『刑事の子』   宮部みゆき  光文社

320p

 

十三歳の八木沢順は、刑事の父・道雄と東京の下町に引っ越した。慎吾という友人もでき新しい生活に慣れたころ、町内で奇妙な噂が流れる。“ある家で人殺しがあった”と。そんな矢先、荒川でバラバラ死体の一部が実際に発見されてしまう。更に、順のもとに事件の犯人を知らせる手紙が!?刑事の子・順は捜査に乗り出す!宮部みゆきの初期傑作が装いも新たに登場。『東京下町殺人暮色』改題書。

 

ブログのお仲間さんに教えていただいた本です。

この数日間書籍が10%offで購入できたので、早速買いに行きました。

そしてすぐに読み始めたのですが、面白くてすぐに読み終えてしまいました!

主人公に関わる人たちの描写が詳細に書かれているので、すぐに情景が浮かびます。

そして友達も家政婦さんもちょっとぶっきらぼうなお父さんも、とても温かいです。

 

この主人公の順君、13歳にしてはかなりしっかりしています。

もう少し上かなと感じてしまうほどです。

でも中学生は大人が感じるより頼もしいのかもしれません。

その反面子供っぽいところもあり、好感が持てます。

警察関係者以外が探偵のように事件に関わることは現実にはないかもしれませんが、順君目線で書かれているので、ミステリーにあまり慣れていない小中学生にも抵抗なく読めるのではないでしょうか。

 

この物語のもう一つのテーマは、戦争です。

平和な街にも昔は悲しい過去があったことを伝えています。

宮部さんご自身がこの物語の舞台となる地域のご出身だそうですので、かつてこの街に起こった出来事に対して真正面から向き合い、若い世代に語り伝えているのではないかと感じました。

それぞれの登場人物も闇を抱えていて、そことどう折り合いをつけていくのかは本当に難しいです。

どのような理由があろうと、犯罪を犯してはいけないからです。

でも闇の部分は往々にして外的要因によるものが大きいのですよね。

そこが理不尽だなと感じます。

 

そして少年犯罪。

法律が隠れ蓑になっていて、悪用されているケースも。

なぜ若者が最も簡単に犯罪を犯してしまうのか、その描写がとても印象的です。

 

一つだけ煮え切らないのが同級生の態度。

彼はこのまま何も変わらずに行くのでしょうか。

それともこれは一つの暗示なのか、ますます作者の他の作品が読みたくなりました。

 

この本に巡り会えたことは、読書好きなブログのお仲間さんのおかげです。

商業施設に入っている本屋さんでは年に数回10%offで買える期間があり、読みたい本をリストアップしておいて一度に大量買いします。

でも宮部さんの本はほとんど手にしたことがなかったので、今回ご推薦の本を急いで追加して本屋さんで探すという楽しみが増えました!

ただ店頭に在庫がない本もありました。

図書館で借りるか、取り寄せにするか迷っています。

でもこうやって今まで読んでいなかった作家さんの棚に行くのも良いですね。

また面白かった本を教えてください!​​​​​​​