アベノミクスの限界をどう突破するか !!?? | 東京リーシングと土地活用戦記

東京リーシングと土地活用戦記

ニーチェ・ツァラトゥストラの言葉「神は死んだ、神なんかもう信じるな」「強い風が吹く所に一人で立て!そこは非常に厳しいけれど、人間自分自身が主人公だ!風を受けて孤独になれ!」「真理などない。あるのは解釈だけ」いいねー。スバム読者申請コメント削除します。



2014.01.06 13:40
成長の鍵は中小企業の血気にあり

【日曜経済講座】成長戦略の鍵握る中小企業振興策 編集委員・田村秀男
2014.1.5 10:00
 航空法制の抜本改正を

 経済学といえば、米英流新自由主義が世界の圧倒的主流だ。モノ・サービスについては、環太平洋戦略的経済連携協定(TPP)のように、関税や規制の障壁を除去する考え方が世界の主要国で受け入れられている。

 対照的に金融の方は自由化が行き過ぎたために、米国の住宅ローン証券化商品などを膨張させ、バブルを引き起こし、2008年9月には「リーマン・ショック」という近来にない世界経済危機につながった、との反省機運が特に欧州で高まっている。

 金融主導に代わる経済成長モデルをどうすればよいのか。昨年12月初旬に来日したフランス政治経済学会のアンドレ・オルレアン会長に聞くと、「国によって違うが、フランスの場合、国内投資を重視し、中小企業への投資を増やすべきだ。産業発展に特化した民間銀行も必要だ」。同時期に来日したドイツのシュレーダー前首相は菅義偉官房長官に、「ドイツ経済再生の秘訣(ひけつ)は中小企業振興策にある」と打ち明けたという。両氏とも中小企業こそが成長の機軸になるという認識だ。

 仏独と日本は金融サービス業の競争力では米英にかなわないし、伝統的に政府による産業政策が大きい役割を担う点でも共通している。従って、両国の考え方は日本にとって大いに参考になるはずだが、アベノミクス第3の矢である成長戦略には「中小企業」を重点対象にする考え方に乏しい。
 全国規模で多くの中小企業者たちが新たな分野に果敢に挑戦していることは、前に本紙で取り上げた航空機関連中小企業による連合体(コンソーシアム)の広がりからみても明らかだ。新潟市の漆山企業団地では、約6千平方メートルの用地に国内初の航空機エンジン部品共同工場が建設中で、今月に操業開始する。新潟市ではまた、地元機械関連メーカーや新潟大学など研究機関が共同で小型ジェットエンジンと、それを搭載する無人飛行機を試作中だ。

 実現のためには国家資金の投入が欠かせないが、財源は実はいくらである。本来、国内投資に向けられるべき国民の貯蓄100兆円以上を、政府は借り上げ、米国債に投入し、外貨準備としている。この米国債を日銀が引き取れば、容易に100兆円の開発基金を創出できる。
 最大の障害は縦割り行政と、新鋭機国産化を阻止する国内法である。

 航空機関連の法制度には国土交通省が「空の安全」を確保する航空法を、経済産業省は航空機製造事業法と航空機工業振興法をそれぞれ所管しているが、いずれも許認可プロセスが複雑だ。しかも、製造事業法は昭和32年に完成した戦後初の国産旅客機「YS11」を保護するために、各社の航空機産業への新規参入を防ぐことが目的だったとされる。工業振興法はボーイング社などとの国際共同開発参加が目的で国産機開発を視野の外に置いている。この結果、新興勢力が新規参入する道は事実上閉ざされてきた。

新たな飛躍に向け、法制度を抜本的に改正し、縦割り行政をなくす。航空中小企業のパワーを生かし、超音速機開発で米欧と競う。それこそが、真の成長戦略になるのではないか。


2014.01.06 13:39
「脱金融化」とは?

【ビジネスアイコラム】中小企業が担う「脱金融化」

2013.12.26 05:00

 新自由主義を批判し、資本主義の“脱金融化”を唱えるフランス政治経済学会会長のアンドレ・オルレアン氏に最近、都内で会った。

 「われわれの分析では金融市場は公正でも効率的でもなく、経済全体を狂わせるし、経済は成長しない」「量的緩和で増発されるカネは金融市場の内部にとどまり、投機に向かう力を増幅させ、新たな株式バブルなど金融危機を引き起こす」「量的緩和で株価が上がっても、企業経営者は株主の歓心を買おうとして生産設備や雇用を増やさない」-。


 そこで、ことしの日本経済を大きく動かしたアベノミクス、とりわけ「第1の矢」、日銀の量的金融緩和策の成果を見てみる。日銀は11月までの1年間で65兆円も資金供給量(マネタリーベース)を増やし、金融機関から主に国債を買い上げてきた。量的緩和はドルなど他通貨に対する円安・株高を演出した。日経平均株価は11月末までの1年間で75%上昇し、東京証券取引所の株式時価総額は187兆円膨らんだ。


 実体経済にどれだけカネが回ったのか。マネタリーベースの増加額の97%、63兆円はそのまま日銀の当座預金にとどめ置かれている。貸し出し増加額は日銀資金供給増加額の22%以下の14兆円にとどまっている。

 対照的に、日本の対外金融資産は9月末で総額130兆円、海外の対日金融資産増加分を差し引いたネットで24兆円増えた。

 名目国内総生産(GDP)の1~9月の前年同期比伸び率は0.58%にとどまる。日銀がお金を刷っても国内の生産活動にはあまり回らないのだ。

 それでも、オルレアン氏も米国の量的緩和はリーマン・ショック後の大恐慌を防止したと認める。日本の場合も、量的緩和に背を向け、小出し緩和に終始した白川方明(まさあき)前日銀総裁時代にデフレが加速したし、黒田東彦(はるひこ)現総裁の「異次元緩和」とともに物価が上がり始めた。問題は経済成長だ。金融に頼らないで成長を果たすモデルをどう構築するか。

 オルレアン氏は「国によって、やり方は違ってくる」と言い、フランスを引き合いに出した。「経済政策は国内投資を重視し、中小企業への投資を増やすべきだ」と。日本でも、フランスやドイツに劣らず中小企業の比重が高い。ことに雇用の3分の2は中小企業が引き受けている。しかも、中小企業は大企業と違って、内需依存型である。

 アベノミクス第3の矢である成長戦略を中小企業振興に絞ってはどうか。よく目を凝らすと、志と野心に燃える中小事業者は全国にごまんといる。例えば、航空・宇宙関連の中小企業がすでに全国17カ所でコンソーシアムを立ち上げ、日の丸超音速機の開発をめざす。

 政府は参入規制を撤廃し、民間資金を呼び込む。志ある中小企業が成長を担う体制作りこそが真の成長戦略ではないか。(産経新聞特別記者・編集委員 田村秀男)


2013.10.05 13:24
新華社が「消費増税」を称賛する真の理由

カテゴリ: 田村秀男の国際政治経済学入門

中国国営の新華社通信は日本の消費増税発表を受けると、ただちに「国際社会の関心に答えた」と称賛する記事を流した。 日本の増税はなぜ「国際社会」にとって喜ばしいのか。

夕刊フジ【お金は知っている】中韓がほくそ笑む「消費増税」 円高基調の定着で日本は自壊…

10.4

 デフレ下での消費増税はデフレを加速する。安倍晋三首相はそう懸念しながら、合わせて打つ経済対策効果に望みをかけて、来年4月から消費税率を8%に引き上げると発表した。

 増税分と、円安やエネルギーコストの上昇を合わせると3~4%も一挙に物価が上がり、需要が落ちる。毎年のしかかる家計負担増8兆1000億 円を、復興特別法人税の前倒し廃止など5兆円超の対策でカバーできるはずはない。法人税率引き下げで、企業の税負担が減っても、企業がフトコロにした資金 は海外投資資金に回る。企業が国内の雇用や賃金を増やすのは無理というものだ。

 需要が減れば生産が減る。その分、個人所得も企業収益も減り、国庫に入るカネも減る。1997年度の消費増税の場合、消費税収増は所得税と法 人税の収入減をはるかに下回り、財政収支を悪化させてきた。財務官僚は失敗と認めるどころか、さらなる増税のチャンスと欣喜雀躍(きんきじゃくやく)し た。

 財務官僚ばかりではない。中国と韓国がそうだ。

 日本のデフレは円高を引き起こす。デフレはモノに比べてカネの価値が上がるからだ。これまでの「15年デフレ」の間、円相場はデフレ圧力が高まるたびに上昇してきた。

 円高局面で景気拡大に成功したのは中国と韓国で ある。中国の場合、通貨、人民元をドルに連動させているので、円高はすなわち人民元安となる。円高・ドル安時には日本からの対中投資は増えるし、日本企業 は中国の製造拠点からの輸出を増やす。5年前のリーマン・ショック後、日本では円高が加速して生産と輸出が大きく落ち込んだが、中国の輸出の回復は早かっ た。

 ところが、円安・ドル高となると、中国は一転して苦しくなる。ことし前半、日銀の「異次元緩和」効果で円安になると、中国の過剰生産がひどくなってきた。中国の鉄道貨物輸送量はことし、前年を下回り続けている。

 韓国経済も円相場に左右される。円高・ウォン安のとき、サムスンなど韓国企業は収益と輸出を伸ばし、株価も上昇する。ところがことし円安になった途端、すべてが逆になった。外国資金に依存する韓国経済は、日銀のような異次元緩和政策をとれない。金利の大幅引き下げに踏み切ると、外資が逃げ出しかねないからだ。

 デフレ効果がはっきりしている消費増税は円高要因だが、米連邦準備制度理事会(FRB)のドル札を大量に刷る量的緩和(QE)政策と併せて考える必要がある。QEの縮小は円安要因である。FRBは今回見合わせたが、来年にはQE縮小に踏み切る公算が大きい。そのタイミングで日本が消費増税を実施すれば、円の押し下げ圧力はかなり相殺されるが、デフレが進行すれば、以前のように円高基調が定着するだろう。

 増税してまでデフレ・円高にするのはよその誰のせいではない。中韓がそこでほくそ笑むのは、日本の自壊が読み取れるからだ。(産経新聞特別記者・田村秀男)

2013.10.03 00:28
読者への答ーー消費増税を踏まえた脱デフレ、経済再生の妙案はあるのか?

カテゴリ: 田村秀男の国際政治経済学入門

問 安倍首相にはそもそも延期するかしないかの選択肢しかなかったはずです

答 延期または税率圧縮の選択は安倍さんの判断で可能でしたし、安倍さんは最後まで税率圧縮をオプションとして保留していました。
問 予定どおりの税率アップと引き換えに一時的な減税措置と財政出動、さらに恒久的な直接税の減税に切り込もうというのは、現況下でとれる方策としてはベストなものではないでしょうか。
答 そもそも、財政再建が目的のはずの増税をしておいて、財政出動、ばらまきというのはスジが通りません。だから、経済対策の規模は抑えられ、中身も官僚の作文の寄せ集めに終わります。

問 安倍政権の課題は、消費増税を延期するかしないかではなく、消費増税の国民への悪影響をいかに低くするかです。
答 8.1兆円も家計から奪っておいて、効果の不確かな法人税減税など5兆円対策で需要を喚起するという考え方は、経済の論理では説明がつきません。
問 今後も消費増税による景気腰折れリスクが高まれば、さらなる経済対策も引き出せる可能性もあるんじゃないでしょうか。
デフレ脱却は、物価の上昇⇒賃金の上昇、雇用の拡大⇒消費の拡大の順とうかがいました。
答 そうです。しかし、消費増税はその好循環を破壊するのです。経済活動というのは時間という要因を伴います。消費増税による影響はその発表か らただちに効きます。消費者は増税前に駆け込み、増税後には財布のヒモを締めます。他方、供給サイドの企業は半年、1年後、あるいは2年後以降の需要をみ て生産、投資、雇用を考えます。法人税減税があろうとも、税引き前の売り上げ高と利益率予想が悪ければ、逆に投資を控え、生産と雇用を減らすでしょう。デフレ下の消費増税は国家・国民の自殺用処方せんなのです。
問 消費増税による物価上昇は、「賃金の上昇、雇用の拡大」に十分な手当てをすれば、影響を低減できると思うのは、楽観的でしょうか。
答 上記の答通りで、不可能です。

問 景気は気から、ネガティブな論よりも、デフレ脱却に向けてこれからいかなる手を打つべきか、この視点での田村さんの今後の報道を楽しみにしています
答 本当にそうしたいところです。しかし、市場経済が発達した現代で、景気の気をもたらすのは、主に株式市場です。株価が上がれば「気」が上がり、個人消費などに好影響が出ます。アベノミクスがことし前半、成功を収めたのはまさに円安・株高でありました。しかし、ムードで動く株高は持続性がありません。株価が下落し始めると、「気」が萎えてきます。個人消費も落ちます。もとより弱い企業の国内設備投資マインドも失せるでしょう。
安倍さんの消費増税正式発表後の株価下落は、米国議会の予算をめぐるごたごたのせいだとみられていますが、真相は海外投資家が増税後の日本の景気失速や円高を気にし始めたからだと思います。株価下落は国内での「気」を萎えさせるでしょう。株から離れた余剰資金は国債に回ります。国債買いは海外勢の円買いにつながるので円高になります。円高は株安です。この悪循環の始まりではないかと、心配しています。
財務省ご用達の東大教授や日経などは、盛んに予定通りの増税をすれば株式市場も国債相場も安定すると言ってきましたが、マーケットはそんな単純なものではありません。将来見込みで動くのが、欲望本位のマーケットです。
 どうすべきか。今のところ、私にできる提言は非現実的な極論しかありません。もし、株価が急落するなら、消費増税を安倍さんの手で、止める、という選択肢です。もし、そうなら、まさに朝令暮改、安倍さんは責任をとるしかない。政治的にはこれも不可能かなと。
 ただし、外部要因、中国バブル崩壊や米デフォルトなどによる米株式市場暴落などがあれば、安倍さんは緊急事態だとして増税延期、景気対策優先に踏み切ればよいのです。それこそが、宰相の指導力というものです。

2013.10.01 19:01
安倍首相の消費増税決断会見は見ていて苦しかった

カテゴリ: 田村秀男の国際政治経済学入門

安倍首相、今回ばかりは失礼ながら、あなたの消費増税決断会見は見ていて苦しかった。

経済とはしょせん需要と供給の関係で決まる。需要が減るなら供給側の企業もそれに合わせなければならないので、設備投資を抑える。 日本のGDPの6割は家計消費が占める。3%の消費増税は約8.5兆円の負担増だ。つまり需要を8.5兆円も押さえつける。需要が減るのに、復興特別法人税9000億円を繰り上げ廃止しようとも、企業が雇用を増やしたり、設備投資を増やすと考えるのは滑稽である。

もとより、アベノミクス効果は円安・株高と、10兆円の補正予算(公共投資など真水部分は5兆円)によるところが大きい。前者は米量的緩和政策に翻弄され、後者は来年度大幅縮小だ。寄せ集めで、効果も企業次第でいつそうなるか不明の5兆円の経済対策なるもので、一体、何がどうなるのか。この不確かさこそが、先行きの見込みで動く市場経済を壊すことは、これまでの官僚主導による「15年デフレ」で経験済みのはずである。

もっとも、単純なはずの経済がわからない御用学者の大学教授やメディアは、「経済成長と財政再建の両立」、と持ち上げるだろう。

そんな知性の貧困と、そこに起因する欺瞞がかの安倍晋三氏までも狂わせたのだと思う。

これで喜ぶのは中国と韓国だが、かれらは忍び笑いをこらえるのが大変だろう。


2013.10.01 13:49
消費税8%、絶体絶命のアベノミクス

カテゴリ: 田村秀男の国際政治経済学入門

安倍首相は1日、消費税率8%を正式表明。こうなれば是非もなしか。

増税でどうなるか、筆者が9月18日の時点で知った首相の増税決断を踏まえて19日付け産経朝刊に掲載したコラムが今のところすべてだ。

そこで以下は、再掲。

消費税8%、絶体絶命のアベノミクス

2013/09/19

 大型消費税増税は大きなデフレ圧力を呼び込む。政府内でこの懸念を最も強く抱いてきたのは、安倍晋三首相本人であり、最終的には消費税率上げ幅を2%に圧縮する案も考えた。ところが「その強大な指導力をもってしても予定通りの増税という政府や与党内の大勢を押し返せなかった」(首相周辺筋)。
 10月1日での消費税増税8%発表へと、安倍首相が押し切られる情勢は残念ながら事実である。
 首相は逆境のもとで「脱デフレ」をやり遂げられるだろうか。

 デフレ下では、物価の下落を数倍も上回る速度で国民の賃金や所得が縮小する。平成9年度、消費税増税で物価は上がったが、翌年度は物価下落以上に賃金下落の基調が定着してしまい、デフレは慢性化した。その二の舞いを避けなければ、アベノミクスへの信頼は損なわれてしまう。

 日銀の試算によれば、3%の消費税率アップは消費者物価を2%押し上げる。日銀のインフレ目標2%を加えると、合計で4%物価が上がりそうだ。半面、4%ものインフレ分を補填(ほてん)する賃上げは雇用需給が逼迫(ひっぱく)しない限り望みは薄い。多くの一般家計は消費を切り詰めざるをえなくなる。

 政府は増税を受けた景気対策として大型補正予算を議論しているが、財源の制約から24年度末の真水5兆円の補正予算と同水準が限度で、前年度比でみる経済成長率押し上げ効果はゼロであり、増税デフレを相殺するには不十分だ。

 設備投資減税など法人税減税も検討されているが、来年度に間に合わせることが重要だ。そもそも、消費税増税で需要を減らすと、企業の設備投資意欲が萎える。その後で減税しても遅い。各種の規制緩和や「2020東京五輪開催」も有効に違いないが、脱デフレや成長にいつから、どこまで寄与できるか、不明な部分が多い。以上、消費税増税によるデフレ圧力を政府として解消させる決め手には欠けるのが現実だ。

 最後の頼みは日銀の追加金融緩和策だ。黒田東彦(はるひこ)日銀総裁はすでに、消費税増税に伴う需要減退に対し、金融政策で対応する用意を表明している。その場合、最も期待できるのは円安促進効果であるが、容易ではない。

 増税デフレが円高を呼び、金融緩和効果を打ち消す。英国の場合、付加価値増税後、景気は一挙に後退、イングランド銀行はあわてて量的緩和を再開したが、景気を押し戻すことができない。
 消費増税のインパクトを中和できる政策は以上のように、不確実性に満ちている。
 アベノミクスは増税発表後、正念場を迎えるだろう。

2013.10.01 12:54
消費税率2%アップで劇的決断あれば

カテゴリ: 田村秀男の国際政治経済学入門

2013年 10月 1日 12:23 JST [東京 1日 ロイター]によれば、 -安倍晋三首相は1日午前、官邸で開いた経済財政諮問会議首で、デフレ脱却が「そう簡単なことではないとの認識を持つ必要がある」としたうえで「経済再生と財政健全化を両立させていくことが重要」と指摘した。

脱デフレが消費税率3%アップで遠のくという筆者などの指摘は、安倍首相もわかっているはずだ。

せめて、首相が9月18日午前まで絶えず念頭にあったという2%アップへの増税率引き下げ案を復活させ、「来年4月7%」で最終決断すれば、経済対策5兆円は消費税2%の家計負担増に匹敵するとの、もっともらしい理屈もつけられる。

そのときは反対閣僚を罷免するくらいの剛腕が必要になる。そのドラマ性は絶大で、まさに9回裏二死満塁、2ストライクと追い込まれたあとの逆転満塁ホームランとなるが.…やはり無理だったようだ。


2013.09.20 17:18
日本デフレ長期化は米欧の死活的利益

カテゴリ: 円・ドル・人民元 通貨で読む世界

デフレの黒雲が空一面を覆っているというのに、外から聞こえてくる甘いささやきにそそのかされて、家人が雨戸を開ける。そして、することはひたすら繰り返すお念仏。増税、増税、大丈夫だ、大丈夫だ、経済対策します、ばらまきますからと。

ひたすら祈祷にすがって、重病からの回復を信じるDNAがこの国の有力たちには受け継がれている。

【お金は知っている】米欧メディアが消費増税を迫る理由 デフレ長期化は死活的利益

9.20

 どの国のメディアもよその国の国民の利害の根幹に関わる租税政策には口をはさまないのが普通だ。日本や欧州のメディアが米国政府に対して「増税せよ」と迫ることなどありえない。

 ところが、最近の欧米系メディアはことあるごとに、日本の消費増税を予定通り実行せよと催促している。日本の政治や言論界は「国際社会の声」に流されやすいので、海外の有力紙の論調に感化されやすい。

 増税に肩入れしてきた日経はウェブ版で英フィナンシャル・タイムズ紙(FT、アジア版)13日付の社説全文を翻訳して紹介した。FTは消費増税を「挑戦するに値するギャンブル」「さいは投げられた」として、安倍晋三首相の増税決断を先回りして褒めたたえる始末だ。

 同じ経済メディアの米ウォールストリート・ジャーナル紙や通信社のロイター、ブルームバーグも来年4月からの消費税率3%の引き上げが決まったと断定したり、「増税しないと日本国債や日本株の相場が急落しかねない」とする市場エコノミストたちの見方をしきりに伝えたりしている。増税に慎重で、「10月初めに判断する」という安倍首相は国際包囲されてしまった

 それにしても、欧米メディアがなぜこうも執拗(しつよう)に日本の増税を迫るのか。

 考えてもみよ、上記の欧米メディアはいずれもウォール街など国際金融市場の利害を少なからず代弁する。国際金融コミュニティーとして日本の増税が極めて望ましいというコンセンサスが裏にあるとみるべきだ。

 現に、米欧の国際金融マフィアが牛耳る国際通貨基金(IMF)は日本の消費増税をせき立ててきたし、先進7カ国グループ(G7)、先進国に新興国を加えた20カ国グループ(G20)はIMFの意向に従う。7月下旬のモスクワG20財務相会議は、「財政再建よりも成長」を重視しながらも、日本には緊縮策の消費増税を求めるという奇妙な声明を発表した。

 グラフを見ればよい。日本は世界最大の外国向け資金の提供国であり、担い手は家計である。家計金融資産の多くは銀行など金融機関に預け入れられる。財務省は金融機関から円資金を調達して米国債に投資するし、金融機関自体も外国債券で資金運用する。対外金融資産はことし6月時点でリーマン・ショック直後に比べ、約1兆7000億ドル増えた。この規模は米連邦準備制度理事会(FRB)が増刷したドル資金約1兆5000億ドルをしのぐ。FRBマネーは紙切れであり、量的緩和の縮小とともに消え去るのに対し、日本のカネは家計貯蓄という本物のマネーである。

 FRBが量的緩和を縮小しようとする中で動揺する米欧市場は何よりもジャパン・マネーを欲しがる。日本は「15年デフレ」の間に家計は消費を抑えて現預金をためてきた。デフレ不況の国内では貯蓄が投資用に使われないので、余剰資金が海外に流れる。デフレを長引かせる日本の消費増税は米欧にとって死活的利益なのである。 (産経新聞特別記者・田村秀男)

2013.09.19 22:57
消費税8%、絶体絶命のアベノミクス

カテゴリ: 田村秀男の国際政治経済学入門

 大型消費税増税は大きなデフレ圧力を呼び込む。政府内でこの懸念を最も強く抱いてきたのは、安倍晋三首相本人であり、最終的には消費税率上げ幅を2%に圧縮する案も考えた。ところが「その強大な指導力をもってしても予定通りの増税という政府や与党内の大勢を押し返せなかった」(首相周辺筋)。

 10月1日での消費税増税8%発表へと、安倍首相が押し切られる情勢は残念ながら事実である。
 首相は逆境のもとで「脱デフレ」をやり遂げられるだろうか。

 デフレ下では、物価の下落を数倍も上回る速度で国民の賃金や所得が縮小する。平成9年度、消費税増税で物価は上がったが、翌年度は物価下落以上に賃金下落の基調が定着してしまい、デフレは慢性化した。その二の舞いを避けなければ、アベノミクスへの信頼は損なわれてしまう。

 日銀の試算によれば、3%の消費税率アップは消費者物価を2%押し上げる。日銀のインフレ目標2%を加えると、合計で4%物価が上がりそうだ。半面、4%ものインフレ分を補填(ほてん)する賃上げは雇用需給が逼迫(ひっぱく)しない限り望みは薄い。多くの一般家計は消費を切り詰めざるをえなくなる。

 政府は増税を受けた景気対策として大型補正予算を議論しているが、財源の制約から24年度末の真水5兆円の補正予算と同水準が限度で、前年度比でみる経済成長率押し上げ効果はゼロであり、増税デフレを相殺するには不十分だ。

 設備投資減税など法人税減税も検討されているが、来年度に間に合わせることが重要だ。そもそも、消費税増税で需要を減らすと、企業の設備投資意欲が萎える。その後で減税しても遅い。各種の規制緩和や「2020東京五輪開催」も有効に違いないが、脱デフレや成長にいつから、どこまで寄与できるか、不明な部分が多い。以上、消費税増税によるデフレ圧力を政府として解消させる決め手には欠けるのが現実だ。

 最後の頼みは日銀の追加金融緩和策だ。黒田東彦(はるひこ)日銀総裁はすでに、消費税増税に伴う需要減退に対し、金融政策で対応する用意を表明している。その場合、最も期待できるのは円安促進効果であるが、容易ではない。

 増税デフレが円高を呼び、金融緩和効果を打ち消す。英国の場合、付加価値増税後、景気は一挙に後退、イングランド銀行はあわてて量的緩和を再開したが、景気を押し戻すことができない。
 消費増税のインパクトを中和できる政策は以上のように、不確実性に満ちている。
 アベノミクスは増税発表後、正念場を迎えるだろう。

2013.09.13 15:41
デフレ下の消費増税を繰り返すのか

カテゴリ: 田村秀男の国際政治経済学入門

4-6月期GDP実質伸び率の速報改定値が年率で3.8%というのは、前期(1-3月)比を年率に換算したあくまでも瞬間風速である。天気で言う瞬間風速が速かったからといって、次の瞬間には止まるのが当然とだれもが考えるのに、経済では同じ速度が続くと思い込むバカがいる。

ちなみに実質GDPの前年同期比伸び率でみると、それは1.3%に過ぎない。実額、つまり経済実体を反映する名目GDPの前年同期比伸び率は0.8%でしかない。物価下落分だけ実質値がかさ上げされたわけである。デフレは依然、続いているのだ。

大型消費増税のデフレ促進効果を、低所得者向け1万円給付ばらまき、小手先の法人税減税や補正予算で相殺できる、と考えるのは差し引き計算しかでき ない者である。社会学的には消費増税は次世代や年金世代を養う現役勤労世代を集中的に痛めつける悪政であり、マクロ経済的には勤労者の所得を減らして、若 者から雇用機会を奪うデフレ政策であり、円高を招く。中小企業者はデフレ圧力と価格転嫁難で経営難が続く。GDPの6割を占める家計消費とその中心の勤労世代を痛めつけてあめ玉を上げるとか、消費税無税の輸出企業の法人税をまけるという発想は、消費増税を正当化する理由になりえない。物価下落以上に賃金が大幅に下がるデフレから、物価上昇以上に賃金が上がるようになって初めて脱デフレだが、現時点ではまだ入り口にすら到達していない。

【お金は知っている】東京五輪のプラス効果も…依然険しい「脱デフレ」の道

9.13 夕刊フジ

 「2020年東京五輪」決定に続き、9日発表の4~6月期の国内総生産(GDP)2次速報値が年率3・8%に上方修正された。そこで安倍晋三首相は10月初めにも、昨年の「3党合意」に基づく予定通りの消費増税に踏み切らざるを得ないとの見方が政界では多数を占めている。筆者はそれでも安倍首相は3党合意通りの増税には応じないとみる。なぜか。
 
 「アベノミクス」の本質を最もよく心得ているのは、安倍首相本人のほか、菅義偉官房長官、経済指南役の静岡県立大・本田悦朗教授と浜田宏一エール大学名誉教授であり、共通の最優先目標は「脱デフレ」。その実現に向けた首相の信念はまさに政治生命そのものと言っていい。

 安倍首相は財務官僚のシナリオに従うと「15年デフレ」の泥沼にはまり、抜けられなくなるという疑念を抱いている。財務官僚OBでありながら、消費増税によるデフレ圧力を強く懸念する本田氏と、1997年度の“橋本増税”の失敗を教訓にするべきだと主張する浜田両教授をアドバイザーに選んだ背景である。

 本田氏は木下康司財務次官と同期で意思疎通が良好だが、首相の意を裏切ることがない。本田氏が出した増税修正案は税率引き上げ幅を1%にして段階的に上げていく。その案は第1段階2%の上げ幅もオプションにしている。本田案には財務省寄りの経済学者の中にも賛同者がいるほどだが、中小企業者の間に事務負担が煩雑と反発が強い。

 浜田教授の1年延期案はその点、すっきりしている。アベノミクスの脱デフレ効果はあと1年で軌道に乗り、賃上げの基調が定着すれば、増税に伴う消費意欲の減退を避けられる。浜田教授は1年延期しても、15年には増税は必ず実行すると首相が確約すれば、財務官僚や日経、朝日新聞などのメディアが喧伝する「国債暴落」不安も払拭できると踏んでいる。

 だが、政治的な難点がある。順当に行けば次の衆院総選挙は2016年12月になるが、増税を1年ずらすと2016年10月に消費税率10%への引き上げとなり、選挙で与党にとって不利になるとの見方が多いのだ。

 首相決断の原点は、繰り返すが「脱デフレ」につきる。日本型デフレとは物価の継続的な下落と、それを上回る賃金の下落速度のことで、安倍首相はこの点をよく理解している。

 そこでグラフをみてほしい。この7月までの勤労者世帯主の平均月収と消費者物価指数(CPI)をそれぞれ12カ月単位で算出し、対比させている。勤労者収入の減り方は物価のそれと依然として大きな開きがある。消費増税で物価が上がっても賃金が上がらなければデフレ基調に舞い戻りかねない。東京五輪のプラス効果は間違いないだろうが、脱デフレの決め手になるはずはない。

 首相が「増税」包囲網の中で「脱デフレ」の道を示すためには、少なくても来年4月の3%税率アップは圧縮せざるをえないだろう。 (産経新聞特別記者・田村秀男)

2013.09.11 21:20
恐るべき衆愚ばらまき政治

カテゴリ: 田村秀男の国際政治経済学入門

困る人々がいればばらまけばよい、というなら経済政策も財政政策も、官僚も政治家も不要、無用の長物どころか、かれらは社会悪である。

社会の弱者に対するセイフティネットは、筆者もその必要性は認めている。しかし、増税の方便で「社会政策」を持ちだすのは、言語同断、スジが違う。 同級の弱者をぶんなぐっては、これで勘弁せよとあめ玉を差し出す性悪なガキの偽善的発想である。エリート官僚も政治家もこの程度のレベルの低さの発想で、 正直、がく然とする。

経済が成長してこそ機能する。経済、ことに社会保障を支え、将来の世代を育てる現役世代やこれから職業に就く若者に負担を増やし、職の機会を奪うデフレを 容認する政策を続けることが最大の問題なのだ。考えても見よ、これまで政府は税を吸い上げてはばらまき、民間の生産や所得を減らしてきた。その結果が、マ イナス成長と太る官僚機構と無能な政治集団である。安倍政権はこの負のビジネスモデルを墨守するかどうか、正念場と言っていい。


2013.09.11 11:49
デフレ未だやまず 増税は自滅の道

カテゴリ: 田村秀男の国際政治経済学入門

デフレなお衰えず それでも増税するのか


2013.9.11 SANKEI EXPRESS

 【国際政治経済学入門】

 安倍晋三首相は10月1日にも、昨年の「3党合意」に基づく予定通りの消費増税に踏み切らざるを得ないとの見方が政界では多数を占めている。財務官僚の意をくむ麻生太郎副総理兼財務相や甘利明(あまり・あきら)経済再生担当相らが、4~6月期の国内総生産(GDP)2次速報値での成長率アップや7月の消費者物価上昇や失業率の改善に加え、2020年東京五輪の開催に伴う景気押し上げ効果が見込めるとし、増税にますます前のめりになっている。もとより増税に慎重な安倍首相もこうした周囲からの包囲網を跳ね返せないのではないか、との予想が成り立つのだが、筆者はそれでも安倍首相は3党合意通りの増税には応じないとみる。なぜか。

 橋本増税の「泥沼」教訓

 まず、「アベノミクス」の本質を最もよく心得ているのは、安倍首相本人のほか、菅義偉(すが・よしひで)官房長官、経済指南役の本田悦郎静岡県立大学教授と浜田宏一エール大学名誉教授である。

 一貫して強調している最優先目標は「脱デフレ」であり、その実現に向けた首相の信念はまさに政治生命そのものと言っていい。麻生、甘利の両氏や石破(いしば)茂自民党幹事長らはこの信念を首相と共有しているとは言いがたく、むしろ「ポスト安倍」の機会をつかむためには、GDPの5割相当に匹敵する予算を支配する財務官僚を味方につける方が有利との、政治家特有の打算が働くはずだ。財務官僚も心得たもので、増税と引き換えに「大型補正」の餌を自民党要人の目の前にぶら下げている。

 安倍首相は、1997年度の橋本龍太郎政権の消費増増税など財務官僚のシナリオに従ってきたからこそ、「15年デフレ」の泥沼にはまり抜けられなくなったという疑念を抱いている。財務官僚OBでありながら、消費税増税によるデフレ圧 力を強く懸念する本田氏と、橋本増税の失敗を教訓にするべきと主張する浜田両教授をアドバイザーに選んだ背景である。本田氏は木下康司財務次官と同期で意 思疎通が良好だが、首相の意を裏切ることがない。本田氏が出した増税修正案は税率引き上げ幅を1%にして段階的に上げて行く。

 その案は第1段階で2%の上げ幅もオプションにしている。本田氏はもとより増税延期論者だったが、木下氏ら財務省幹部の工作ぶりからみて、延期は無理と見て、熟慮の末に考え出したのがこの小刻み案である。本田案はデフレ圧力を大幅に緩和すると見込まれ、財務省寄りの経済学者の中にも賛同者がいるほどだ。だが、中小企業者の間に事務負担が煩雑と反発が強いこともあって、政治的には実現が難しいだろう。

 浜田教授の1年延期案はその点、すっきりしている。アベノミクスの脱デフレ効果はあと1年で軌道に乗り、賃上げの基調が定着すれば、増税に伴う消費意欲の減退を避けられる、というわけである。浜田教授は1年延期しても、2015年には増税は必ず実行すると首相が確約すれば、財務官僚や日経、朝日新聞などのメディアが喧伝(けんでん)する「国債暴落」の不安も払拭できると踏んでいる。だが、政治的な難点がある。順当に行けば次の衆院総選挙は16年12月になるが、1年増税をずらすと16年10月に消費税率10%への引き上げとなり、与党にとって不利との見方が多いのだ。

 首相決断の原点は繰り返すが「脱デフレ」に尽きる。日本型デフレとは物価の継続的な下落と、それを上回る賃金の下落のことで、安倍首相はこの点をよく理解している。まず、消費者物価指数(CPI)だが、国際標準であるインフレ指数は生鮮食料品とエネルギーを除く「コアコアCPI」であり、天候や中東情勢からくる変動要因を除いた実物の需給関係を反映する。甘利氏は総合物価指数が上向きになったことで「脱デフレの兆し」を強調するが、コアコアで見れば、CPIはこの7月まで下落基調は衰える気配がまったく見られない(グラフ参照)。民間設備投資も肝心の製造業は依然海外志向で、国内向けは低調だ。新規雇用は依然として賃金の安いサービス業主体で、勤労者所得も前年を下回っている。東京五輪のプラス効果は間違いないだろうが、脱デフレの決め手になるはずはない。首相が「増税」包囲網の中で「脱デフレ」の道を示すためには、少なくとも来年4月の3%税率アップは圧縮せざるを得ないだろう。(産経新聞特別記者・編集委員 田村秀男/SANKEI EXPRESS)

2013.09.09 06:16
シリア危機でバラされた「日本国債暴落説」のウソ 実は米国債の方が不安

カテゴリ: 円・ドル・人民元 通貨で読む世界

日経は9月2日から3回、代表的な財務省御用学者に経済教室欄を提供し、執拗に日本国債暴落不安をあおり立てた。財務官僚上がりの黒田東彦日銀総裁も唱和するくらいだから、増税翼賛会の執念はすさまじい。黒を白といいくるめる強引さには驚くが、日本国と国民に負担を強いて利益とするのは財務官僚ばかりではない。

【お金は知っている】シリア危機でバラされた「日本国債暴落説」のウソ 実は米国債の方が不安

9.6

 「シリア危機」が伝えられると、世界の投資家は「比較的安全資産だとみられる日本国債」に「質への投資」が進んでいる(日経新聞朝刊8月29日付)。おやおや、日経、朝日新聞など全国紙は、日本の政府債務は世界最悪水準で、予定通り消費増税しなければ国債は暴落する恐れがある、と盛んに喧伝してきたのに、いったいどっちが本当なんだい?

 日経に代わって、拙論が答えよう。日本国債は暴落不安などない。財務省やそのお先棒を担ぐメディアにだまされないのが、マーケットなのだ。

 財務省が国民をだます常套(じょうとう)手段が、「国の借金」 なるもので、その残高が6月末時点で国民1人当たり792万円の借金を背負っていることになる、と発表している。国債の大部分の保有者は日本の金融機関で あり、そこに資金を預けているのは国民である。つまり、債権者のはずの国民を債務者にすり替え、しかも、増税を受け入れてもっと税金を払ってこの借金を返 しなさいと言うのだから、悪質な詐欺行為である(詳しくは拙著「財務省オオカミ少年論」参照)。

 とはいえ、きまじめな日本人である。政府債務の絶対額が経済規模に比べて大きいのは間違いないから、やはり不安だと感じる向きは多い。だが、ちょっと待てよ。

 現代の市場経済制度では、資産と負債を対照して信用度を計る。つまり、債務から資産を差し引いた純債務が問題なのだ。そこで、日米両国政府の純債務をみると、2011年度末で日本は473兆円、GDP比97%、米国は14兆8000億ドルで同95%である。日米の債務水準はほぼ同じなのだ=グラフ。日本国債が「やばい」なら米国債は大丈夫なのか。実は、米国債の方が日本国債よりも不安いっぱいだ。

 まず、日本国債の90%以上は日本国民の貯蓄で賄われている。そのうえ、「異次元緩和」の日銀が買い増しするゆとりが十分ある。米国の場合、国債の3分の1は外国勢に依存している。外国勢の最大の勢力は中国共産党の支配下にある中国通貨当局や政府系投資ファンドである。北京が米国債を対米戦略のてこに使う恐れをワシントンも強く抱いている。

 米連邦準備制度理事会(FRB)による国債買い入れも限度に来ている。外国の投資家はそれをよく知っており、米国債よりも日本国債を安全な資産として買い続けるので円高を引き起こしやすい。

 日本がデフレを進行させる消費増税に踏み切れば、税収は減り続け、増税→デフレ→財政悪化の悪循環から抜け出られなくなる。日本の国と若者の将来をなくし、究極的には日本売りを呼び込むだろう

 これまでのようにデフレ日本の国内で使われない貯蓄は、米国に流れて、米国債市場安定に貢献する。ワシントンは日本の増税にニンマリし、国際通貨基金(IMF)を使って、盛んに消費増税を催促している。(産経新聞特別記者・田村秀男)

2013.09.06 17:06
世界に比類なき日本人を貶める裏切り者たち

カテゴリ: 田村秀男の国際政治経済学入門

以下、東北の読者O氏から頂いた激励状への返事を紹介します。

O様

お便り、ありがとうございました。

 消費税増税の問題は、「税率の引き上げ即ち社会保障財 源の確保及び財政均衡」という一見するともっともらしい名分が実は真っ赤なウソであるということです。消費増税すれば経済を支える最大の項目である家計の 消費が抑えられるし、企業は生産や雇用を絞らざるをえなくなり、結局、消費税の増収分以上に法人税収や所得税収が減ってしまう、というのが1997年度の 消費増税以降、現在までの基調です。このまま大幅な消費増税を実施すればさらなる増税が不可避になるという自滅コースにはまってしまいます。
 恐るべきことに、メディアや財務省寄り学者たちは自虐的な論法で消費増税を催促しています。予定通り増税しないと、日本はギリシャのように財政破綻する、日本国債が暴落すると脅すのです。実は、日本の国家債務は資産を除く純債務ではGDP比で米国並みであり、しかも米国と違って日本国民が貯蓄によってこの債務の9割以上を引き受けています。米国は国債の3分の1を外国投資家に依存しており、投げ売られるリスクは格段に高いのです。
 優秀で勤勉な日本国民は所得が減りつづけても、現預金を毎年10兆円以上も前年比で増やしつづけ、銀行、信用金庫や生命保険会社を通じて日本国債を買い、さらに余った貯蓄は米国市場に流れて米国債市場を安定させてきました。世界に比類なき日本人の特性と貢献を無視し、日本人はダメだ、もっと税金を払わないと大変なことになると社会の公器として特権的地位を与えられている新聞や税金に支えられている東大教授たちが脅すのは、国民や国家への裏切り行為です。
 私のような批判者は、新聞界ではほぼただ一人ですが、幸い、最近ではO様のような方々から激励されるし、世論の多くも拙論に同意されるという手応えを感じます。非力ながら、引き続き、産経新聞、夕刊フジ、雑誌正論などの雑誌、拙著、ブログでの評論や講演を通じて、論陣を張っていく所存であります。
 末筆ながら、東北の復興の加速を祈念いたします。

平成25年9月6日
産経新聞特別記者・編集委員兼論説委員 田村秀男


田村さんの分析は正しいと思うね・・