No.033 2019.3.21(木)

機捜235/今野敏/光文社/2019.3.15 第1刷 1500+8%

 好きなんだよな〜こういう「一見凡人、実は何かの達人」シリーズ!!

 警視庁の機動捜査隊という部署は、若手の巡査部長たちが研鑽を重ねていずれ警視庁捜査一課の引きを待つようなニュアンスもあるらしい。24時間交代制で都内を流し、通信司令室からの一報で即座に犯罪現場に臨場し初期捜査に当たるべきいわゆる「緊急班」のような部署なのだろうか。

 その捜査は事件になれば捜査陣に初動捜査の端緒を伝え、その後は再び街を流していく。捜査は初動捜査が重要と言われているのだがその意味でも重要は班なのだろうか。

 

 相棒の怪我により新しく配属されてきたのは、なんと階級よりは年齢でびっくりの定年間近の縞長……。捜査一課からの異動だが、〈捜査共助課〉所属で見当たり班のベテラン捜査員だった。

 

 見当たり捜査。今でこそ都内あちこちに設置されている監視カメラ(CCTV)があり、それを組織的に追っかける部署が警視庁に設置され年々重要度が上がっているのだが、見当たり捜査班は、指名手配の容疑者の手配写真を記憶に刷り込ませ常に街角に出て容疑者の逮捕につなげている、地道ではあるが専門的な職人捜査官なのだ。

 

 縞長はまさにその「一見どうということのないオッサン」なのだが、見当たり捜査で功績のある捜査員だった。今回の異例な異動の影には機動捜査隊と見当たり捜査班のコラボレーションがあったのか……。

 最初はギコチないコンビも、縞長の鍛えた「目」が次々に成果を上げていき、絶妙なコンビネーションをえがくのだ。こういった物語は、本当に好きだな。読みながらニヤニヤが止まらず読んでいる者が「怪しいオッサン」になってしまうのだ。

 

—内容紹介より引く…

 渋谷署に分駐所を置く警視庁第二機動捜査隊の高丸の新しい相棒が着任した。それは白髪頭のどう見ても定年間際の男・縞長だった。心の中で溜め息をつく高丸だったが、縞長は苦労を重ね、思いがけない実力を秘めた刑事だった!……

 

 事件的なミステリー要素より新コンビの掛け合いと、見当たり捜査のベテら縞長の〈鍛え抜かれた神の目〉を楽しみたい。

 ★★★★★

 

 健  龍