機搜235ってテレビ化されていたんだ!!

知らなかった。テレビ観ないし。

 

No.080 2022.7.1(金)

石礫 機捜235/今野敏/光文社/2022.5.30 第1刷 1700+10%

 コード機捜235、乗員2名。ペア長は若い高丸卓也。乗員は白髪頭で定年間近の縞長省一。この縞長の存在感が素晴らしい。バディ物では最強コンビで更にこんな相棒欲しいとダダを捏ねそうになるくらいなのだ。

 今回は機捜235の初長編。密行中の機捜235は元見当たり捜査の『レジェンド』縞長がコンビニに入る指名手配犯を目視したことから人質立て籠り、更に爆弾テロの恐れに繋がり、第二機捜隊に自ら隊「警視235」(!!)の我妻幸雄巡査部長とペアの若い森田が参加。事態を重く見た機捜隊長・新堀陽一警視は即座に捜査一課長・田端守雄警視正に報告。田端は即座に特捜を組織し特殊班二個と公安も加え自ら警視庁に本部を構え、爆弾テロ対策に乗り出す。

 

 物語は縞長の眼力と経験、相棒の高丸との掛け合いを中心に、謎の事件を追っていく警察官達の疲れを知らない本能と矜持を太く描く。

 警察小説のレジェンド・今野敏にしか書けない警察官達の物語だろう。

 時に熱くなり時に冷静に考え、そして犯罪を阻止する為に命を張っていく警察官達の姿は読む者を一気に捜査員に同調させるのだ。見事としか言い様の無い「足運び」は静かに燃えて行くのだ!!

 

 田端守雄捜査一課長がこれ程全面に出るのは初めてではないか?

 今野敏作品の最重要課長の言葉は重い。

 田端課長が自ら隊の我妻に「刑事になる気ははないか」と尋ねる場面で、我妻は「いえ、自分は、パトカーが好きですから」と堂々と言い放つ。思わずニヤニヤしてしまう。自動車警ら隊「自ら隊」の誇りがにじんで素晴らしいのだ。

 

 「私服で覆面車なんて、自ら隊のプライドが傷つくんだけどな」

 この我妻の台詞に目頭が熱くなり慌ててしまう。自ら隊ここにあり、だ。

 

 事件解決に見事に応えた機捜235のふたりと、警視235のふたりに田端課長が断言する。

 

 我妻と高丸の「オレたちは石ころみたいなものだ」という台詞に田端が答える。

 

 「その石ころがさ…それが大切なんだよ」

 そして深夜にも関わらず捜査本部に現れた警視総監と刑事部長の訓示。

 「わかるか? 部長や総監といった方々を、石ころが支えているんだぜ」

 

 石ころの矜持だ!!これで大泣きしない訳がない。

 

—内容紹介を引く……

 警視庁機動捜査隊渋谷分駐所の機捜車コールサイン235に乗る名コンビ、高丸と縞長は、密行中に指名手配の爆弾テロ犯・内田を発見し追跡するが、内田は建築現場に人質を取って立てこもる。発見前の内田の不審な行動は新たなテロ計画か? 高丸、縞長たちは特捜班となり事件を追う! エリートじゃない、石ころみたいな俺たちだからこそ、できることがある……TVドラマでも大好評の傑作警察小説、最新作。

 

 ラストシーンの美しさには、誰もがニヤリとしてしまう。

 我妻巡査部長、あんたは本物の「自ら隊」だよ!!

 傑作。たぶんこれから何度も何度も読み返す。そんな物語に出会えて最高に幸せだ。本読みの冥利に尽きる。そう、これは絶叫する。読まずに死ねるか!!

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