『いちご飴には毒がある』 砂村かいり著 ポプラ社

 286p

 

「どうしていつも、ごく普通の友達でいられないんだろう」

高校二年生の寿美子には、れいちゃんという幼なじみの友人がいる。
同じ高校に進学し通学を共にしているふたりだが、
過去に複雑な事情を持つれいちゃんは、可憐な容姿とは裏腹に、他人の容姿を貶めたり、陰口を撒き散らすことでコミュニケーションをとる少女だった。
そんな態度に違和感を覚え始める寿美子だが、やがて彼女の吐く毒は自分自身にも及んでいるのではないかと思い至り――。

互いを傷つけ合いながらも一緒にいる、思春期の複雑な友人関係。
業界注目の新鋭・砂村かいりが贈る、
一言では片づけられない「毒友」との関係性に切り込んだ青春小説。

初めての作家さんです。

とにかく読んでいて痛かったです。

学生時代一通りのいじめを経験していたからか、「毒友」が刺さりました。

どこにもこういう人は1人はいます。

でも毒友に選ばれるにはそれなりの理由があることも認めざるを得ませんでした。

 

孤独になるよりは一緒にいたほうが良い。

でも決して彼女は唯一の友達として認めていてくれるわけではない。

裏では悪口を言われて、彼女の満たされない何かをぶつけられているのに求めてしまう。

教室の明るいグループから必要とされないある一定の人たち。

その中に自分がいることもわかっていて、なのにいいように使われてしまう。

あまりにも痛すぎて一度読むのを止めてしまったくらいです。

でも互いに傷つけながら一緒にいても何も良いことはないのです。

それぞれの道をちゃんと歩き出す事が大切なのだと教えてくれます。

事実は小説よりも奇なり、は成り立つのでしょうか。

もし今しんどい人間関係の中にいる人も救われるようになるのでしょうか。

どうして最も簡単に人を傷つけられる人がいるんだろう。

様々な問いかけをしてくれる物語です。

 

 

ここからはちょっとネタバレに近いのですが、彼女はちゃんと救われます。

そしてそのキーとなるのが、まだ熟していない🥝なのです。

一緒にりんごを入れておくと美味しくなると、たくさんいただいたキーウィをお裾分けしてくれたそれまであまり話したこともない同級生が彼女を救い出してくれるのですが、この数行がこの小説で一番好きな箇所です。

硬くて食べられず、かといって熟すのを待ってもいつになるかわからない。

でも🍎という仲間を得ることで、早く美味しい甘い果物になるのです。

そこだけ守られた場所のようです。

いつも一緒にいるわけではないけれど、硬くて未熟なものにはこの林檎のような人がいてくれることできっと何とかなると信じて歩いていけますし、いつか彼女のりんごになれたら良いなと感じています。

そう私もつい最近同じ経験をした事があり、それだけで読んで良かったと感じました。

ちょっとだけ生き方が不器用で、素直に感情を伝えられないくせに、他人にはとことん優しくしてしまう。

同じように「こうして欲しい」と他人に言えない私の大切な存在です。

そしてきっとお互いの”これからの道”の最大の理解者であると自負しています。

今日一度に購入した本の記録を更新しました!

また正確に数えてはいないけれど、80冊を超えているのではないかな。

このお話はまたゆっくりと書く予定ですが、それでもまだ買えなかった本が溢れています。

もちろんこれにはある理由があります。

さあここから60冊を数日で読まなければならないという楽しい修行が待っています。

 

『嘘つきなふたり』 武田綾乃著 KADOKAWA

 288p

 

私が先生を殺したの――母の呪縛、敷かれたレール、自分と向合う旅が始まる

「もしかして、光?」東大赤門前で声をかけてきたのは、小学校6年生以来、7年ぶりの再会となる長谷川琴葉だった。そんな時、当時の担任だった中山が川から遺体で発見されたとの報が入る。中山の訃報を告げると、「中山を殺したの、私だよ」と琴葉。そんなはずない。琴葉が中山を殺したなんて、絶対にありえない。なぜなら――母親からの呪縛、敷かれたレール。互いに言えぬ“嘘”を抱えた2人が、自分と向き合う旅が今始まる。

初めての作家さんです。

10代の女の子たちはこんなに危うかったのでしょうか。

偶然出会った元小学校の同級生とのやり直し修学旅行がその後の2人を大きく変えていく。

卒業を待たずに転校してしまった友達との再会。

主人公の光は自らの嘘、母親からの束縛、将来に向き合うことになります。

 

良くも悪くも子供たちは周囲の大人の影響をここまで受けてしまうものなのですね。

読む人の年齢によって受け止め方が変わりそうです。

子育ても終え、大人になったものが読むと”救いと反省”の物語ともなります。

なので早いうちに読むほうが良いかもしれないです。

昔は今よりももっと学校の先生の影響力は強かったように感じます。

たった一言でクラスを変えてしまう、そんな力を持っていました。

たとえそれが理不尽であっても、抗うこともできずただ眺めている他はない。

 

誰かにとっての良い人が誰かにとっては悪人になる。

そんな表裏一体の怖さを教えてくれます。

読後は一見スッキリしているようで、でもどこかもやっとする、そんな感じです。

どうして人はこう衝突してしまうのでしょうね。

そして教師って本当にどうしようもない人と良い人に二分化されるのでしょう。

物語の中だけなのか、実社会でもそうなのか。

人はもっと他者への影響を自覚しないといけないのだなと深く感じました。

 

『失われた貌』 櫻田智也著 新潮社

 304p

 

周到に張られた伏線 閃きを導く手がかり
最後に裏返る真実 本を閉じた後に意味合いを変えるタイトル
ミステリに求めるすべてがここにある
これぞ、至高!

山奥で、顔を潰され、歯を抜かれ、手首から先を切り落とされた死体が発見された。不審者の目撃情報があるにもかかわらず、警察の対応が不十分だという投書がなされた直後、上層部がピリピリしている最中の出来事だった。
事件報道後、生活安全課に一人の小学生男子が訪れ、死体は「自分のお父さんかもしれない」と言う。彼の父親は十年前に失踪し、失踪宣告を受けていた。
間を置かず新たな殺人事件の発生が判明し、それを切っ掛けに最初の死体の身元も判明。それは、男の子の父親ではなかった。顔を潰された死体は前科のある探偵で、依頼人の弱みを握っては脅迫を繰り返し、恨みを買っていた男だった。

無関係に見えた出来事が絡み合い、現在と過去を飲み込んで、事件は思いがけない方向へ膨らみ始める。
『蝉かえる』で日本推理作家協会賞、本格ミステリ大賞をW受賞した新鋭の書き下ろし最新刊は、初の長編にして、警察もの!

ふと立ち寄った書店でサイン本を見つけて購入しました。

しばらく積読になっていたのですが、この本がどんどん話題になってきました。

そして本屋大賞にノミネートされ、そろそろ読まないと置いていかれると焦っていました。

でもなかなか時間が取れず。

この週末にまとまって時間が取れたので、読みました!

 

最初はなかなかしっくり来なくて、登場人物のセリフが入ってきませんでした。

誰が誰にどのセリフを言っているのか、ちょっと戸惑ってしまいました。

でも次第に何重にも絡み合っている出来事から目が離せなくなっていました。

そして人間関係もだんだん浮き彫りになっていきます。

そこからは登場人物もしっかり把握できて、一気に読んでしまいました。

 

しっかり楽しむならあらすじも読まない方が良いです。

あまり先入観なく読んだので、最初から翻弄されたのが返って良かったです。

中盤過ぎには犯人や人物関係の予測はつきますが、それ以上に伏線回収が面白いです。

帯にはたくさんの作家さんのコメントがありますが、まさにその通り。

読み終わった後、この小説のタイトルの意味を再認識しました。

一度関係がわかるとサクッと読む事ができます。

ちょっと休憩は挟みましたが、数時間で読む事ができました。

骨太な一冊を読んだという満足感があります。