夜中に近所で怒鳴り声がしてきて寝られへん。
 
最近しょっちゅうやな。
 
 
 「おい!誰や!ワシの醤油を勝手に2階へもって上がったヤツは!」
 
 
しょうもない。
 
 
心の中で犯人を捜す。
 
 
 
あの、庭でジェットスキーがひっくり返っとる家の親父か?
 
去年ぼや騒ぎを起こしとった、あの小汚いヤツか?
 
 
 
今も、まだ言うとる。
 
 
 
「どこの誰や!」
 
 
 
知らんがな。
 
 
 
はいそうですか。
 
電車を待つ間、
 
腹が減ってたからおにぎりを買った。
 
なけなしの金をはたいて、海老天入りと梅干入りの2つ。
 
 
 
ほんまは4つ買う予定やったけど、
 
それまで、笑顔の素敵なお姉さんがレジやったのに、
 
急に俺の手前で、小難しい顔のおばはんにチェンジしたから
 
慌てて1つ棚に戻した。
 
 
 
え?見たいな顔をされたから、
 
 
 
「おい、あんたさっきおにぎり握った後の手、なめとったやろ?」
 
 
 
と何の気なしに言うてみたら、
 
 
 
「ばれたか。」
 
 
 
みたいに軽く舌を出しておどけやがった。
 
 
 
ほんまにしとったんかい。
 
けったいなおばはんやで。
 
 
 
こういう嫌がらせには、1円でも多く店の売り上げを減らすことが
 
せめてもの抵抗だと思い、
 
さらにもう1つ、おにぎりを棚に戻した。
 
 
 
でも、ほんまに腹がへっとったから、
 
気を取り直して、うまそうな海老天に口をつけようとした瞬間
 
 
 
「うぇ~~~」
 
 
 
と、隣のおっさんがコーラをゲボゲボ吐き出し始めた。
 
 
 
「あはは・・・気にしないでください。」
 
 
 
 
どの口が言うとんねん。

うちの近所は、とにかく空き家が多い。

 

そのゴーストタウンっぷりは目も当てられんが、

 

なかでも、近所の石屋跡はとくにひどい。

 

建物全体が芸術的なくらい大きくゆがんでおり、

 

今にも曙ばりに正面からぶっ倒れそうで危なっかしい。

 

 

毎朝、そこを通るたびに

 

「あの鉄柱、ひん曲がっとるがな・・・。」

 

と心の中でつぶやいている。

 

もうかれこれ、1000回はつぶやいたかもしれん。

 

 

 

それでも、向かい家のおっさんは平然と暮らしとる。

 

ある日、あまりにも気になって、

 

 

「おっさん、危ないやろ?その家 斜めになっとるで。」

 

 

と言うと、そのおっさんは、

 

 

「なんでや?おしゃれで見ごたえあるやん。」

 

 

と涼しい顔で答えた。

 

 

 

 

なんやそれは。