うさぎ絵本 -48ページ目

すこし怖い話


 この話は、私の友だちのSさんから聞きました。
最初に言っておくと、少し怖い話です。


 Sさんの家の近所は、夜になるとバイクに乗った
人がいっぱい集まるそうです。大きい音や笑い声を
立てているので、Sさんはいつも怖いと思っていた
そうです。


 私もSさんの家に遊びに行くときにその人たちを
よく見かけましたが、Sさんと二人で、怖いね、と
話していました。


 Sさんの家の前は大きい道路で、少し先に行くと
道が大きく曲がってます。バイクの人たちはひざに
空き缶をつけて、いつもそこでバイクの練習をして
いたのです。


 なんの練習をしているのか、Sさんのお兄さんが
教えてくれました。バイクは曲がるときに、体ごと
バイクをかたむけて曲がるそうです。その人たちは、
バイクをギリギリまでかたむけて、ひざの空き缶が
地面にガリガリこすれるようにと練習をしているの
です。


 その様子は、Sさんの家の二階からよく見えまし
た。暗くなってから見ていると、火花が散っている
のが見えました。危ないけれど、きれいだとも思い
ました。Sさんのお兄さんは怖い顔をして、いつか
事故が起こる、と言っていました。


 ある日。Sさんが家の外を見ると、その日は夕方
からバイクの練習をやっていたそうです。外はまだ
明るいので火花は見えなかったけど、Sさんはその
ままなんとなくバイクの人たちを見ていました。


 ふいに急に大きな音がして、バイクの人が空中に
浮いていたそうです。車のクラクションやブレーキ
やなにかがぶつかる音や、いろいろな音が混ざって、
Sさんがビックリしすぎてポカーンとしていると、
お兄さんが窓の横にきて、事故だ!と叫びました。


 あわててふたりで家の外に出ると、大きなトラッ
クが道に斜めに止まっているのが見えました。道の
反対には、バイクがたおれていました。


 その手前に、地面に人が突き刺さっていました。
Sさんにはそう見えたそうです。どうしていいのか
わからなくてただビックリしているSさんに、お兄
さんが、ちょっと待ってろ、と言って、走り出して
いきました。


 近くに行くとお兄さんは急に止まって、いきなり
座り込んでしまうと、大きな声で笑い始めました。
向こうから何人もの人が走ってきましたが、みんな
途中で足を止めて、口を大きくあけてビックリして
いるようだったそうです。


 Sさんはお兄さんがなんで笑っているのか、怖く
なりました。地面には人が刺さったままです。それ
なのに、誰も近くに助け寄ろうとしませんでした。


 Sさんは目を細めて、刺さった人をよく見てみま
した。最初は地面にめりこんでいるように見えたの
ですが、そうではなかったそうです。


 アスファルトは、尖ってはいないけどギザギザに
なっています。


 たぶん。


 バイクの人はトラックにはねられて、大きく投げ
出されて。すごい勢いで。地面に顔から落ちたとき
に、アスファルトのギザギザで顔が削られてしまい。
大根をおろすように。すごい勢いだったので、顔の
半分以上が。




 その人は 地面にめりこんだのではなく



 顔が半分 なくなっていたのです




 近くでそれを見てしまったお兄さんは、そのあと
色々あって、今も病院に通っています。私が会った
とき、私の顔を見ても挨拶もしないで部屋に入って
しまいました。Sさんが言うには、ひとりで部屋に
閉じこもることが多くなったそうです。


 その曲がり道には、それからしばらく、きれいな
花が飾られていました。


 Sさんは、今でもときどき。その道を歩いて通る
そうです。



$うさ喫”茶-おお!?