ロブストについて、メンテナンスの手間を減らして長く使えるように改良しています。


軸受に樹脂ベアリングを仕込む事にしました。

樹脂とは言え、条件次第ではボールベアリングを上回る耐久性の高性能のものなので、数回使ったら軸受を交換というような事はありません。

ただ実際にテストで研ぐのにも限度があるので、連続使用の耐久性のテストのための機械を作りました。






500gの負荷をかけたまま砥石使用時の想定速度で回り続けます。

この樹脂ベアリングは自己潤滑性があるので無潤滑でもOKなのですが(食品などを扱う場合)、それでもオイルを使った方がダメージが少ないため、テストでもオイルを使います。

このオイルが例え切れても、自己潤滑性によりダメージは最小限で済むということになります。

今のところ50時間程度の回転でもほとんどダメージはありません。

ある程度回転するとオイルが黒くなりますので樹脂ベアリングかステンレス軸のどちらか、またはどちらもほんの僅かずつ削れてはいるようです。

わずかでも摩擦がある以上それは当然ではありますが。

この辺の部品は、一応消耗部品として販売しようと思っています。

現実的には刃物を研ぐのは、普通は長くても1時間程度なので、相当余裕のある耐久性が期待できそうです。


このロブストを設計した時から計画していた研ぎやすく使いやすい革包丁について、鉋刃で長いことお世話になってる鍛冶屋さんとの打ち合わせが進んでいます。


この鍛冶屋さんは鉋刃において裏出し不要刃を製作する刃物業界でも唯一に近いスキルを有していまして、これを使って製作してもらう事になりました。

裏出しっていうのは、刃先の裏側を真っ平らにしつつ、そこをなるべく少ない面積にする事で仕上がりやすくする裏押しという作業の為に必要な技術になります。

詳細を知りたい人は調べてみるとわかりますが、これは日本の刃物に特有の裏漉きという技術で、普段の研ぎの時にはやりやすくなっている反面、その裏漉きを維持する為に刃をハンマーで叩いて裏出しするということをしなくてはなりません。

下手にやると鋼が割れるので、ハッキリ言って素人には難しいです。

そこで、この作業をやらずとも簡単に裏押しができる、なんなら仕上げ砥石で裏を軽く研ぐだけでも十分な裏が作れるという革新的なコンセプトで製作を進めています。


なぜこんな普通じゃない、今までにない物を作っているのかというと、「レザークラフターは研ぎが下手くそ、甘く見ている」というのがあります。

逆に木工家は、頭おかしいんじゃないかと思うくらい刃物の研ぎにこだわって、極限まで薄く削る事に喜びを見出している変態もいるのですが…。

そこまでやらんでも、切る対象に十分な刃先を作る、そのために必要なスキルと道具を用意するというのが研ぎの第一歩なのですが、多くのレザークラフターはそれができていません。

おそらく裏押し、裏出しなど知らない人が大半だと思います。

それで、買った革包丁が切れるだの切れないだの言っているのは悪い冗談でしかないわけです。


とは言え研ぎは非常に難しいため、なるべく誰でも90%以上の研ぎをできるように、道具が補助できないかというのが、革包丁研ぎガイドと、オリジナル革包丁を製作しようと思った動機です。


これらが全て完成すれば、「革包丁を買ったのに切れない!」という人は激減すると思います。