脱ガラパゴス化する日本の「空」 編集委員 西條都夫
2014/4/15 7:00 日経
日本のケータイ電話のガラパゴス化が指摘されたのは一昔前だが、もう一つ筆者が前々から「これはひどいガラパゴス状態だ」とひそかにあきれていた産業がある。それをここでは、エアラインと空港をひっくるめた「空の産業」と呼んでおこう。その「空の産業」のガラパゴス症候群にようやく是正の動きが出てきた。
■症状その1 乗客利便を無視した空港の内際分離
これは言うまでもなく、羽田と成田の首都圏二空港のことだ。羽田だけでは首都圏の需要をまかないきれず、成田に2つ目の空港をつくった事情は理解するとして、「羽田は国内便、成田は国際便」という固定的なすみ分けを長年続けてきたのは失敗だった。国内線と国際線の乗り換えが非常に面倒で、こんなことを続けていては、韓国・仁川空港などとのハブ(拠点)空港競争に勝てるわけがない。
その意味で先月30日から羽田発着の国際路線が大幅に拡充されたのは、前向きなニュースだ。地方空港から朝、羽田に出てきて、それから一時間程度の乗り換え時間で、欧州便などに乗り継げる。羽田に到着した外国観光客も地方に乗り継ぐことが容易になり、日本各地の活性化にもつながるだろう。
西條都夫(さいじょう・くにお) 87年日本経済新聞社入社。産業部、米州編集総局(ニューヨーク)などを経て企業報道部編集委員兼論説委員。専門分野は自動車・電機・企業経営全般・産業政策など。
羽田の国際化ほどは目立たないが、成田の国内化も着々と進んでいる。スカイマークや格安航空会社(LCC)のピーチ・アビエーションなどが就航し、1日14便の札幌便を筆頭に毎日70便が日本全国15都市に飛んでいる。これも地方の人や地方に行きたい外国人にとっては朗報だ。
羽田と成田のすみ分けは国内線と国際線ではなく、単価の高いビジネス顧客が都心から近い羽田を利用し、費用を安く上げたい観光客はLCCの多い成田を使う、というのが本来的な姿といえる。
■症状その2 LCCの不在
欧州や米国、そして東南アジアでLCCが市民権を得て久しいが、日本ではつい最近までLCCが存在しなかった。「なぜですか」と航空関係者に聞くと、「日本人はフルサービスのエアラインしか乗りたがらない」という声もあったが、これはやはり間違いだったようだ。
ピーチが国内初のLCCとして2012年3月に就航すると、ジェットスター・ジャパンなどがそれに続いた。ANAホールディングスとの合弁で日本市場に参入しようとして失敗したマレーシアのエアアジアは「2015年をメドに日本に再参入する」と表明した。事業パートナーには楽天など非航空会社の名前が挙がっている。
日本のLCCの旅客シェアは5%程度。30%を超える欧州やアジアに比べるとまだまだ後進国だが、今後の伸びに期待したい。
■症状その3 貨物ハブの不在
米国にはフェデックスがハブ空港として利用するメンフィス空港のような航空貨物の拠点空港があるが、日本ではそれが不在だった。だが、ANAとヤマト運輸が共同で拠点の整備に動き出した那覇空港がアジアの貨物ハブの座を狙えるかもしれない。
那覇は東南アジアや台湾、中国とも近く、航空ネットワークの扇のカナメのような場所に位置するからだ。ヤマト運輸の幹部によると、「日本で今日出荷した荷物が、明日にはシンガポールや上海の個人宅まで届く」という。イチゴのような農産品や小さな補修部品の配送に利用する事例もすでに登場している。
■症状その4 再編の不在
米国の航空産業は相次ぐ再編で大手3社体制に集約され、欧州でもブリティッシュ・エアウェイズとイベリア航空の合併など国境を越えた統合が進んだ。だが、日本では2002年の日本航空と日本エアシステムの統合以来、大きな再編は起きていない。
2010年の日本航空の経営破綻が次なる再編の好機だったが、結局、単独での再建に成功し、再編にはつながらなかった。ANAと日本航空の2社が中核にいて、スカイマークやピーチなどの新興企業がそれを取り巻く構図が続くのか、今後の展開次第で構図を塗り替えるような大きな変化があるのか注目したい。
「空の産業」は売り上げ規模などで言えば、自動車などに比べて、取るに足らない存在だが、世界が緊密に結びつき、ビジネスや観光で人の往来が活発化するなかで、戦略的な重要性は今後ますます高まるだろう。脱ガラパゴス化の加速に期待したい。
日本の空は、
わざとガラパゴス化しているのだと思った方がいい・
千葉の空港を、わざと東京国際空港と言ってみたり・・
利用者を無視した、地方空港をやたら作る。
3500万人住む・・東京圏のやっと羽田を拡張したが・
しかし、LCCは、ない・・
2500万人住む・・東京都と神奈川の横田と厚木基地は、そのまま・・
公務員の天下り先の確保のために・・わざとか??
マスコミよ、もっと・・しっかりしろよ!!