オレはクロスケ。
真夏の夜の怪奇現象は
見開いた目の
奥からエメラルド色に美しく輝く
まん丸なオレの瞳である。
さてご主人様は
トウシューズを何としても
モノにすると決心したようで
毎日毎日トウシューズと
何かしきりにやっている。
廊下を見るとマットを敷き
足の裏を熱心に動かしている。
話しかけてくると面倒だから
知らぬ顔をして行く。
今日は
あたかもはりつけの刑にあった
人の様な姿になった。
膝が伸びないようで苦労している。
ご主人様は呑気に笑って
何だか竹馬に乗っている気分だ。
先生はそれだからダメだという
目つきで見ている。
オレの前足の方がピンと伸びている。
先生に見てもらいたい。