃがんだ時、お腹痛いの?って、聞きませんでしたか?』

「だって、いきなりしゃがみ込むから‥‥」


いやいや、だからって、おかしいっしょ?

しゃがむ=腹痛って、どんな方程式だよ!?(笑)


『あのなー!?(笑)』

「(笑)ごめん。」

『まぁ、そんなところも、夏海らしくて、好きだけどな?』

「そんなところって‥‥(笑)どんなところよ」

『空気が読めないところ?』


オレ、自分で言って、大爆笑。


「えーーー(笑)」

『あはは!』

「もぉー!笑い過ぎでしょ」

『ホント、夏海でよかったわ。』


涙が出るほど笑って。

でも、それって彼女だから。
夏海だからであっなんだって。


「??」

『夏海じゃなかったら‥‥こんな笑えなかったかもしんねぇしな?』

「‥‥これって、私‥‥けなされてるの?褒められてるの??」

『オレの傍にいてくれて‥‥ありがと。』


急に伝えたくなった、感謝の気持ち。

そんなオレにお返しがきて……


「こちらこそ。‥‥ありがとう。」


幸せだ。


『んじゃ、部屋に戻るか?』

「うん。」

『ほら、手‥‥』

「‥‥はい。」


彼女の手を引いて、ゆっくり歩き始めた。