『付き添うひと』 岩井圭也著 ポプラ社
287p
弁護士・朧が、子ども達の閉ざされた心に向き合う、感動のヒューマン大作。
過去の経験を通して、付添人(少年犯罪において弁護人の役割を担う人)の仕事に就いたオボロ。彼に舞い込む依頼の先では、簡単には心を開かない、声を上げる方法すら分からない子どもたちが、心の叫びを胸に押し込め生き延びていた。オボロは、彼らの心に向き合い寄り添う中で、彼らとともに人生を模索していく――。
初めての作家さんです。
まだまだ知らない事が多いと実感しました。
少年犯罪の場合、弁護人のことを付添人と呼ぶことすら知りませんでした。
少年鑑別所では何が行われているのか、どう子どもたちと向き合うのかも。
少年が罪を犯した後、どのように裁かれてどこに送られるのか、何も知りませんでした。
学校には笑って泣いて、程度の差はあれど喜怒哀楽を表す子どもたちがたくさんいます。
友達と遊んで喋って、時には勉強をして、青春を謳歌しています。
街中にもお店にも公園にも、若者たちの笑い声や話し声が響いています。
でも声を上げる方法すらわからない子供たちがいます。
多くは一番自分らしくいられるはずの家に居場所がなくなってしまい、夜の街を彷徨う子どもたちも一定数いるのだということ。
もちろんメディアを通して居場所のない子どもたちがいることは聞いています。
でもその実態がどのようなものなのか、深く知ろうとはしませんでした。
どのエピソードも少年少女のリアルを詳細に描いています。
表舞台で大きな事件を解決していく弁護士も決して表舞台には出ないけれど、真摯に子どもたちに向き合う弁護士も、どちらもとても大切な存在で依頼者にとっては唯一無二信頼できる人であってほしいと感じました。
小説や映像に出てくるような弁護士なんがいるなんて考えてはいけない、そう言われた事があります。
確かになんて冷たいんだと感じたこともあります。
でも付添人は信頼できるパートナーであって欲しいです。
軽々しく面白かったとは言えませんが、たくさんの人に読んで欲しいです。
ここまで酷くなくても、似たようなことをしそうになった親もいるはずです。
子どもたちが深く傷つく前に、寄り添えるようになりたいです。
主人公の朧が投げかける言葉に何度も涙がこぼれました。
読後はしばらく何も言えませんでした。
大人もですが、全ての少年少女に届いて欲しい一冊です。
