何が怖いって…
「きみ」だよ
♪すごくこまるんだわかるけれど
胸に倒れこんできそうな
まなざしが答えすぐに迫る
伸びる右手左手が止める
ちょっと惜しいけどね
「答えすぐに迫る」ってのが、
いきなりもう怖いですねぇ。
ちょっと(かなり)強引な営業をする個人営業の職に就いていた頃、上司に口酸っぱく言われたものです。
"相手に考える時間を与えるな"と…
冷静になって考える時間を与えちゃいかんのです。大抵の場合、気持ちが冷めちゃうから。
興味を持ったその瞬間が一番熱い。そこで一気に仕留めるのだと。
そんなこと考えてたかどうかは知りませんが。
強引な営業マンの如く迫りくる女。
それでも何とか理性で持ちこたえる(伸びる右手左手が止める)主人公。
危ない危ない…
♪それはできないよ揺れるけれど
もどかしげな野バラみたいな
開きかけたくちびるのかたち
僕の男試されてるようで
これはかなり効くね
さらなる攻撃にも「それはできないよ」と抵抗を見せる主人公。
体を寄せて歩かれただけで、僕のエンタープライズが操縦不能になってしまう誰かさんとは大違いですね。
…と思ったのもつかの間。
♪だけど醒めた僕の朝に
きみの笑顔無邪気すぎる
しんとしてる僕の迷路
きみの声は響きすぎる
その先はさ あと一歩も とてもこまるんだ
アッサリ
一線超えてしまう
主人公さん。
ちゃっかり
「BELIEVE IT?」な朝を迎えている
主人公さん。
「醒めた僕の朝」って、そういうことよね?
なんてこったい
記憶の有無は不明ですが(←多分覚えてる)、朝、目が醒めて頭の中真っ白な主人公…と、女。
1つ違うのは、してやったりとほくそ笑み(←言い方)、朝っぱらからピーチクパーチクおしゃべり(←言い方)しているであろう女。
こっわ…(震)
これ以上はダメ。
一夜限りにしましょうね?
…という主人公の気持ちを知ってか知らでか
♪それは痛すぎるよちょっと待って
愛してると涙まじりに
言葉できみは銃を撃つから
3度ばかり体温が上がる
気持ちはいいけどね
「言葉できみは銃を撃つ」
あとひと押し!とばかりに、
この一撃で完全に射落とすつもりの「きみ」。
ヒィィィィィ
気持ちいいとか言ってる場合じゃないってば
♪いつのまにか縛りたがる
腕に腕をからめたがる
そして僕は無口になる
きっとすべて捨てたくなる
わかるように 言えばつまり
とてもこまるんだ
あーもう、
「すべて捨てたく」なっちゃったよ…
「どうってことないさ」さんとの決定的な違いはここではないでしょうか。
捨てたくなるものというが「彼女や妻」なのか、「自由」なのか、はたまた、「立場や世間体」なのか…
(相手が例えば上司の女とか、親友の彼女とか、彼女の親友とかだったら怖さも倍増…)
それは明言されていませんが、
(「どうってことないさ」さんはその辺潔いよね。彼女いるって言っちゃってるもんね。)
「どうってことないさ」さんは、ナチュラル ボーン 人たらし のモテ男さんなので、女が寄ってくるなんて日常茶飯事だし、
それ(その他大勢)はそれ
これ(彼女)はこれ
なんだと思います。
大好きな彼女のことはもちろん、いま目の前にいるちゃっかり娘さんも、全部うまいことやるし、誰も、何も、捨てるつもりありません。(多分)
が、こちらの主人公さん、あわや大事な人(あるいは自分の立場)を捨ててまで、この女と一緒になろうとしている…
ハマっちゃうタイプだと自覚してるから困ってんのかな?
♪すごくあせるんだその角度は
危ないところに手が触れる
かまわないわなんて急な接近
ついに理性乱れ始めてる
ここでキスしたいよ
こちらのエンタープライズももはや操縦不能。
「きみ」の勝利はもうすぐそこです。
天使の嘆きと 悪魔の微笑む姿も知らずに
微笑む悪魔の虜になっちゃった主人公さん。
この3年後に、自らの悲劇を歌うことになるとも知らずに…
もうお気づきですね。
この主人公、実は…
Mr.Jなのです!(嘘)
「すごくこまるんだ」は、
「Mr.Jの悲劇は岩より重い」の
前日譚だったのです!!
(大嘘)
…まぁそれは私の妄想に過ぎませんが、
「すごくこまるんだ」の直後に「Mr.Jの悲劇は岩より重い」を聴いてみて!
「愛温計」の前日譚が「はじまりはいつも雨」だと言うのはよく知られた話ですが、
(それを知らずに初めて「愛温計」聴いた時の鳥肌はエグかったよ… 最後のとこね。)