古賀茂明氏このまま増税したら日本も確実にギリシャへの道! | 東京リーシングと土地活用戦記

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古賀茂明氏このまま増税したら日本も確実にギリシャへの道!



古賀茂明「一人でも多くの国民が政治に関心を持ち、声を上げることが大事なんです」
講演録「日本を再生を考える」

瀬尾: 現代ビジネス編集長の瀬尾傑です。皆さん御存じのように、古賀さんは9月26日に経済産業省を退職されました。これまで霞ヶ関の内部から改革に取り組んでこられた古賀さんは、結局、仕事を取り上げられ、いわば干されてきたわけです。「仕事をください」とお願いしたにも関わらず、「あなたにやってもらう仕事はないんだ」「仕事はありません」と言われました。古賀さんは、それならもう給料をもらっているわけにはいかないと、やむなく退職を決断されたわけです。

 官僚は本来国のために働くものですが、しかしよく言われるように省益のために働いている官僚がほとんどです。その中で数少ない国民のために働く古賀さんに仕事がない、まさに国民のための仕事はないという。霞が関はとんでもないところだと改めて思い知らされます。

 古賀さんは退職した日に、現代ビジネスに退職の弁を寄稿してくださいました。その中で古賀さんはこう書かれました。「公務員を辞めるということは改革を諦めるということではありません。これからも改革のために、今まで通り、いや、今まで以上に努力していきたいと思います」。今日の会はその第一歩にしたいと思っています。

 とはいえ、改革は古賀さん一人でできるわけではありません。皆さんの力と知恵を出し合ってみんなで改革に取り組みことが必要だと思います。今日の会の名前を「古賀茂明と日本再生を考える会」としたのは、古賀さん一人に任せるのではなく、我々も知恵を絞り汗をかき日本の再生を進めたいという思いからです。

 それでは、古賀さん、よろしくお願いいたします。

古賀: 皆さん、こんばんは。


 今日は会場に本当にたくさんの皆さんにお越しいただいて、本当にありがとうございます。ネットで申し込まれた方がほとんどだと思いますけども、そのせいか、若い方が多いなと思います。年配の方が多いといけないっていうわけじゃないんですけど、やっぱり若い方がたくさん来ていただけると、何となく日本の将来が明るいんじゃないかっていう気がして非常に嬉しく感じております。

 私の本を読まれたり、あるいはテレビ、ラジオで私の話を聞いていただいてる方にとっては、いまから話すことは聞いたことがあるなと思う話もあると思いますが、そこのところはお許しいただければと思います。

 今日(10月20日)は、九州電力のヤラセ問題で九電の対応に国民の怒りが集中しているという話があります。それを取り上げながら関連する課題に触れていきたいと思います。

 ここにいらっしゃる方はよく御存じだと思いますが、九州電力はヤラセ問題で第三者委員会を作って、真相は何だったのかという調査を、郷原信郎先生という弁護士の方を委員長に据えてやってもらったわけですね、その中で真実を究明していこうと。

 これは不祥事があったときによく採られる形態です。役所でもたまにそういうことがあります。私も以前、独立行政法人に出向していたことがあるんですけども、そこでスキャンダルが起きたときに、やはり弁護士の先生をヘッドにして第三者調査委員会を作って、いろいろ真実解明と改善策の提言をやってもらったことがあります。

今回もそういう形なんですが、せっかく第三者調査委員会で非常に緻密な事実解明、それに提言をしてもらったのに、九州電力はなぜか一番肝心なところの佐賀県知事が実は深く関わっていて、古川(康)知事の言葉がかなり決定的な原因になったんだというくだりを外して経済産業省にことの顛末の報告書を出した。

 私はこれを見ていて、これは九州電力だけの問題じゃなくて、いまの日本の政治とか行政とか、あるいは電力会社という世界に共通の構造的問題を現しているなと感じたんです。それは何かと言うと、恐らく皆さんもすごく感じていると思うんですけれども、どうもいまの政治、行政、あるいは電力事業の世界では、まず一つは「情報を隠す。出さない」という体質があると思う。

 二つ目に「間違いを認めない」、だから「謝らない」。これも共通の問題じゃないかと。

 そして三つ目に「責任をとらない。責任をとりたくない」ということもあると思います。責任をとらない、とりたくないということは、「リスクをとらない」ということに繋がります。「情報を隠す」「間違いを認めず謝らない」「リスクをとらず責任もとらない」、この三つの問題が至る所に見られるなと感じております。

 例えばヤラセ問題は九電だけじゃないわけです。経産省が調査をしたら、あちこちで実はヤラセが行われていたと、しかもそれは電力会社だけの問題じゃなくて経産省自身も関わっていたことが明るみに出ています。

 でも、その時に真実を本当に出しているのかという点に非常に実は疑問があって、皆さん余り気が付いていらっしゃらないかも知れませんけども、経産省は調査をして結果を発表しました。あちこちでヤラセがあったと自ら自分の悪いことを開示したように見えたんですけども、あの調査は過去5年についてなんですね。

 過去5年というのは、小泉政権のころタウンミーティングのヤラセ問題があったんですが、その後なんです。つまりタウンミーティングのヤラセ問題はかなり大きく世論の中で取り上げられたので、その後ヤラセをものすごく自粛したんですね、そういうことをやるっていうことを。それまではむしろ私の感覚では、日常的にごく当たり前に行われていたと思います。

 そうすると何で5年で切ったのかというと、もちろんいろんな資料がなくなっていることもあるのでしょうが、10年前まで遡って調査をやったら飛躍的にヤラセの数が増えて出てくる可能性がある。

 それからちょうどそのころ資源エネルギー庁の幹部とか担当の部長・課長をやっていた人たちが、いまの経産省の幹部であるということで、5年以上遡ると非常にまた問題が出てくることが分かっていたので、一応5年で切ったということだと思います。真実を発表しますよという姿勢を見せているんですが、実はその陰には本当はもっと大事なことがたくさん隠れているのに隠していた可能性が高いなと、私は思っています。

 「間違いを認めない。謝らない」というのも至る所にあります。「責任をとらない」のとセットになってくるわけです。例えば経産省は「ヤラセの問題がありました。関わっていました」と言ったんですが、じゃ関わっていた人たちの処分はどうなったか。皆さん、御存じの方いらっしゃいますか?


 ほとんど報道されていないんですけれども、戒告と訓告という処分です。戒告は正式な処分の中では一番軽いものです。一応記録には残りますけど、別に給料が下がるわけでもないし大したことありません。気をつけろよって言われて、それだけのことです。そして訓告というのは非公式な処分です。記録にも残りません。その人の評価には何ら影響がないという形です。その程度の処分を行っています。非常に軽いんですね。責任を取るという感覚が余り見えない。

 記憶に新しいんですけども経産省の松永(和夫)事務次官・・・、ちょっと横道に逸れますけど、私が麻布中学・高校なんですが、松永さんは麻布の先輩なんです。「先輩なのに仲が悪いの?」ってよく聞かれるんですが(会場から笑い)、別に仲が悪いとかそういうことはないんですが。

 その松永さんは次官を辞めました。それから、ほぼ同時期に細野(哲弘)さんという資源エネルギー庁の長官がやっぱり辞めました。それから、寺坂(信昭)さんという原子力安全・保安院の院長が辞めました。3人が辞める、このときに新聞は一斉に「更迭」という言葉を使って書いています。

 「更迭」とは辞書を引くと、悪いことをしたという意味合いは本来はないみたいですが、世の中的には「更迭」と言ったら何か悪いことをして責任を取って辞めさせると理解されるんですけども、ところが蓋を開けてみたら普通の退職で、しかも2割増しの退職金を受け取っていた。その御三方が謝罪の会見をするかと思ったら、もちろんそんなことはない。「規定があるから2割増しの退職金をもらったんですよ」と一言、松永さんは言われてましたけれども。経産省の幹部もヤラセの問題や原発事故の後の不手際に対して責任をまだ取っていない。

 それから東京電力、これも本当に不思議な話なんです。あれだけの大変な事故を起こしながらいまだに辞めた役員は社長だけなんです。基本的にみんな残っているんですね、給料はカットされたりしていますが。こんなことがどうして起きるのかなと思いますね。

 政治家の世界でも海江田(万里)大臣は一回「私は辞める」と言いましたけども、結局ずっと辞めないで内閣が終わるところまで残って、責任を取ることはしなかった。

 私にとって最後の大臣になった枝野さんは、官房長官で非常に重要な役割を果たしたんですけれども、この方も例えば一番最初のSPEEDIの情報をいち早く公表していれば、間違った方向に逃げて被曝する人がたくさん出ることはなかったはずなんですけれども、そういったことについて一切責任を認めていない。

 あるいはメルトダウンも、あれだけ海外の科学者が口を揃えて「メルトダウンだ」と言っているのに、「メルトダウンという証拠はない」と。あるいは人体への影響についても、有名な「直ちには影響はない」とずっと繰り返し言って・・・、ある意味あれは正しい警告で、「そのうち影響はありますよ」っていう意味だった言う人もいますけれども、そういったことについてかなりの責任があると思うんですが、枝野さんも責任を取るどころか経済産業大臣として復活している。

 九州電力から見ると「あれだけの事故を起こしながら誰も責任取ってないじゃないか。俺たちがちょっとヤラセをやったくらいで何で責任を取らなくちゃいけないの」と見えるでしょう。多分、九州電力の幹部の人たちは「枝野さんには言われたくないよな」という気持ちを持っていると思います。

 つまりこの世界は本当に誰も間違いを認めないし、謝りもしないし、責任も取らない。それが当たり前の世界になってしまっている。だから九州電力も同じように、情報は出さないし、間違いは認めないし、謝らないし、責任も取らないとなっているんじゃないかなと、私は感じました。

 僕が一番可哀想だと思っているのは、中村幸一郎さんという審議官。原子力安全・保安院で一番最初に記者会見した人です、僕よりちょっと下の人ですね。非常に真面目だし正義感も強い。

 原子力安全・保安院の幹部の中では唯一の原子力工学の専門家だったんです。彼はやはり記者にいろいろ聞かれたら、良心があるからメルトダウンについて否定できなくなったんですね。その可能性を認めてしまった。

 そしたら翌日に事実上の更迭ということで、真実を言った人があたかも悪いことをしたかのように追いやられる。他方で真実を隠していた人たちが何ら責任を取らないまま残ったり、大臣を続けているという非常に大きな問題だと思っています。


〔PHOTO〕gettyimages
 いま海江田さんと枝野さんの名前を出しましたが、余り詳しく話していない話をしますと、私が辞めるときにはいろいろなことがあったんですが、海江田大臣のときに、海江田大臣が「私の部屋のドアはいつもで開いている」と国会で言われました。

 そういうふうに言われたら行かなきゃいけないのかなと、私は「クビだ」と言う前に呼んでほしかったなと思ったんですけれども、とにかく大臣にアポイントを取って会いに行ったんですね。その時のことをお話しします。

 私は会う前に海江田さんに、「この会談は普通の人事の話し合いとはちょっと違うから、マスコミにフルオープンでお願いします」とお願いをしました。秘書官を通じて何回か駄目だという話があって、それでもオープンにしてくれということで・・・。そういうやり取りは全部オープンにしていたので、当日マスコミの人がものすごい数集まってカメラもたくさん来てくれて、でも結局は入れなかったんです。

 部屋に入って海江田さんに「初めまして」って言ったんです。というのは海江田さんとは一度も会ったことはなかったんですね。私が「初めまして」って言ったら、「おう、初めてだったかなあ」って言われました。で、やっぱりすごく気にしているんです、マスコミにフルオープンっていうことを。大臣室ですからドアを閉めてしまえばシーンとしているし外の騒ぎは一切聞こえない。

 座るなり最初に言ったのは、「古賀君ねえ、何かマスコミ・フルオープンとか何とか言ってたよなあ。あれはもういいんだろう」って言われたんですね。僕は「いや、駄目です」とはっきり言いました。多分彼は自分は大臣で偉いし、私に対して「もういいだろう」と言えば「もう結構です」と言うに違いないと思い込んでいたみたいなんですけども、私は「駄目です」って言ったらびっくりするんです。「えっ、何で、何で、何で」って3回聞いたんです(会場から笑い)。

「だって、みんな注目してますよ。人を入れないでやると後で起きることは、事務方が私に都合の悪いようにヘンな情報をバーッと流すでしょ。私は一人だから、それに対抗して一生懸命否定しても掻き消されちゃうじゃないですか。ずっといままでそうだったんだから、そういうことが起きないようにしてほしい。だからフルオープンでやらせてください」と。

 すると「そんなのは非常識だ」と彼は言いました。私は「非常識っていうのは大臣の判断かも知れないけど、私は非常識だと思いませんよ。大臣、何か困ることがあるんですか」って言ったら、「いや、僕は構わないよ」と。私は「私も困りません。だったらオープンにしていいじゃないですか」と言ったんですけど、「いや、そういうもんじゃない」とか何とか言って・・・。

 それで時間がなくなっちゃったら困るんで、それくらいにしましたけども、つまりやっぱりものすごく気になるんですね、国民の目が。フルオープンにしたら自分に勝ち目はないと思っているんでしょう。

 要するに一人でも多くの方が、政治家が何をしているのか、何を言うのかということに、大きな目を見開いて耳を傾け監視していく。監視するだけじゃなくて声を上げていくことが大事なんです。最近日本でも、この間、原発の関係でかなり大きなデモがありましたけれども、ああいうことも一つの形です。

 それから今日は若い方が多いですけれども、ツイッターとフェースブックとかメールとか、いろんな新しい手段があって、余りおカネも掛けずに労力も掛けず、自分の考えをいろんな人に瞬時に伝えることが可能になっています。だから政治家をよく監視して、かつ自分たちは何を考えているかを伝えていくのが確実に力になるなと思っています。

 今日お集まりの皆さんは、すごく政治にも関心があるでしょうし、行政の在り方についても関心がある方々ばかりだと思います。是非そういう活動を活発にやっていただけたら有り難いと思っています。

 最近話題になっている例えば年金と定年延長の話とか、あるいは復興増税も含め財政の問題、こういうことの関連で「成長をどう考えるか」ということをお話ししておきたいと思います。

 よく財務省は「日本は1千兆円の借金があって借金で首が回らない。このまま行くとギリシャになる。だから先のことを考えてやはり増税が必要なんだ」と言っています。最近は財務省の幹部が何人もぞろぞろ揃って、各新聞社・テレビ局を回っています。各新聞社は論説委員のエライ方から、何人も集まって、財務省の幹部から御高説を賜る。そういうことをやってます。

 新聞もかなり色が分かれているので、皆さん、読んでいる新聞が違うと、隣の人と全然違う世界に住んでいる可能性があるんですよ。最近、産経新聞もかなり増税反対のキャンペーンを相当強烈にやって、国税が調査に入りました。それくらい財務省は一生懸命、増税、増税と言っているんですね。

稼がないから借金が返せない

 「ギリシャにならないために増税」「将来の安心のために増税」っていうキャッチフレーズで、何となく国民の皆さんもやっぱり財政が大変だという理解はある程度深まっている。「やっぱり増税、しょうがないな」と思っている方も多いと思うんですね。ですが、私が今日申し上げたいのは、いまのまま増税していけば確実に「ギリシャへの道」だということです。つまり財務省は「ギリシャにならないために増税だ」と言っていますが、私は「いまのまま増税すればギリシャへの道だ」と反対のことを言っています。

 その意味するところは、いまギリシャはどうなっているのか見ていただければ分かると思います。借金が嵩んで返せなくなった。ドイツとフランスが助けてくれない限り破綻です、というところに追い詰められているわけです。では、ギリシャは増税しなかったのかというと、ちゃんと消費税を上げています。20%になっています。もっと上げろと言われていますが、すでにこれ以上上げられませんというところまで上がっています。

 よくギリシャは公務員の数が多いと言われています。メチャクチャ多いので、公務員のリストラをやると言われています。それからムダな歳出が多い、年金カットしろといろいろ言われてます。それらすべてをやりましょうということになっている。でも、それで財政が再建できると思っている人は誰もいないんですよ。マーケットは、そんなことやったって焼け石に水だということをよく分かっています。だから、破綻に追い込まれたんです。

 なぜそんなのでは駄目だって言っているかというと、ギリシャには稼ぐ力がないんです。借金は大きくたって何の問題もないんです、返せれば。大きな企業で何兆円も借金している企業はたくさんあります。でもそれを返せるだけ稼いでいるんです。だから借金が大きいから潰れるっていうことはないんです。国の経済もまったく同じです。借金が大きいから潰れるんじゃなくて、返せないから潰れるんですね。

 日本の場合は、もちろん借り過ぎだとは思います。じゃ、借り過ぎちゃった場合にどうすれば返せるのか。もちろんムダも省かなくちゃいけないし公務員改革とかリストラもやらなくちゃいけない。しかし、それだけではだめです。借金を少しでも減らしていくためにどうすればいいのか。

 結局、日本はいま稼げなくなっているんですよ、それが最大の問題なんですね。ついこの間まで消費税を1%上げれば2・5兆円税収が入るといわれた。消費税1%=2・5兆円と、覚えやすい数字だったので記憶されていると思いますが、実はいまはもう1%上げても2・1兆円しか入らないんです。なぜかというと、この20年間ずっと日本の経済はデフレで縮小しているんですね。


 「成長」と言うとき、よく「実質経済成長率」というのを使います。実質経済成長率というのは要するに物価上昇分を差し引いた伸び率のことです。その差し引く物価上昇率がマイナスなんです。マイナスを差し引くからプラスになっちゃっう。物価が下がった分、成長が大きく見えるんですね。ところが、我々が普段おカネのやり取りをしている現実の世界においてはずっと日本の経済は縮小しているんです。だから消費税を1%上げても、昔だったら2・5兆円増えたけど、いまは2・1兆円しか増えない、そういうふうになっている。

消費税を20%にしても追いつかない

 そういう中でいま財務省は増税をしようとしています。そうすると経済はもっと縮小していきます。で、また税収は減ります。足りないからまた増税します、とやっていって消費税を20%まで上げるという。プラス15%の増税です。15%の増税で、仮に1%=2兆円としても30兆円です。

 今年の国債発行額は44兆円ですから、消費税を20%にしても国債の発行をゼロにはできない。つまり借金は減らないんです。25%にしてぎりぎりトントン。借金を減らすんだったら30%くらいにしなきゃいけない。所得税とか年金とか払った上に、更に3割消費税に持っていかれます。こういう世界で財政再建をしましょうということになるんです。

 私が言いたいのは、「そんなやり方ではなくて、稼げるようにしなくちゃいけないでしょ」ということなんですね。

 ではどうやって稼ぐのか。必ず成長分野としてあがるのが農業です。「これから農業ですね。人口もどんどん増えているし、途上国の所得が非常に上がってきていろいろなものをどんどん海外から輸入するようになって農産品は必ず足りなくなります。日本の農業は輸出のチャンスです。これから大きく伸びるんだ」と。

 それから医療。「高齢者がどんどん増えます。医療を産業化すればこれも大きなチャンスがあります」と言うんです。これも正しいと思います。

 またエネルギー分野もそうです。「これから原発に頼らない。二酸化炭素を減らさなくてはいけない。だから再生可能エネルギーをどんどん増やさなくてはいけない。この分野もものすごく伸びるんです」と。これも正しいですね。

 農業、医療、エネルギー、これらを「三つの成長分野」ってよく言うんです。けれども、よく考えると、この三つの分野って全部企業が自由に活動できないんですよ。たとえば三菱商事が三菱アグリカルチャーという会社を作って、小規模農家から土地を買い集めて大規模農業にやります、株式会社で参入しますって、言うのはできないんですね。

 それから、医療で株式会社は病院を持てません。エネルギーの分野は、電力会社は全部株式会社ですが、それ以外の企業はほとんど自由に参入できない。つまり成長するはずだって言っている世界で、企業が自由に活動できないんです。日本は資本主義で自由主義、その国で企業が活動できないところが成長分野ですって言う。これはほとんど笑い話ですね。

 だからそれをもっともっと自由にすればいいんですけど、じゃ、どうやって自由にするんですか。自由にしたら困る人たちがたくさんいます。農業なら農協がいる、医療だったら医師会がある、エネルギーなら強力な電力会社が立ちはだかります。それが怖くて自民党は改革に手を付けられなかったんですよ。だから知らないうちにずっと日本の経済が沈んでいたんです。

戦う成長戦略を実現してほしい

 政権交代のまえは民主党なら柵(しがらみ)がないからできるんじゃないかと、みんな思った。ところが幹事長室に陳情の窓口を作ったら一番に並んだのが農協で、二番は医師会だという笑い話もあるんです。結局戦えなくなっちゃった。組合もいますしね。強いところと戦えない。

 だから財務省は、民主党、自民党に「是非、消費税を上げてください」と言いに行く。中には、「消費税を上げれば銅像が建つ」って言う政治家もいるんです。消費税を上げるというのは不人気な政策だけれど、でも責任ある政治家は不人気な政策もやらなくちゃいけない、それをやり遂げるのが立派な政治家なんだと思い込んでいるんです。私に言わせるとちゃんちゃらおかしい。


 なぜかというと、戦うべき相手を間違えているからです。強力な既得権グループと戦うのが怖いから、一番弱い消費者を相手に戦って消費税を上げる。つまり普通は「強きを挫き弱きを助ける」、これが正義の政治ですね。それとまったく逆で「強きを守り弱きを叩く」という方向にいっている。

 ですから私は、強いところと戦う勇気を持っている政治家・政党、覚悟を持ってる政治家・政党、そういうところを我々が声を出して・・・、声だけじゃなく、投票だけっていうんじゃなくて、おカネを出さなきゃいけないと思ってます。個人の政治献金ですね。そうやって支援していくことによって本当に日本を変えていく。これが「戦う成長戦略」と私が呼んでいる成長戦略です。バラマキの成長戦略ではなくて「戦う成長戦略」を是非やってほしい。

 ちょっと話し過ぎになりましたので、今回はこの辺にさせていただきたいと思います。ありがとうございました。


衆院選 「誰が食うかバカヤロー」 ビートたけし


ビートたけし 民主党のマニフェストを「レバ刺し」に喩える
2012-12-01 19:10:00

テーマ:ニュース
ビートたけし 民主党のマニフェストを「レバ刺し」に喩える

2012.12.01 07:00


政治家たちが繰り広げる選挙戦にメディアの注目が集まるが、ビートたけし氏は「イライラする」ときっぱり。11月30日配信の『メルマガNEWSポストセブンVol.42』では、選挙戦をたけし節で斬りまくった。

* * *

世の中、すっかり選挙モードに入っちまったけど、オイラは選挙戦を見てるといつもイライラするんだよ 。「今回の闘いに負けるわけにはいきません!」とか「絶対に勝ち抜くぞ、オー!」とか威勢よくやってるけど、 本来議員たちが一番気合いを入れて戦うべきは、自分たちの政策をいかに実現するかという国会の場であるはずだろ。

そっちのほうはテキトーにやってるくせに、選挙ばかりに本気になりやがってさ。選挙で勝っただ負けただのってやってるのは、結局政治家たちの私利私欲のためばっかりで、国民のことなんかまったく考えちゃいないのがバレバレなんだよ。

だから民主党が図々しくまたマニフェストを作ってるのには笑っちゃうよ。それってレバ刺しで食中毒を出した店が、「今度は新鮮なレバーを出しますんで食いに来てください」といってるようなもんでさ。まったく信用できないし「誰が食うかバカヤロ ー」って感じだよな。

そうすると、石原サンと橋下サンが組んで出した新しい店は、過激なメニューが並ぶけど、実際のところは旨いかマズイかわからない新店かな。一方の自民党の店は、古くさい味付けで代金もボッタクリで高いけど、まァとんでもないことにはならない老舗って感じでね。結局選挙に行く人たちは、新規店に挑戦する気があるか、いつもの店でいいやって守りに入るかの二択に近いことになっちまうのが寂しいとこだよな。

※メルマガNEWSポストセブンVol.42



まともな事を、言っているのが。

元財務官僚ということが、とっても悲しいですよねーー