No.130 2021.10.10(日)

廃遊園地の殺人/斜線堂有紀/実業之日本社/2021.9.25 第1刷 1800+10%

 まずは、何を言ってこちらの勉強不足なので言い訳にもならんのだけど。「登場人物達の名前を覚えられない」。読んでいるうちに、出てくるたびに「えーと、この方はなんと読むんだっけ?」と、最初のメンバー紹介に戻って、「ああ、そうかこういう読み方だった…」。残念極まりないし、めんどくさいことこの上ない。気もそぞろになることはなかったものの、ゾッとする。

 作品のことなので、作者の意図を持った命名と思うが殆ど、脳内変換出来ない老人(笑)には、逆効果で煩わしさが先に来てしまった。従って、名前の命名に関しての深慮遠謀は、全く関係なく「参った」。

 

 物語は、あるショッキングな出来事で、プレオープンの日以外にオープンされることなく廃園になってしまった遊園地。総合レジャーランドとしての開発も視野に入れた、大々的なプロジェクトも破綻し、開発業社は当然経営破綻し、今は、違う大金持ちで廃墟マニアの持ち物になっている。

 そこへ、降って沸いたような「廃遊園地への招待」が企画され、応募した人々が集合する。

 閉鎖された空間、山の中で携帯の電波も入らないような場所。その上、突然起こる殺人事件。

 本格ミステリにピッタリのシチュエーションで巻き起こる連続殺人に、誰が、なんの目的で……。次々に提示される謎を一人解決に奔走するのは、コンビニでバイトする廃墟マニアの青年。彼は、無事に事件を解決に導く事ができるのか。

 明かされる廃村となった村の秘密。オーナーの本当の目的は? 謎がラッシュアワーのように押し寄せ、グイグイ突っ走る絶好調ミステリ。

 それにしても、前作もそうだったのだけど、名前がなあ。

 という事で下手な愚痴より実際の登場人物名を上げておく。備忘録としても貴重。

 眞上永太郎(廃墟マニアのフリーター)/藍郷灯至(廃墟マニアの小説家)/常察凛奈(廃墟好きのOL)/主道延(元・イリュジオンランド経営陣)/渉島恵(元・イリュジオンランド渉外担当プロデューサー)/売野海花(元・イリュジオンランドスタッフ=売店担当)/成家友哉(元・イリュジオンランドスタッフ=ミラーハウス担当)/編河陽太(『月刊廃墟』の編集長)/鵜走淳也(元・イリュジオンランドスタッフ(ジェットコースター担当の息子)/佐義雨緋彩(十嶋財団から派遣されてきたスタッフ)/籤付晴乃(二十年前の銃乱射事件を起こした犯人)/十嶋庵(イリュジオンランドを買った酔狂な富豪)。ルビが無いと殆ど読めなかった。物語とは別に格闘してしまったのは、情けない。

 

—内容紹介を引く……

 プレオープン中に起きた銃乱射事件のため閉園に追い込まれたテーマパーク・イリュジオンランド。廃墟コレクターの資産家・十嶋庵はかつての夢の国を二十年ぶりに解き放つ。狭き門をくぐり抜け、廃遊園地へと招かれた廃墟マニアのコンビニ店員・眞上永太郎を待っていたのは、『このイリュジオンランドは、宝を見つけたものに譲る』という十嶋からの伝言だった。それぞれに因縁を抱えた招待客たちは宝探しをはじめるが、翌朝串刺しになった血まみれの着ぐるみが見つかる。止まらない殺人、見つからない犯人、最後に真実を見つけ出すのは…2021年最注目の俊英による廃墟×本格ミステリ!

 

 廃園となった遊園地。それだけで何が飛び出るかワクワクする。おまけに閉ざされた山荘パターン。正体不明の殺人者の影。なんとも楽しい設定なのだが、文章を読むより名前を記憶出来ないもどかしさに震えた。どうしたらいいのか分からないのだが、物語は面白いのだけど。となってしまった。

 名前の答えは順番に「まがみえいたろう」「あいざとともし」「つねみりんな」「すどうすすむ」「しょうじまめぐみ」「うりのうみか」「なるいえゆうや」「あむかわようた」「うばしりじゅんや」「さぎさめひいろ」。そして「くじつきはるの」「としまいおり」と言うキャストだった。参った。

 ★★★★