クラフトノラでは、オスモカラーという自然素材の塗料を使用しています。
オスモカラーは木の吸放湿をある程度妨げないので長期間使用しているうちにその土地の湿度に合わせて自然に乾燥が進みより状態が良くなっていきます。
ハゲてきてもニスのように境がくっきり出ないため汚く見えず経年劣化が良い風合いになり、また再塗装しやすく再塗装も境目がボヤけるため汚くならないメリットもあります。
触り心地が木の質感そのまま残る感じなのも良いです。
しかし塗装時には自然発火に気をつけなければいけなかったり、湿度が高かったり温度が低かったりすると硬化にものすごく時間がかかってしまったりと、正直なところ扱いにくい塗料です。
また、欅のように硬く締まった木は表面がツルッとしているため表面積が小さく酸素反応型の乾燥をするこの手の塗料では更に乾きにくくなります。
特に真冬の寒い時と、梅雨の高湿度での塗装には毎年手こずっていました。
今年も梅雨っぽくなってきてからの塗装が乾かなくて、二回塗装で20日近くかかりました。
一応、20日程度かかる可能性があることを記載してはいるのですがあまり長くなるのも良くないし、本当に乾かなくて3回目の塗装をかけて部屋の除湿をしながら乾燥かけたりして20日以上かかった事もあることから、対応策をテストしてみることにしました。
要するに高温低湿、湿度50%以下の温度30度くらいならかなりの速度で硬化するんです。
それも塗装初日の初期硬化が重要ですね。
初期硬化に失敗するといつか硬化するもののものすごく時間がかかってしまいます。
しかし室内を除湿するのは容易じゃないし、冬に室温を30度まで上げるのもまた容易じゃないです。
そこでペルチェ式の除湿機を箱の中に仕込んで、これを乾燥室とすることにしました。
ペルチェ式除湿機はペルチェ素子という電圧をかけると片面では発熱、逆面では冷却する性質の素子を利用したものです。
つまり、発熱面では放熱板をつけて温度上げて、冷却面はその熱エネルギー分冷えることで結露するのでその水滴を集めて除湿する仕組みです。
エアコンでも同じですが、放熱されるエネルギーの方が大きいので、狭いところで使うと室温が上がります。
この湿度が下がり温度が上がる性質は通常では良くないものですが、オスモカラーの乾燥室用としてはパーフェクトな性質です。
とりあえずはダンボールでテストをしてみました。
5時間くらい動かすと外気温プラス5度くらい、湿度はマイナス10%くらい下がっていますので好ましい環境だと思います。
実際に乾燥速度は満足いくレベルで、一日中つけていれば一日で硬化できそうです。
テスト結果は良好なので合板で密閉できる乾燥箱を作って、今後の塗装はこれで安定させられる事に期待したいです。