半年振りに野球しに行ってきた。
予想を超える己の衰えぶりに終始半笑いだった。
ブランクを考慮して守備はファーストにしてもらったのだが、もともとサードで守備職人とまで言われた堅守はどこへやら、すぐそばを飛ぶようにぬけて行く矢のような打球に、恐怖で体はピクリとも反応できなかった。痴態。
相手チームは初対戦の相手で、そこそこ強いらしいという前評判だった。ところがふたを開ければそのうちの一人はメジャーリーグのレッドソックス傘下でプレーした経験があるという猛者で、その選手が投手をした時なんて、パワプロか?と思うほど尋常ではない球の曲がり具合だった。物理法則に逆らっている、と審判に抗議したが聞き入れてもらえなかった。ただでさえリハビリが必要な状態なのに、あんなのが来るとわかっていたら、寝過ごして行かなかったかもしれない。
打撃成績。
左飛、二ゴロ、四球。
一塁まで疾走しただけで激しい動悸と息切れ。恥辱。
打席でも、頭では「打てる!」と判断する球に体がついていかず、手も足も、屁も出なかった。あぁ情けなし。走攻守、三拍子そろって羞恥極まれり。そのくせプレーしながらふと、(あー、やっぱり野球場って気持ちいいなぁ)とか思ってたりする。ここまでくると、もはや野に咲く「痴漢」である。
当然といえば当然だ。イメージ通りに動くノーマルな体は失われた。まだまだ若いつもりだが、この半年、いや1年、コンスタントに運動をしてこなかった自分が悪い。運動といえば満月の夜にベッドの上で吠えるくらいであった。それも鍛えられるのはごく一部。衰えを避けられるわけがなかったのだ。
――鍛え直そう。
過去の栄光にしがみついて、かつて呼ばれた「不屈の主砲」の名の下に。
ランニングと筋トレ、素振り。
汗をかき、筋肉を目覚めさせ、肺をいじめつづけ、夜もバットを握りしめて振り回し、失ったものを取り戻すのだ!
・・・よし、気合は入った。
とりあえずもうちょっとあったかくなるのを待とう。