『陽だまりランチボックス』 高森美由紀著 角川文庫
304p
あなたを満たすお弁当が、ここにあります。
30歳の日葵は、疲れきっていた。ブラック企業に疲弊して勢いでやめたものの、再就職しようにも気力がわかない。不安で押しつぶされそうなある日、普段通らない路地裏に、古民家のお弁当屋さんを見つける。イートインもあるらしい。気づけば、いい香りの焼肉の香りに誘われてお弁当屋さんへ。お弁当の中に、牧歌的な雰囲気や安らぎなどがぎゅっと詰まっている気がした。店内にシェアハウスを募集している貼り紙を見つけ、思い切って申し込むことに。弁当屋の店主・菜月は、口数が少なく職人気質で、テキパキと仕事をする。その姿を見ているだけで安心できた。古民家の庭は木や花が植えられていて、猫や野鳥も自由に入ってくる。料理が苦手な日葵は調理の手伝いはできないが、店を手伝ったり植物の世話をしているうちに、地域の人たちと知り合っていく――。
初めての作家さんです。
少々無愛想なオーナーが作るのは優しくて美味しい健康に良いお弁当。
毎日たくさんの人が買いに来るけれど、限定数に達するとあっっさりと断ってしまう。
お客さんに緊張を強いるようなお店なのですが、それでもお弁当を求める人は減らず。
そこに就活中の主人公が美味しそうな匂いに誘われて訪れて来ます。
ぶっきらぼうな店主と近所に住む人たち。
それぞれに傷を持った人たちが寄り添い、前向きに歩き始める物語です。
やはり美味しいお料理というのは人を癒すし、物語を作りやすいのですね。
最初は少し読みにくかったのですが、慣れるとペースが上がりました。
作りたくなるようなお料理もたくさん出てきます。
それぞれの事情は予想がつくし、主人公が上手く行きすぎなのもご愛嬌でしょうか。
それでもほっこりした温かい小説です。
角川ごちそう文庫の一冊です。
このシリーズは結構読んでいます。
忙しい時とか疲れている時にさっと読むのに適しています。
でもじっくり読みたい時には少し物足りないかも。
それにしてもこういう美味しいお料理を出してくれるお店が近くに欲しいです。
どうも優しさを求めているようで、物語が身に沁みます。


