『噂』                荻原浩        新潮社

 492p

 

「レインマンが出没して、女のコの足首を切っちゃうんだ。でもね、ミリエルをつけてると狙われないんだって」。香水の新ブランドを売り出すため、渋谷でモニターの女子高生がスカウトされた。口コミを利用し、噂を広めるのが狙いだった。販売戦略どおり、噂は都市伝説化し、香水は大ヒットするが、やがて噂は現実となり、足首のない少女の遺体が発見された。衝撃の結末を迎えるサイコ・サスペンス。

 

初めての作家さんです。

この作品はどこまで事前に情報を得ているかで評価が変わりそうです。

出来れば何も先入観を持たずに読んだ方が、数倍楽しめるように感じます。

せいぜいあらすじ程度まででしょうか。

なので何も知らない方は、ネタバレはしませんが、以下は読み終わってから見てください。

 

大どんでん返しとして有名な作品です。

今の若い方は馴染みないかもしれませんが、”街の噂”が主軸になっています。

昔は良くこういう噂があって、それを回避する方法が話題になっていました。

携帯もなかった頃ですから容易に調べることもできず、どんどん広がって行きます。

その信憑性はともかくとして、回避方法がわかるとホッとしていました。

それをうまく利用したのが、この本に出てくる商法です。

でもそれはほんのさわりに過ぎず、事件はとてつもない方向へ向かって行きます。

 

ラストは確かに驚愕でゾッとしますが、大どんでん返しと聞いて読むと予想がついてしまうかもしれないので、「あっやっぱり」となる可能性が高いです。

でも読後感は爽やかとは程遠いです。

そして最後のどんでん返しとは別に伏線回収をしていくと、よりこの物語の真の怖さがわかるようです。

もし割とシンプルに読み終わってしまったら、ネタバレを見るのもありかもしれないです。

実際にその伏線があったのか、とネタバレサイトを見て分かったものもありました。

そこを飛ばしてしまうのは少し勿体無いです。

少し忘れかけた頃に再読して見たい本です!