干し柿の作り方を調べると、昔ながらの作り方が出てきます。

それでも普通に作れる場合ももちろんありますが、なかなか上手くいかないケースも多いと思います。

特に当地(静岡)では柿の熟期と気温低下のズレが酷く、柿が赤く柔らかくなっても気温が25℃近くあってそのまま干すとカビたり腐ってしまいます。

今後温暖化により気温は高い傾向になるでしょうから静岡以外の土地でも干し柿が作りにくくなってくると思います。


そこで、家庭でも作りやすく高気温を避けて干し柿を作る方法を考えました。

毎年やっていて1つもカビる事なく美味しい干し柿が作れています。

重要なアイテムは、高濃度アルコール消毒液、冷凍庫、麻紐です。


まずは柿の下処理。

ヘタは手で簡単に千切れますのでヒラヒラしている所は虫が潜んでいたりカビの原因になるので全部取ります。

枝は紐で縛るために必ずT字に残して下さい。

収穫目安の色は品種によりますが、概ね黄色からオレンジ色に変わった頃、必ず柔らかくなる直前で収穫しないと、皮を剥けなかったり、干す時に乾燥しにくくてカビやすくなります。

柿は全体が同時に熟さないので、数回に分けて収穫します。


皮を剥いたら袋に入れて高濃度アルコール消毒液(食品添加物グレードのもの)を全体に行き渡るくらいに十分に吹き付けて冷凍前に殺菌をします。

沸騰したお湯につけるとかしなくていいし、焼酎に漬けるとかもコスパ良くないです。

現代では高濃度アルコール消毒液が1番簡単で最強。

ライオンのハイジーンがコスパ良く安心感もあるのでオススメです。




あとは気温が下がるまで冷凍します。

これが1番重要です。

大量に保存するにはストッカーでないと無理ですが、食費の高いこのご時世、大量に冷凍保存できるのは非常に便利かつ節約になるのであっても良いかもしれません。



冷凍していいのかどうか情報がなかったのですが、自分でやってみて全く問題ないと確認しました。

気温は最高気温が15℃になる頃で、多少高くても大丈夫ですが20℃を超え続けるとカビます。


紐は麻ヒモを使ってください。

ビニール紐だとくっついたところの水分が抜けにくく、そこがカビやすくなります。


指に軽く巻くように輪っかを作って、その中に紐を通して枝に引っ掛けて引っ張るだけで結べます。

間隔はちょうど手のひら分くらいが良い感じです。

だから1mで10個くらいですね。

僕は引っかける金具も2ミリのステンレス針金をペンチで曲げて簡単に自作していますがS字フックを使っても良いです。



結んだら干し場にぶら下げていきます。

干し場はなるべく日当たりが良いところにして下さい。

特に表面が完全に乾燥するまでの3日ほどは晴天が続く日を選んでください。

シブが抜ける原理は、皮を剥かれて表面がカサブタのように固まり通気が限定される事で、内部にエタノールが発生(おそらく酵素の働きで多糖類が分解してる)し、これがまた柿の酵素によりアセトアルデヒドに変化する事でシブ=タンニンと結合して渋さを感じなくさせます。

要するに発酵の一種、つまりは化学反応だと考えられます。

日陰で干していたものはいつまで経っても渋かったので、この反応にはどうやらそれなりの温度が必要なようです。

ただ、気温が高いとそのままカビますので、直射日光による殺菌を伴った太陽熱が必要になるというわけです。


日当たりが必要なので大抵屋外に干す事になりますが、雨に当たるのは厳禁なので雨予報の日は予め軒下や室内に取り込んでください。

期間中必ず雨は降りますので干し始める前に取り込み場所を用意して下さい。


1週間くらい経って表面が固くなり始めた頃に軽く揉むことでシブを抜けやすくしつつ内部まで柔らかくなります。

その4日後くらいにもう一度揉みます。

コリをほぐすみたいに固いところを優しく縦横に揉んだら平にしておくと日光の温度が中心にも届いて渋抜きの反応が早く進みます。


表面が完全に乾燥したこの段階で、念のため全体に高濃度アルコールを吹きかけてカビを予防します。

この後も雨に当たったとか、しばらく気温が高過ぎるとか不安な時はアルコール消毒すればカビはつきません。


あとはこのまま計1ヶ月ほど干せば完成です。

柔らかいのが好きな人は、早めでもシブが抜けていれば食べてもいいです。

業者の量(笑)

1つも失敗ありません。


完成しても常温では意外にカビやすい食べ物なので、長期保存は必ず冷凍して下さい。

ベストは脱気パックして冷凍庫です。

圧力で水分と糖分が均等に行き渡り、表面に糖の結晶が出てとても美味しくなります。