対中外交の一貫性のなさ 丹羽氏処遇に悩む日本政府
2012.7.16 01:18 (産経)
北京国際空港から東京に向け出発する丹羽宇一郎駐中国大使=15日(共同)
政府は、東京都による尖閣諸島購入計画を批判した丹羽宇一郎駐中国大使を帰国させ、報告を求める異例の措置をとりながら更迭せずに帰任を許した。これでは中国への抗議の意味合いは薄く、むしろ政権の対中外交の一貫性のなさを浮き立たせただけに終わった。
「報告と協議をします」
15日午後、帰国した丹羽氏は成田ナンバーのタクシーで外務省に乗り付け、こう語ると足早にエレベーターに乗り込んだ。玄葉光一郎外相との面会後は硬い表情で「大臣に聞いてください」とだけ言い残し、外務省を後にした。
一時帰国について玄葉氏は「昨今の日中情勢に鑑み、中国側の対日政策の詳細の報告を受けた」と説明したが、それならば公電で事足りる。丹羽氏に発言の真意をただすのが目的なのは明らか。あわよくば自発的な辞任を促したいとの思いも透けて見える。
大使の帰国・召還には通常、相手国への抗議の意思を込める。平成22年11月1日にロシアのメドベージェフ大統領(当時)が北方領土・国後島を訪問した際、菅直人首相(同)が同月3日に河野雅治駐露大使を一時帰国させたのも抗議の意思表示だった。ただ、菅氏はむしろ駐露大使館の情報収集態勢を問題視し、翌年3月22日に河野氏をイタリア大使に転出させた。
丹羽氏の一時帰国にも尖閣周辺に次々に監視船を繰り出す中国への抗議の意思を込めたようだが、すぐ帰任させては意味がない。
しかも丹羽氏が中国に迎合するような発言をしたのは今回だけではない。尖閣国有化を模索する野田佳彦首相の方針と明らかに矛盾しており、「おとがめなし」の帰任は、「丹羽氏の発言を是とした」という誤ったメッセージを中国に送ることにもなりかねない。
とはいえ、簡単に更迭できない事情もある。丹羽氏は岡田克也副総理が外相当時に「政治主導の象徴」として起用したからだ。更迭は「民主党外交の敗北」を認めるのに等しい。財界との関係も悪化しかねない。
政府は夏の定期異動での「既定路線」として丹羽氏を穏便に交代させる構えだが、それでも「更迭」と受け止められるのは確実。かといって留任させれば尖閣問題はさらにこじれかねない。安易な「政治主導」のツケはあまりに大きい。
(杉本康士)
玄葉外相、丹羽駐中国大使更迭を否定 「日本の考え方正しく伝達を」
2012.7.15 22:47 産経
丹羽宇一郎駐中国大使の報告を聞くため、外務省に入る玄葉光一郎外相=15日午後(荻窪佳撮影)
玄葉光一郎外相は15日、東京都による尖閣諸島(沖縄県石垣市)購入計画を批判した丹羽宇一郎駐中国大使を一時帰国させ、事情を聴いた。玄葉氏は記者団に「丹羽氏に日本の考え方を正しく伝達するよう指示した」と語ったが、進退に関しては「(話を)していない」と述べ、更迭を重ねて否定した。丹羽氏は16日に北京に帰任する。
外相が大使を一時帰国させて報告を求めるのは極めて異例。中国の漁業監視船が11、12両日に相次いで尖閣周辺の領海に侵入したことに抗議する意味合いもあるとみられる。
丹羽氏は15日午後に帰国し、外務省で玄葉氏、佐々江賢一郎事務次官と約1時間面会した。外務省幹部によると、都の尖閣購入計画をめぐる発言について報告を受けた上で今後の対応を協議したという。
丹羽氏は伊藤忠商事社長、会長を歴任。平成22年6月に菅直人内閣が駐中国大使起用を決めた。6月7日付の英紙で都の尖閣購入計画を「日中関係に極めて深刻な危機をもたらす」と批判し、外務省は「政府の立場とは異なる」と口頭注意にした。
丹羽中国大使「日本は中国の属国として生きていけばいい」って…
2012/06/20 12:14 イザ
さて、消費税政局の陰に隠れて目立ちませんが、野田内閣は昨日、東京都による沖縄・尖閣諸島購入計画を批判した丹羽宇一郎駐中国大使について、「召還、処分等の措置をとることは考えていない」と免責する答弁書を閣議決定しました。
一方で、丹羽氏の発言を「政府の立場を表明したものではなく、不適切であった」としているのに、処分はしないと明言しているのですから矛盾していますね。外交筋は「大使の公の発言が個人的見解などということはありえない」と明確に述べていますが、野田内閣としてはなあなあで済ませたいようです。
まあ、丹羽氏の中国大使起用は、岡田克也副総理が「政治主導」で進めた話でもあり、丹羽氏は「岡田銘柄」(民主党中堅議員)ということもあるでしょう。ここで丹羽氏を処分したり更迭したりしたら、岡田氏に恥をかかせることになるという、国民にとってはどうでもいい計算も働いたことだと思います。
丹羽氏の出身母体は「中国最強商社」を自任する伊藤忠商事ですが、「伊藤忠は中国で仕入れた食料をイオンにおろしている」(外務省筋)という関係もあるのかもしれません。まあ、いずれにしろ、民主党政権の対中姿勢を如実に表している話ではあります。
で、今回は、雑誌「WiLL」7月号に載っていた作家の深田祐介氏の記事から、丹羽にまつわる部分を引用して紹介しようと思います。思わず目を疑うようなエピソードです。こういう人を中国大使にしようと考えた岡田氏の見識を改めて疑いますが、もともと彼らに見識など求める方が無理かもしれません。
《私(※深田氏)は改めて、現役中国大使、丹羽宇一郎氏に取材面談したときの驚愕と憤激を想い起こした。
当時、丹羽現中国大使は日本の一流商社、伊藤忠商事の役員であったが、中国熱に浮かされ、ほとんど発狂に近い陶酔状態にあった。丹羽氏は私に向かい、「将来は大中華圏の時代が到来します」と言い切ったのだ。
「すると日本の立場はどうなりますか」と私は反問した。「日本は中国の属国として生きていけばいいのです」。丹羽氏は自信に満ちてそう明言したのだ。瞬間、私は耳を疑い、「この人は痴呆症の段階に入っているのではないか」と思った。
「日本は中国の属国にならなくちゃならないんですか」と私が聞き返すと、「それが日本が幸福かつ安全に生きる道です」と繰り返したのである。
こういう痴呆症的人物、つまりは「売国奴」を中国大使に送りこむ日本側の感覚もまた痴呆的で、発狂状態を物語っていると言ってよい。》
……深田氏ではありませんが、この丹羽氏の発言は常軌を逸しているというか、まともではありません。民主党政権は、こんな人を中国大使に据えることでどんな国益の増進が図れると考えていたのでしょうか。まさか本当に属国への道を突き進もうと思っていたわけではないでしょうが。
丹羽氏に関しては、WiLL編集長の花田紀凱氏もきょう付の夕刊フジコラムで、昨年3月に北京の日本大使館で面会した際のやりとりをこう記しています。これまたひどいものです。
《丹羽大使、その時もどんでもないことばかり口走っていた。
南京大虐殺について。
「死者の数は30万人だか20万人だか10万人だかそれはわからない。争えば両国にとって損」
台湾について。
「台湾独立なんてとんでもない。絶対にあり得ません」
尖閣漁船衝突事件。
「マッサージに行っても、中国の庶民は尖閣のセの字も言わない。関心もってませんよ」
ODAについて。
「どんどん削ってるけど、たいした額じゃないんだから、続けるべきです」》
……聞くところによると、丹羽氏は個人的にはけっこうお金に細かいらしく、就任直後には本来、大使が個人で負担することになっている公邸料理人の供与などについても、「なんとか公費でもてないか」と随分ごねたという話も漏れ伝わっています。
この丹羽氏の評判の悪さに、岡田氏も周囲に「政権交代のコストだ」と漏らしたそうです。そんなに無邪気に、ア・プリオリに政権交代を無条件に善にして義だと肯定されてもこっちが困りますね。民主党の人たちの根拠不明の自信、何があろうと微動だにしない絶対的な自己肯定にはいつも困惑させられます。
イザ 阿比留瑠比さん
政治部記者。政治部の前は社会部、その前は文化部生活班に所属。趣味は読書とマージャン。至福の時間はビールを飲み、うまいつまみを食べながら、好みの本(漫画も含む)を読むこと。持病は喘息、高尿酸血症、逆流性食道炎などいろいろ。
ろくでもないのばかり・・・

