ミニキャブトラック タイミングベルト交換 スラストベアリング交換  | 修理屋キヨシのブログ/武内自動車整備工場

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はじめまして!兵庫県たつの市揖西町で車の修理屋をしているキヨシです!日々のいろんなことを書き連ねたいと思いますので、どうかお付き合いくださいね!

連日サブイ日が続きますね!
お昼ごはんを食べてからの仕事場が寒い、朝一も寒い!
来週あたりから、子供のスキー教室が入ってくるので、しっかり平日に仕事をやりきらねばいけないキヨシです!ヨロシク!

今回のご入庫はミニキャブトラック、12万キロ走行です。
今まで車検頼んでいた代行屋さんに「タイミングベルトとエアコンが効かないのと修理してたら何十万かかるかわからん」的な説明を受けてきたが、そこんとこどうなん?という相談でした。

「何十万は、無いと思います。」

タイミングベルトが、ウオータポンプやオイルシール交換して、プラグやナンやも交換して贅沢にやったとして5.6万位か?それにエアコン修理代が追加。エアコンはガスが入っていたので制御系の感じやから、中古部品で直すんやったら3万円ぐらいかな?
と、直感的に答え、あくまで直感的なので、この限りでないことも伝えるが、いっても10万円ぐらいの修理だと思うことを伝えました。

13年近くたった軽トラックに10万円の修理代を高いと考えるか、どうかですが、じゃあ、このお客様の今乗っている軽トラック、4WD、簡易ダンプ、エアコン付の軽トラックがいくらで売っているのか、また、こんな修理代と天秤にかけて買う中古車が追い金の修理代なしで、どれぐらい走ってくれるのか?を、考えますと、一見高い修理代も妥当に思えるかもしれません。

20万キロ以下の車は直す値打ちがありますね!(もちろん、場合にもよります。)
で、じゃあ、とりあえず20万キロまで走れるようにしましょうか!という事でタイミングベルト交換です。
このお車は数年前までは田んぼ行きのみで車庫の守だったのがここ数年、仕事に使うようになり、急に年15000キロぐらい走るようになったとの事ですので、年式が古いため部品も痛みが来ていると判断、惜しまず部品を交換することにお客様と打ち合わせます。


で、意気揚々とばらしているときに発見しました。
次の2枚の写真を見比べてください。
修理屋の兄ちゃんのブログ/武内自動車整備工場-ミニキャブ10万キロ (5)
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手前と奥のプーリーの位置関係がおかしいです。というか、手前のクランクプーリーが動きます。手でカタンカタンと前後に動いてしまいます。ベルトがかかっているんだから、同じ位置にプーリーは無いといけません。
状態としてはクランクシャフトにスラスト(軸の延長線の向き)方向のがたがあります。
目測にして2ミリ前後でしょうか?この方向の方は本来100分の3ミリとかのはずです。

まあ、とりあえず置いといてタイミングベルトの交換を進めます。

タイミングベルトがお目見えしました。
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10万キロで本来交換せねばならないところが、12万キロあまり走った現状です。
ベルトの磨耗した粉がそこいら変に積もっております。
もし走行中にタイミングベルトが切れたら、このエンジンの場合はバルブクラッシュ(バルブとピストンがぶつかる)現象が起きて、ヘッド周り損傷、それこそ今回の修理の倍近い出費が軽く予想されます。

「壊れるまで使ったらええやん」と、軽々しくおっしゃる方もいらっしゃる様ですが、そういう人は今日、この瞬間車が壊れたときにも慌てずに済むようにもう一台車をご用意くださいね!

タイミングベルトを外した、クランクシャフト周りです。
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漏れたエンジンオイルやらベルトの粉なんかで惨憺たる状況です。
オイルポンプのシールが抜けかけています。

この年末にリコール隠しが発表された三菱ですが、リコール対象となるオイルシールはクランクシャフト(左)側です。これのオイル漏れのみ無料で面倒見てくれます。
今抜けかけている右側の小さいオイルポンプのシールはたとえ抜け落ちても通常の故障なので完全有料の修理になります。

ここいらへんから、メーカーがお客様のことを考えているような顔をして、自分の責任さえ果たしておれば良いといわんばかりである事を改めて確認しているようなものです。
資本主義の世の中である以上、お客様第一のような顔をして自社の収益を第一とするのは、立場が変われば当たり前なのかもしれないので、なんとも言いがたいものです。

こんな世の中に誰がしたと問うならば、
「いろんな社長を集めて商売の講演をする講師の人が、こんな世の中にした。」
と、思うキヨシです。


まあ、愚痴はさておき、クランク、カム、オイルポンプのシールを交換し、ウオーターポンプも交換しました。
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とりあえず、タイミングベルトカバーで蓋をしてしまうところはきれいに清掃!


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タイミングベルトを組み付けました。
このエンジンはバランスシャフトの位相を確認する必要があります。


そしてタイミングベルトの作業がほぼ完成を迎えた時点で、作業の現場を車の下へ移します!
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べりべりっと剥いだオイルパン、エンジンのクランクシャフト回りの点検です。

クランクシャフトのスラスト方向のがたの原因は…
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クランクジャーナルのベアリングキャップを外していきます。
きれいです。

スラストベアリングを取り外してみたら…
修理屋の兄ちゃんのブログ/武内自動車整備工場-ミニキャブ10万キロ
半分ぐらいにちびていました…
上はきれい、真ん中は問題外、下は傷まみれです。
まあ、ガタの原因がはっきりしたので、一安心。スラストベアリングを交換します。

こちらはクランクジャーナルのベアリングです。俗に言う親メタルですね!
まあまあ、OKですね!走行距離なりでしょう!
修理屋の兄ちゃんのブログ/武内自動車整備工場-ミニキャブ10万キロ (1)
写真はありませんが、クランクピンのベアリング(子メタル)もまあ、距離相応、そのまま使用します。無限に費用があるわけではないので、妥当だと思います!


メタルの磨耗した原因は、たぶんに田んぼ行きしか使ってない車を旧に引っ張り出した事による使用条件の変化が原因のひとつではないでしょうか?
田んぼ行きしか使わないからと車検のときしかオイルを変えないような感じで10年以上来ているのに、ここで急に鞭を入れて使う事になったため、環境が変わった前後にオイルメンテ的に何かあったのかもしれません。
もしくは、あまりオイルメンテされてないときの間に状態が進行していたか。ですかね。


すべてが組み終わりましたら、
冷却水のエア抜きをしながら音を聞いたりして細かいところをどこまで見るか判断します。
今までのメンテは代行屋さんだったので、プラグみたいな一般的な消耗品ぐらいは変えてくれているでしょうが、キャブレターの方なんかは手付かずのようでした。
修理屋の兄ちゃんのブログ/武内自動車整備工場-ミニキャブ10万キロ (3)
吸気の吹き返しでどうしても汚れる吸気廻り、車検ごとに掃除してやれば問題ないのですが、これをほっとくとやはりエンジン不調の原因になります。
というか、エンジンの調子は最終的にキャブレターが決めるので、ここは外せません。
美しくしときます。



後はエアコンも中古のコントロールユニットと水温センサーの交換でOK!
エアコンが動き出すと、ガスの量も半分ぐらいの様なので補充しておきました!
これでですね、20万キロを目指して、使っていただく事が出来ます!
しかしながら古い車ですので、何か不調を感じましたらお早めによってください!
ご入庫有難うございました!