『派遣社員あすみの家計簿』           青木祐子著  小学館文庫

 295p

 

家計簿をつけながら、生活も恋も立て直し! 

「結婚したら専業主婦になって、ぼくの収入は好きに使っていいよ」――飲食店の社長だと自称していた恋人の理空也に騙され、正社員として勤めていた会社を“寿退社”してしまった藤本あすみ、28歳。理空也は姿を消し、残ったのは二人で贅沢したぶんの高額なカードの支払いだった。通帳の残高は428円。ピンチに陥ったあすみは親友の仁子に説教され、家計簿をつけることに。
とりあえず派遣会社に登録したものの、なかなか仕事は決まらない。シャンプー配りや絵画展の監視員、倉庫整理の日雇いと必死の節約で食いつなぎ、日雇い仲間のミルキーやシングルマザーの深谷、仁子に支えられながら、ようやく派遣先が決定する。そんな中、あすみは合コンで出会ったイケメン商社マンの八城からアプローチを受けるが、いまだ理空也への思いを断ち切れずにいて……
家計簿とにらめっこしながら、自分を甘やかしてばかりいたルーズな生活を立て直し始めたあすみ。人生に迷子中のアラサー女子の、仕事と恋の行方は!?
『これは経費で落ちません! ~経理部の森若さん~』シリーズが大人気の著者による新シリーズ!


【編集担当からのおすすめ情報】 
食費を抑えるには、キャベツともやしと卵。
カップラーメンは買わずに、インスタントラーメン。
給料日前のピンチを乗り切る、節約の掟も満載です。(amazon)

 

初めての作家さんです。

結婚するはずだった彼に騙されて、寿退社をしてしまった主人公藤本あさみ、28歳。

しかも彼は姿を消してしまい、高額カード支払いを負担して残ったお金は428円だけ。

これは何もフィクションだけではなく、現実でも聞く話です。

まさに悲惨としか言いようがないのですが、それでも人は立ち直るのです!

まずは職探しから。

でも正社員を辞めるというのは本当にリスキーで、派遣社員になることもままならない。

ようやく派遣先を見つけたあすみは生活を立て直すことから始めます。

それでも給料には差があるし、今まで通りの生活はとてもできない。

あすみの場合は、家計簿をつけることで無駄の多かった日々を反省し、身の丈にあった消費を始めます。

ただ欲しいものを買っていた生活から、必要なものの価値を考える日々へ!

 

とはいえ、彼女に全てを押し付けて逃げる男というのも許し難い。

そしてそんな彼を忘れられないあすみも、何とも危うい。

でもここまで騙されなくても、別れた男を美化してしまうというのはありうる話。

こうやって客観的に見てみるのも良いかもしれませんね。

大きな買い物をしなくても結構無駄な消費はあるものなので、この際だから家計も男も見直してしまおう!

 

仕事は本当に大変なので、辞めたいと感じることもたくさんあります。

大学卒業して担任持ちの私学の教員になりましたが、給料も低いしボーナスも忘れもしない66,666円、休日は週に1日あれば良い方、日曜日の日直なんて手当が確か500円、まさにやりがい搾取の毎日でした。

生徒たちは可愛いかったから仕事としては好きだったけれど、当時新卒会社員の3分の2ぐらいしか手取りがなかったから退職後のバイト生活の方が収入は良かったなんて、今でも笑い話にもなりませんが、それでも社会保障があったのは正社員ならではなんですよね。

しかも一度辞めてしまうとなかなか手にすることができない「正社員」という保証。

いつでも辞めることはできるので、絶対に無理をしない前提で、よく考えた方が良いです。

 

でもまずは自分が大切なので、辛かったら無理だけはしてはいけない!

疲れ果ててしまうと、前向きな考えができなくなるから。

美味しいとか楽しいとか、もっと話したいとか、そんな感情がなくなる前に、転職しよう!

 

『これは経費で落ちません!〜経理部の若森さん〜』の著者さんなので、随所に実生活にもヒントになることが書かれています。