9:あたしはわがままになりたくない | クラフトPとろのブログ

クラフトPとろのブログ

クラフトPという名前で、ボーカロイド曲を作っていたり

さて、「あたしはわがままになりたくない」に話を戻そうね。


この曲は、私がタカオ達とやっていた博多でのバンド生活を終えて地元に帰ってきたあと、高校の時の友人たちと作ったバンドで演奏していた曲だ。

人口5万くらいの田舎の市なので、博多みたいにバンドの数も多くなく、オリジナル曲だけをやっているバンドは私たちだけだった。

この曲はバンドの構成的にドラム・ベース・エレキギターだけでやっていたけど、本当はピアノとアコギでやりたいなあと思っていたが、周りにバンドに入ってくれそうなピアノ弾きはいなかったので断念していた。



ちなみにこのバンドは、ボーカルとドラムがイケメンだった。ドラムは若い女子に人気があり、ボーカルは若い男子に人気があった。二人とも高校の時はヤンキーと一般人との中間くらいで、イケメンとしては知られた存在で、学校は違ったが、よく同校の女子に「トロ君ってあの人と友達なんでしょう?」と声をかけられた。

ドラムの男はよく練習に女の子を連れてきた。私はそれをあまり快く思ってなかったが、連れてくる子がいちいち可愛いのに嫉妬してたのかもしれない。

ボーカルは気性が激しく、気難しく、練習に来ないことも多々あったが、私はそういうところが気に入っていた。ロッカーってそうじゃなきゃと思っていた。女子よりも男子高校生に人気があったのも、きっとそういう面だったのだろうと思う。



また話は脱線するけど、当時の私は楽器店に勤めていた。店頭販売ではなく、近くの学校に営業に行ってピアニカや縦笛納品したりする仕事だ。

高校にも営業に行ったが、高校の場合は主に吹奏楽部への顔出しが仕事だった。

調子が悪い楽器を修理したり、小物の注文持って行ったりして生徒たちとも仲良くなった。

彼女いるんですか?とかはよく聞かれたが、楽器をしてることは聞かれなかったので話していなかった。音楽の話もしたことはなかった。指導の先生を連れてきたりもしてたから、楽器は何もできないと思われていたことだろう。


ある年のクリスマスに、市役所の主催で地元の音楽家を集めた演奏会が市民ホールで開かれ、それにバンドで出演してた時、ふと客席を見ると見覚えのある若い子たちの集団がいた。

それは普段学校でしか会ったことのない吹奏楽部の生徒たちだった。友達のバンドが出演すると言うことで、みんなで見に来ていた。

ちょwなにこのやりにくい雰囲気ww と思いながら演奏していたが、他のメンバーは女子高生がたくさん見てることでテンションが上がり、私もまあいっかと、今までにないノリノリの演奏になった。

その日以降、私は生徒たちに音楽的な質問もされるようになり、私は生徒たちから、「○○楽器さん」じゃなく名前で呼ばれるようになった。

部員たちの前で教壇で話をしたりもした。音楽性は違うけども、演奏するという行為の半分以上は「聴く」という作業なんですよ、みんなも楽譜通り吹くだけじゃなくて、他の人の演奏も聞いて合わせるんだよとか、そんな話をした。

あと、数人にドラムの人紹介して下さいとも言われたが、そこは彼女自身のためにお断りした。


そのバンドもみんな仕事が忙しくなったり、結婚したり、他の趣味の方が楽しくなったりで、自然消滅的に活動しなくなっていった。

私もだんだんギターを弾かなくなり、この曲ももう音源としても残らぬまま消えることになった。


そして、それからおよそ10年後、以前書いたようないきさつでボカロで音楽を再びやり始め、何か自分のソロ的な曲をうpしようと思ったときに、最初に思い出したのがこの曲だった。

ピアプロで見つけたadecoさんの黒いリボンのリンによく似合う曲のように思えた。

バンドでやってたアレンジではなくて、
かねてからやりたかったピアノとアコギアレンジにしてみようと、音を作り始めた。



「お前がじっと見つめた おれにはそれが愛に見えた」という歌詞は、「あなたがじっと見つめた 私にはそれが愛に見えた」と女性目線に書き直した。書き直してみると、この歌詞は本当は女性が歌うべき歌詞だったんだなあと思った。

そしてこの曲「あたしはわがままになりたくない」は、再生数こそ多くなかったが、
今現在、ボカロ界隈で仲良くさせてもらってる多くの人との縁を結んでくれる曲になった。

絵師のまめさんがこの曲を裏花火さんに聞かせてくれ、その頃始まったCMPVという企画に選曲して頂いた。この企画を見たユラさんや月歌さんとも交流が始まり、他のいろんな方との縁がこの曲から始まった。



ココで始まった縁がなければ、その後の私のボカロ活動はなかっただろうと思う。「13cm」も「何もなかった顔で」も「遠いいざなみ」も、そして「ボーマスに行きたい」もw

この時の縁がなければ一生作ることのなかった曲だろうと思う。

バンドをやってたことには気がつかなかったことを、ボカロに触れたことでたくさん知った。

見ず知らずの名もない作品も、見知らぬ誰かの想いが込められていること。

何気ない感想コメントも、それを書いた生身の人間が自分と同じように世界のどこかで暮らしていること。

誰もが知ってる有名な人も、自分と変わらない焦りや悔しさや喜びの感情を持つ人間であること。

どんな作品も、誰かが何かの想いをこめて大事にしている作品であること。



自曲ばかり貼って恐縮だけれど、
またちょっと時系列無視して貼るが、よかったら1曲聞いてほしい。

今、ボカロが好きで、作ることが好きで、聴くことが好きで、書くことが好きで、
上手く作れないと落ち込んだり、上手く歌えないと凹んだり、一生懸命に練習したりしてる君たちへ。

今君たちが熱中して作ってることは、本当に素晴らしい事です。
でもいつか、私がやっていたバンドのように、その熱も冷め、他の大事な守るべきものが君にもできる日が来るでしょう。

その時に、今の時期の熱中をどうか忘れないでいてほしい。
そんなメッセージで作った曲です。「わたしたちからの手紙」



この曲についてるコメで、「クラフトP愛してると言わざるを得ない」というコメが、何気にお気に入りベスト1のコメントw

なんというツンデレコメww どっちやねん!w