世界経済の見通し「強い円に自信を持て」ジム・ロジャーズ氏 | 東京リーシングと土地活用戦記

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ジム・ロジャーズ氏独占取材
世界経済の見通し「強い円に自信を持て」

2012.09.08

日本は本当に経済危機なのか?

 住宅バブル、金融バブルで沸いてきた米国にも昨年、サブプライムローン問題がついに火を噴いた。証券大手リーマン・ブラザーズが破綻するなど金融危機が訪れ、さらには震源地の米国から一気に津波のごとく世界経済を飲み込んでいった。100年に1度の金融危機とも形容された今回の危機。バブルの熱狂の渦を一歩引いた場所から冷静な目で、米国経済に暗い未来が訪れるであろうことを主張し続けてきたのがジム・ロジャーズ氏でもあった。

 そのロジャーズ氏が「わたしは円を保有している。英米よりもずっと状態はいい」とYUCASEE MEDIA読者へメッセージを送った。「民事再生法を申請」「赤字転落」「派遣切り」…。ネガティブワードばかり渦巻くこの日本は、ともすれば、国民が1億総悲観に陥っているような状態にある。その中で円の力を再評価しているのがロジャーズ氏だ。このたびYUCASEE MEDIAの取材に、世界経済の見通しや今後の投資の指針などを熱く語った。

今は最悪のバブル崩壊の中にいる

 1930年代の世界大恐慌は、今でも語り継がれる歴史上の出来事となっている。1929年10月のニューヨーク株式市場の大暴落に始まり、それが引き金を引くように真逆さまに転落した。歴史は繰り返す、とは言うが、現代に生きるわたしたちもその道を歩むのだろうか。今、誰しもが世界大恐慌のシナリオの再現を恐れている中で、ロジャーズ氏は、今の不況をどのように見ているのか。

 「金融バブルが崩壊し、わたしたちは、この10年で、いや、世界の歴史上でも極めて程度の悪い、あるいは最悪とも言える景気状況の中にいます。1930年代の世界大恐慌の時もそうでしたが、今までの政治家たちが過ちを犯してきたことが原因で起きているのです」

 これまでもロジャーズ氏は、米ドルでの資産は持っていないことを事あるごとに公言。世界経済の中心が欧米からアジアに移行することを先読みして、シンガポールに拠点を移し、2人の娘にはともに中国語を学習させているほど。では、自身の故郷でもあり、その震源地である米国をどう見ているのだろうか。

 「特にアメリカ経済は、1929年の世界大恐慌までは及ばないかもしれませんが、第2次世界大戦以降、最も長い景気後退になることが予想されます。政治家たちの失敗を、これから長い時間をかけて、浄化していかなくてはなりません」

 もはや早期の回復が見込めないアメリカは、短期はもちろん、中長期でも投資対象として見ることは難しそうだ。ならば、我々、投資家はどこに活路を見出していけば良いのだろうか?

強い円に自信を持て

 ロジャーズ氏の投資先といえば、コモディティと中国株。ここ数年はずっと推奨してきた。ただ、米国経済の悪化にともなって、双方ともに受けた影響は小さくない。新たな投資対象先など、いま現在、実際にロジャーズ氏が投資している物を聞いてみた。

 「ドル資産、株などで運用するよりも、コモディティに投資する方が良いですね。他のセクターに投資するよりもずっと運用成績は上がるはずです。私はコモディティを買い続けてきたし、これからも買っていくでしょう」

 原油相場は一時の高値と比べて急落したのをはじめとして、他の鉱物資源、農作物も同様に調整局面入りした。しかし、今後もコモディティの時代だという考え方は変わらないようだ。1500兆円といわれる金融資産を持つ日本人。今の相場状況に狼狽している投資家も多いようだが、はたして日本はそんなに悪い状況なのか?

 「日本のYUCASEE MEDIAを読んでいる皆さんには、今、円資産を持つことはそんなに悪いことではないし、悲観することではない、と言いたい。まぁ残念ながら、日本の景気回復はスローになるとは見ています。しかし、英米よりも、ずっと良い状態にあります。私が投資しているかって? もちろん円を保有していますよ」

 為替相場を見ても円高が続いているように、カリスマ投資家の目には、日本はそれほど悪い状態とは映っていないようだ。日本人はもっと自信を持った方が良いのかもしれない。

ニューヨークマーカンタイル取引所の原油相場

ジム・ロジャーズ氏
 1942年10月19日、米国アラバマ州生まれ。エール大学を卒業後、1973年後にジョージ・ソロス氏とともにクォンタム・ファンドを共同設立。80年に引退。以後は世界各国を自分で旅をしながら、投資対象となる国を探した。一昨年にニューヨークからシンガポールに移住し投資活動を行っている。
(初出:ゆかしメディア )


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---『日本経済「余命3年」』という著書を書かれていますが、考え得る日本経済の最悪シナリオは?

日本経済は本当にやるべきことをすべて先送りしてきて、これ以上は先送りできない状況にある。余命が3年なのか5年なのかは誰にもわからないが、近い将来にちゃんとしたアクションを起こさなければならない。

最大の問題は財政赤字。財務省が言っていることはちょっと極端で、彼らが言うように今日、明日にとんでもないことが起こるわけではない。日本には約1400兆円の個人金融資産がある。累積債務の残高が約1000兆円だから、まだ400兆円の隙間がある。ただし、現状は国内の貯蓄が政府の債務の穴埋めに回され、この400兆円の隙間がどんどん狭まっている状態だ。

この隙間がなくなることが明確になった時点でマーケットは動き出す。『日本経済「余命3年」』は、そのタイムリミットがせいぜい3年だろうという意図で書いたものだ。

---日本の財政状態が危機的な中で個人投資家は海外投資に目を向けていますが、これについてのお考えは?


日本経済に対して、潜在的な危機感を持っている人はかなりいるはず。

特に自分の裁量で資産を蓄積して、しっかりと自分でリスク管理をしなくてはいけないと思っている人にとっては非常に深刻な問題だ。
巷の評論家がちゃらちゃらと論評するような問題ではない。 日本の財政問題を非常に深刻に考えている人が、海外に向けて投資をするのはよく理解できる。

また、多くの人が日本の為替レートは実力以上の水準ではないかと感じている。実は為替相場を実質実効レートで見ると、そんなにむちゃくちゃな円高になっているわけではない。1995年に対ドルで79円をつけたときと今の79円は意味が違う。

とは言え、この間に日本の国際競争力は大きく落ちた。「競争力が落ちたほどには円安になっていない」という意味で今の円高は深刻だ。

しかし、この円高は早晩崩れる可能性がある。

日本はデフレだが、デフレを是正するための金融政策をきちんとしていないので実質金利がまだ高い。だから円が買われている状況がある。しかし今後は実質金利が低下し、円安に転じる可能性が十分にある。為替レートが相対的に高いうちに、資産を別の通貨で運用しておくことは理に適っている。一つの通貨だけでなく、複数の通貨に分散するのは賢明な選択だと思う。

キャピタルフライトは自然な行為

---海外の資産に日本の個人投資家のおカネが行ってしまうと、日本の銀行に預けるおカネが減って、その結果国債を買えなくなる。財務省はこれを嫌がり、個人投資家の海外投資を規制したいのではないかという意見もありますが。

今は静かなキャピタルフライトが起き始めていると言える状況。 そういうことに危機感を持っている人は、財務当局の中にいると思う。

しかし、だからといって、いくらなんでもそれを規制することはできない。海外投資に規制がかかると心配する人がいるかもしれないが、そういう意味での危機感をもつ必要はないと思う。資産の健全な運用ということを考えると、海外の資産におカネが流れるのは自然な行為だ。

アルバート・ハーシュマンという開発経済学の権威が、おもしろいことを言っている。「世の中を変える力はつねに2つある。それはVoice(声を上げる)とExit(出口)だ」。まず、「今の政策じゃダメだぞ!」と声を上げる。しかし、ずっと声を上げ続けても政治は変わらない。であるならばExitから出ていく、出口から出ていくという意味だ。

たとえば今、日本の企業が空洞化で海外に移転しているのも、実はもうVoiceでは空しくて、Voiceではダメで、Exitに少しずつ向かいつつあるという状況なのだと思う。 個人のキャピタルフライトも同様

日本全体からみると情けない話だが、しかし、ひとつひとつの企業、ひとりひとりの個人はもうそんなことを言っていられない。今、日本ではそういう行動が目立ち始めているということではないか。

---個人のおカネが海外に出て優良資産に投資をした結果、利子・配当という形で日本に帰って来ると、貿易黒字が減る見通しの中で、逆に日本の経常収支にとっていいという考え方もありますが?

おっしゃる通りで、それが一つの成熟した国際収支のパターン。実はこの10年くらい、日本の商社はすでにそういう行動をとっている。資源等々に積極的に開発投資をして、そのリターンはすでに数兆円規模に達している。その結果、日本の貿易黒字は減っているが、所得収支の黒字は増えている。所得収支で稼ぐのが成熟した経済のパターンであり、日本もその姿に近づいている。

---リスクをとって海外投資をしようとしている個人投資家の方々にアドバイスを。


自分が持っている資産総額の関係で、どれくらいのリスクがとれるかを明確に判断することが必要。

一つの通貨やリスクの大きい資産にたくさんの資産を回すのは、賢い投資家のやり方ではない。
しっかり手元の流動性を確保し、自国の通貨もある程度はキープする必要がある。

しかし、しっかりとリターンを稼げるように、ある程度のリスクはとることも大切だ。そして、ローリスク、ミディアムリスク、ハイリスクのバランスをしっかりと考えるべき。 自分の将来の所得計画をちゃんともって、自分がどれくらいの資産を運用できるのかを明確に判断することが必要だ。


竹中平蔵(たけなか・へいぞう)慶応義塾大学教授・
グローバルセキュリティ研究所所長
1951年生まれ。一橋大学卒業後、日本開発銀行を経て、ハーバード大学客員研究員。87年大阪大学経済学部助教授、90年慶応義塾大学総合政策学部助教授。98年「経済戦略会議」メンバー、2001年経済財政政策担当大臣、02年金融担当大臣。04年参議院議員当選、経済財政政策・郵政民営化担当大臣


今年はもっと暗い1年に?
 昨年後半から、雪崩を打ったかのように世界の経済はメルトダウンし、経済危機の余波は例外なく日本にも押し寄せた。日本国中、どこを見渡しても不景気風が吹く。そんな1億総悲観の状況で、日本の上場企業100社以上で大株主となり「和製ウォーレン・バフェット」とも呼ばれる竹田和平さんは今、何を思い、何を考えるのか、胸のうちを聞いた。

 「金融危機は才能があるけど、徳のない人が起したこと。そのおかげで、モノは値上がりしただけで、実際にモノは何も増えてない。お金がインターネットでつながって、バーチャルなモノになったから脱線した。経済で大事なことは『貯徳』。徳がなけりゃどこに脱線するかわからんからね。それが、あっちこっちに拡がって今年はもっと暗い一年になるかもしれん」

 昨年1年だけで上場企業の倒産は30社以上にも上り、これは戦後最悪の記録。深刻なのは、トヨタ自動車のような世界的大企業でさえ危機に直面しているということ。竹田さんの地元・名古屋はトヨタの城下町だが、街の雰囲気はどうか。

 「良うない。自動車もバブルだったかもしれんねぇ。原油が高くなりすぎたもんで、それをきっかけにみんなが自転車に乗り換えてみると、この方が気持ちいいわ、と気づいたわけ。それでみんな自動車を買わなくなった。日本は今、みんなガツガツ金儲けしようという時代じゃない。でも、トヨタ(自動車)は決算が悪くて株価が下がっているだけ。値段は高くても安くてもモノはいっしょ。今、世界もモノの値段が下がってるから、もしかしたら、それを見てどうするかを考えてるかもしれんけどね」

 本当に日本に希望はないのか?

日本は自信を持て
 日本は1980年代にバブル経済を謳歌し、その後バブルが崩壊し「失われた10年」という暗く沈んだ経験を持っている。それを乗り越えてきた知恵を、今こそ発揮する時なのかもしれない。
 「景気というのは『気』。景気が悪いと楽しくないし、はまりこんで今年は本番になるかもしれん。だけど日本はバブル崩壊を20年前に経験済み。為替を見ても円高ということは、日本がそれだけ評価されているということ。世界で通貨が買われとる国は日本くらいのもんだ。なのに、日本人がバタバタしてるのはおかしいわね。英知があって徳があるんだから、もっと自信を持っていかんと」

  日経平均株価も一時は7000円を切る6994円まで下げた。多くの企業の大株主ともなっている竹田さんも例外ではなく、その影響を受けたが…。

 「そりゃ、売らないんだから。でも配当は減らないよ、増えもしないけど。価値は変わらんもんだ。放っときゃ上がるから関係ない。他人の評価で値段はいつも変わるもんだから、たいしたことはない。株は株で変わらんのだから」

 株価が上がっても下がっても一喜一憂しない。一向に動じる気配のない竹田さん。では、富裕層はこんな時代こそどのような行動をすれば良いのか?

富裕層とは心が豊かだから富裕層なんだ
 では今年1年はどんな年になるのだろうか? また竹田さんにとって今年はどういう位置づけになるのだろうか?

 「今年は不景気も本番、過去の価値観では計れない年になると思う。去年が『変』(日本漢字能力検定協会が選定した世相を現す文字)だったから、今年は間違いなく『転』になるだろう。つまり、希望の光に転じてくるという意味。日本が希望の星になったら、ええと思わんかねぇ。私も75歳になるけど、教育事業という天命をやろうと思う。若い人が一人前になって自立共生できるように、そこで経営者を育てて、これからの日本の経済対策のためにもサービス業の振興につながるようにしていきたいね」

 世が困っているとあらば、竹田流社会貢献も実践するつもりでいる。そして、国民全員が気にしているのは景気の行方。しかし一朝一夕で良くなりそうにもないだけに、どのような心構えでいればよいのか?

 「ところで、定額給付金が支給されるらしいけど、何%が取りに行くんだろう? 徳のバロメーターになるだろう。武士は食わねど高楊枝、という言葉があるように徳のある人は腹が減っても取りには行かんよ。富裕層というのは、心が豊かだから富裕層になっている。やっぱり人間、心が豊かにならんとね。何回もいうけど、景気も気だよ。みんなワクワクしたら楽しいでな、景気も良うなるでよ」

 取材中は終始、笑顔だった竹田さん。まさに「笑う門には福来る」と言わんばかり。不景気の時代にあっても、悲観することこそが最も罪悪なのかもしれない。


竹田和平氏(たけだわへい)
 竹田製菓代表取締役。上場企業100社以上の大株主として知られる。日本一の個人投資家とも言われ、いつしか「日本のウォーレン・バフェット」と呼ばれるようになった。愛知県在住。
(初出:ゆかしメディア )




経世済民なんて・・言葉は

ほんと・・出てこないネーー