バッテリーを変えたのに、エンジンのかかりが悪い。 | 修理屋キヨシのブログ/武内自動車整備工場

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はじめまして!兵庫県たつの市揖西町で車の修理屋をしているキヨシです!日々のいろんなことを書き連ねたいと思いますので、どうかお付き合いくださいね!

今回の整備はトヨタのラクティス、

昔の型はですね、NZ系といわれる、大変頑丈なエンジンが載っていた時もあったのですが、

そうではない比較的新しい、年式の車です。

 

 

 

 

もともとのお客様の相談としては、

 

「エンジンのかかりが悪いのでバッテリを替えたい。」

 

なんですが、

バッテリが交換してまだ3年ぐらいしかたっていない、

ケースの横のふくらみなどの、外観異常もない、

使い方としては、仕事の勤怠の都合上、夜間のショートトリップもあるものの、

遠くまで走ることもあるので、

 

ショートトリップのせいにして、安易にバッテリを交換するのに、疑問を持った、

 

という話なんですけどね、

 

キヨシの、整備士としてのカンとしましては、

 

「セルモーター駆動重いん違うん?」

 

となる訳なんですけどね、

 

 

ここでの難しさは、本来は、セルモーターの駆動重さを点検したいので、

エンジン始動時の、セルモーターの電流を、点検したくなるのですが、

 

そもそもその数値に、基準の値はないのです。

 

エンジンの温感、冷感、で、圧縮の加減、オイル粘度、すべて変わりますので、

基準となる値を設けられないのだと思います。

なので、

セルモーターの電流点検、

の時点で、セルモーター単品での、から回し(無負荷)での点検しか、メーカーの基準値というような話はないもんなのですが、

外して点検の時点で、

「ちょっと工賃ほしなるやん。」

となるのが、症状がある程度明確になるまで、様子見をお願いしたりする、理由になる訳なんですが、

 

 

お金をいただいて、セルモーター外した、点検した、となっても、

 

エンジン始動時の負荷のかかった、点検とは程遠く、

無負荷で正常で、

エンジンにつけたら、おかしい、症状なんて世の中にはなんぼでもあります。

 

そして、お客様の、つかいかた、ですね、

自家用車持込の、

仕事をしている場合、

そういう悠長なことも言ってられませんので、

 

はっきりさせとかんといけませんのでね、

 

まあ、外してみることにするわけです。

 

で外したセルモーター

遊星歯車のリダクションギヤがついてます。

RCクローラーのリダクションギヤと、大きく言うと一緒の構造です。

このギヤのおかげで、前世代のセルモーターより、

セルモーターの音が、軽くなりましたし、

バッテリに対する要求電力も小さくなりました。

 

 

ローターを見てみます。

 

ハウジングを見ます。

よく見ると、ここですね、

 

ローターを引っこ抜くときについた傷なら、たてにつくはずですが、

明らかに横向きの傷。

 

モーターのベアリングや、リダクションギヤなどの摩耗、そもそもの精度、

等あるのですが、

 

セルモーターーという、ギヤで、エンジンをかける、

すなわち回転軸に横向きの力のかかるシャフトの、

同一軸上に、突き刺さっていく感じで二個以上の部品構成がある、上に、

そのシャフトの両端にしか、軸を支えるものがない構造、

というのは、結構不利なつくりをしているなぁ、

と思うものと、

 

こんな浅い傷で、モーターの発生トルクに、そこまで影響するん?

とは思うものの、

そこは逆にリダクションすることで、回転数の高いモーターを採用している点と、

 

永久磁石を使っているモーターの起動力を上げるべく、

ローターとハウジング間のエアギャップが極限まで小さくされているんだろう、

という推測ができます。

 

そこらを推測しつつ、

今回はリビルト品に交換、

 

整備工場がばらすと、リビルト屋さんは嫌がるんですけどね、

だからといって、原因究明をしないと、自分の診断能力も上がりませんのでね、

分解させていただきました。

 

以後は調子もOK!!

結局バッテリーの交換はせずに、調子も良好です。

 

バッテリー交換していたら、ムダ金になるところでした。

 

 

ご入庫、ご相談有難うございました!!