あなたは財務省の代弁者
「これぞ"菅落ち"(完落ち)ってやつかな」
菅直人首相を"落とした"と頬を緩めているのは、霞が関の最高峰・財務省のキャリアたちである。
「2010年度内に、消費税の改革案をとりまとめたい。税率は10%を参考とする」
首相が記者会見でこう話した際、身内の民主党議員も、閣僚たちでさえも驚愕した。「10%」という具体的な税率目標は、寝耳に水だったからだ。
ところがこの発言を、財務官僚たちは「してやったり」と、ほくそ笑みながら聞いていた。1%で2.5兆円の税収増---。消費税のアップは、財政規律至上主義をとる財務省にとって、長年の悲願だったからだ。
「かつて菅さんのような優秀な総理がいただろうか。菅さんは歴史に残る名宰相になる」(財務省キャリア)
財務省は万歳三唱。この世の春を謳歌せんばかり。
しかし、こんな簡単に完落ちしていいはずがない。民主党政権は、「行政のムダを徹底的に排除する」と宣言。公務員の人数や給与を削減し、官僚機構の既得権益にメスを入れることで、増税なしに10兆円規模の財源を作ってみせると豪語していたのではないか。
なのに、その公約は菅首相の一言でいきなり反故にされた。国庫にカネはなかったので、年金や社会福祉が欲しければ、国民一人ひとりがもっと負担をしろという。まさに財務省の論理そのものだ。
「最初のアップ幅は3%くらい、つまり8%が限界かなと思っていた。それがいきなり10%とは、+2%のおまけ付き。これも菅首相のおかげで、棚ボタみたいな気分」
(財務省関係者)
プライドが高い菅首相は、「自分は日本の未来のため、困難な決断ができる男だ」などと、自画自賛していることだろう。だが、今回の「10%」は菅首相が決断したようでいて、そうではない。財務省のシナリオ通り、つまり首相はまんまと、財務省の掌の上で転がされてしまったのだ。
「財務官僚たちはこの数ヵ月間、菅氏を"歓待"してきた。勝栄二郎主計局長らをはじめ、時には丹呉泰健事務次官までもが加わり、毎朝せっせと財政レクチャーを行い、資料を届け、徐々にその思想を"財務省色"に染めてきたのです」(全国紙政治部デスク)
その結果、菅氏の思想は劇的に変わった。政権交代直後は、「財務省の役人はとんでもない。平気で政治家をダマす。気をつけないと、簡単に取り込まれる」と罵倒していたのに、最近は、「財務省の役人はやっぱりモノが違う。痒いところに手が届くとは、ああいうことを指して言うんだ」などと、畏敬の念を込めて話すようになった。要するに取り込まれてしまったのだ。
「増税して景気が良くなった国など、聞いたことがありません。菅総理の"菅"という字から、草の根の心を取り去れば"官"になる。結局、そういうことです」
(みんなの党政調会長・浅尾慶一郎氏)
かつて菅首相は、役人と見ればすぐに噛み付く、霞が関にとっては危険で厄介な存在だった。しかし、専門知識の提供で自尊心をくすぐる財務省の巧妙な愛玩により、その野性は失われてしまった。国民の利益を守るため吠え続けてきた男は、いつしか、官僚なしではやっていけない"霞が関の愛犬"に成り果てたのだ。
脱官僚どころか、"官僚温泉"にどっぷり浸かるという、国民に対する重大な裏切り行為。しかし、本人はそれに気づかず、ひたすら増長していくだけだ。
首相の「変節」は、メディア対応にも表れている。
野党時代、首相は多くの報道機関と協力関係を築き、自民党政権と霞が関の癒着を追及してきた。ところが最近は、些細なことで報道陣と衝突し、険悪な空気を醸し出す。というより、もはやメディアを「敵視している」と言ってもいい。
たとえば6月18日、首相官邸での「ぶら下がり会見」でのやり取りだ。
記者 消費税率について、民主党内からも、「議論が十分でない」という声があがっているが・・・。
菅首相 あの、(党内で)かなり議論して、今回の場合は(玄葉光一郎)政調会長とか、主だったメンバーには相談しておりまして。私の会見の後、皆さんからきちんとフォローしていただいたものと思っています。
秘書官 はい。ここで会見を終わります。
記者 昨日も総理はぶら下がり会見を受けなかった。もう1問、答えてください。
菅首相 ・・・。(無視)
記者 総理!
菅首相 ・・・。(無視して立ち去る)
この日、記者団が首相に申し入れていた代表質問は3問。しかし、会見の開始自体が約1時間も遅れた上、消費税についての質問がお気に召さなかったのか、一方的に2問で会見を打ち切ってしまった。
もともと短気で知られる首相は"イラ菅"と呼ばれていたが、こうしたメディアとの関係悪化により、元の異名はそのままに、このところは"ダマ菅"(だんまり)、"菅黙"(完黙)など、新たなアダ名が関係者の間で飛び交っている。
「報道各社の幹部との懇談でも、『言質を取らせない』という態度がありあり。自分だけでなく閣僚にも、『自己判断で勝手な発言をしないように』と釘を刺しています。しゃべり過ぎて墓穴を掘った鳩山前首相を反面教師にしているのでしょうが、これはやり過ぎです」(別の全国紙デスク)
菅首相の情報管制は徹底しており、恒例だった朝一番の公邸玄関でのぶら下がり取材も中止になった。首相曰く、「どうせ何も話すことはない」のだとか。トップがこの有り様のため、官邸のスタッフも貝と化した。それどころか、6月中旬に行われた秘書官クラスと各社記者との懇談では、
「発言内容を外部に漏らしたことが判明したら、その記者は出入り禁止にする。菅政権は信義に違反する者とは一切、付き合わない」
との前代未聞の通告までがなされている。「開かれた政府」を標榜していた民主党の基本精神は、いったいどこに消えたのか。
役人たちに税金で大盤振舞い
民主党ベテラン代議士の一人は、「これでは完全に独裁者だ」と、菅首相の言動に不安を隠そうとしない。
「そもそも菅さんは、他人をまったく信用していない。消費税アップも、『10%』という具体的数字は、仙谷由人官房長官にすら伝えていなかったんだから。他人は利用するもの、彼はそう考えている。もちろんボクらもバカじゃないから、それは分かっている。しかし総理になってからはあまりに酷い。小沢さんという重石が取れたことで、まさに独裁者と化してしまった」
もっとも権力を握った菅首相が、こうなるだろうという素地は以前から垣間見えていた。今年3月、まだ副総理だった首相は、参議院の内閣委員会で、驚くべき発言をしている。
「ちょっと言葉が過ぎると気をつけなければいけませんが、議会制民主主義は、期限を区切った、あるレベルの独裁を認めることだと思っております」
政権を取ってしまえば独裁政治は正当化されると、公然と主張していたのだ。
菅首相の質疑応答の相手だった自民党の古川俊治参院議員はこう語る。
「彼にとって選挙とは政党の選択であって、政策は二の次。勝ってしまえば後は何をしてもよい、という考え方をしています。だから平気で『消費税を4年間上げない』という公約も反故にする。内閣総理大臣になれば何をしてもよいとは、憲法のどこにも書かれていないのですけどね」
民主党で「独裁者」と言えば、小沢一郎前幹事長の専売特許だった。だが、その小沢氏が消えたと思ったら、実は小沢氏以上に小沢氏的な政治家が、首相に就いていたのである。
独裁と、官僚依存。6月22日、この日の閣議で、菅政権が実は「官政権」であることを象徴する、重要な決定がなされた。「国家公務員の退職管理基本方針」だ。
民主党はこれまで、「官僚の天下り禁止」を高らかに謳いあげて来たはず。ところがこの「基本方針」は、公約とまったく逆の制度になっている。何しろ、政府のお墨付きで、官僚を天下りさせたり、再雇用して面倒を見るというのである。
「完全に役人の思惑通り。退職金の積み増しを決めた上、出世の望みがない部局長以下の職員を、"専門スタッフ"として、なんと千数百万円の年収で定年まで雇い続けるという。独立行政法人や公益法人への出向枠も拡大されました。大臣のお墨付きで、いままで以上に天下りができるようになったということです」(全国紙政治部記者)
この措置は本来、公務員制度改革関連法案が成立してから導入される予定だった。ところが菅政権は、選挙を急いで通常国会をすぐに閉会したため、法案は廃案に。にもかかわらず、官僚救済の部分だけは、どさくさ紛れに閣議決定してしまったのだ。もちろん役人は大喜びだという。
「菅さんの官僚依存は、1月の参院予算委員会で、自民党の林芳正議員から経済用語について突っ込まれ、大恥をかいた時から。林氏は、子ども手当で国民所得がどれくらい増えるかという『乗数効果』の質問をしたのですが、菅さんは『0.7くらい』と、支給額が消費に回る割合を示す『消費性向』を答えてしまい、赤っ恥をかいた。菅さんは財務大臣室(当時)に戻った後、書類を机に叩きつけたりして、大荒れだったそうです」
(民主党中堅代議士)
傷ついた菅氏の心の隙間に滑り込んだのが、霞が関の"優秀"なキャリアたちだったというわけだ。
「百戦錬磨のキャリアにしてみれば、プライドの高い菅さんは御し易いでしょうね。『今度の総理は理解力があって素晴らしい』とか、そんな噂を流すだけで、本人は有頂天になってますます官僚の言いなりになる」(前出・ベテラン代議士)
いまや菅首相は、官僚の助けなしには、会見もできなければ、海外との交渉もまったくできない。
「ほとんどの場合、秘書官が横から差し出す官僚の原稿を棒読みしている。6月6日の米国オバマ大統領との電話会談も、菅首相は自他ともに認める外交オンチということもあり、事前に外務省に想定問答を作らせ、その範囲内での会話しかしなかった。ひたすら官僚の言う通りにしていれば失敗しない、そう思い込んでいる」(民主党幹部)
「脱官僚」はどこに消えた?
官僚の力を利用して失点を最小限に抑え、政権の基盤を固める・・・。現実主義者とされる菅首相は、そう考えているのだろう。
しかし、霞が関の論理に乗っかっての独断専行に、振り回される現場の議員はたまったものではない。7月の選挙での改選を控える民主党参院議員の一人は、不安を隠そうとしない。
「16年前、細川護煕政権は、旧大蔵省の事務次官だった斎藤次郎氏(現日本郵政社長)らの、『支持率が高いうちに増税を』という口車に乗って国民福祉税構想をぶち上げ、すぐ崩壊した。今度も菅さんは、財務省に騙されているんじゃないか」
そして、こうした身内の中でも、菅首相にもっとも批判的な態度を強めているのは、小沢一郎前幹事長を中心としたグループだ。
民主党には、反小沢・非小沢系議員のリーダー格の集まりである、仙谷官房長官、枝野幸男幹事長、岡田克也外相、前原誠司国交相らを中心とした「七奉行」が存在する。
これに対し、小沢氏の側近の一人、高嶋良充参院幹事長は、「七人の侍」(細野豪志、松本剛明、樋高剛、三井辨雄、伴野豊、樽床伸二各氏らとされる)の結成を宣言。9月の代表選では菅首相に対抗して、この7人の中から「小沢派の総理候補」を出すのだという。
「首相が消費税10%構想を打ち出した日の夜、この"七人の侍"に加え、小沢氏の秘書的存在の青木愛議員や、鳩山前首相側近の平野博文前官房長官が、東京・赤坂の日本料理店に集まりました。席上では、消費税発言に非難が集中。地元でばら撒くため、『消費税アップ反対』というビラを作り始めた議員もいる」(別の全国紙政治部記者)
鍵を握る小沢前幹事長は、参院選の公示日となった6月24日は、山梨県入り。同県選出の側近・輿石東氏の応援に駆けつけると同時に、その政治生活上の師匠である、金丸信・元自民党副総裁の墓参りをした。
金丸氏は'93年に脱税容疑で東京地検特捜部によって逮捕され、その汚名を晴らすことができないまま、'96年にこの世を去った。同じく金銭疑惑で特捜部の追及を受けている小沢氏が、このタイミングで師匠の墓の前に立ったというのは、何を意味するのか。
「菅総理は、参院選の勝敗ラインを現有の54議席にしていますが、小沢氏は『単独過半数だ』とハードルを上げて牽制している。官僚とタッグを組んだ菅さんが勝つか、負ければ後がない小沢氏が復権するのか、参院選はまさに"決戦"です」(前出・中堅代議士)
真夏の戦いは、目前だ。
[永田町ディープスロート]2010.07.06 週刊現代
財務省に洗脳された菅直人総理と追随する朝日新聞がもたらす「二番底」の危機
「増税が評価されて金利が下がる」の噴飯

2010年07月05日(月) 高橋 洋一
高橋洋一「ニュースの深層」
洗脳というのはおそろしい。ある限度を超えると、洗脳者に教えてもらわなくても、被洗脳者が自ら理由を探し出して、自律行動するのだ。これまでこのコラムで再三指摘してきたように、菅直人総理は徹底的に財務省官僚の消費税増税洗脳を受け「菅落ち」した。
ウリだった「草の根」が消えて、くさかんむりなしの「官さん」になったのだ。今の菅総理を見ていると、被洗脳者が自律行動にでているようだ。
菅総理は、7月3日の山梨県甲府市での街頭演説で長期国債の流通利回りが連日低下していることについて「日本は自分の力で、ちゃんと責任ある行動を取るだろうと世界が思っているから、国債の金利も下がっている」と述べた。
財政再建で菅政権が評価されているとの見方を示したのである。この発言を聞いた市場関係者は噴き出しただろう。
まったくデタラメな話だからだ。
いま長期金利が下がっているのは、米国、中国の先行き景気懸念があり、日本も円高で外需がやられ二番底の懸念が出ているからである。
その証拠に、米国の長期金利と日本の長期金利は同じように下がっている。
それだけでも、日本の金利低下が財政再建への評価でないことは明らかだ。
一国の総理がこのような経済のイロハも知らずに、間違ったことを公言してはいけない。
選挙中であっても、総理へは各国の金利情報などが官僚から伝えられる。私の経験からいえば、 その際、菅総理発言のようなデタラメな説明を官僚がすることはまずない。だから、菅総理が被洗脳者として自律活動をしたのだと、私は思ったのである。
もし霞ヶ関がデタラメの説明をしたのなら、菅総理は消費税増税を言い出したことですでに役目を果たしたので、もう用済みだということかもしれない(官僚にとって総理といえどもその目的達成のために「使い捨て」なのだ)。
財政再建はもちろん重要だ。そのために必要な増税は、国民の納得感がなければいけない。
その手順は第一に成長して増収すること、第二に埋蔵金など資産売却をすること、第三は公務員給与などの歳出カットだ。そのうえで必要な増税額がでてくる。今の議論は、そうした手順なしでいきなり消費税率10%が出てくるので、国民から反発をくらうのである。
ただ、消費税増税で洗脳された菅総理は、埋蔵金も否定する。
4日、テレビの党首討論で「みんなの党は、埋蔵金というが、政権をとってみるとできない。労働保険での埋蔵金5兆円というが、法律改正が必要で、筋悪な政策だ」といった。
これに対し、渡辺喜美みんなの党代表は、「民主党は脱官僚をやめたからできない」と反発したが、まさにそのとおりだ。
労働保険は、厚労省内の旧労働省の天下り先ネットワークの金づるだ。私の仕事館で有名な雇用能力開発機構へ資金を供給している。厚労省内では旧厚生省官僚にも手をつけさせない旧労働省官僚の聖域になっている。
菅総理が発言した「法律改正が必要」というのは、役人のロジックである。国会議員は法律を作るのが仕事だから、法律を改正すればいい。それをできないといい、「法律改正が必要」などと役人用語を言うようになったのは、菅総理が霞ヶ関の洗脳に染まった証拠である。
なお、労働保険がデタラメなのは、保険といいながら、きちんとした保険数理計算を行わずに、高額な保険料を労使からむしり取っているからだ。そうした事実を菅総理は知らされていない。
もっとも菅総理だけでなく、増税指向はマスコミにもいる。
2日付けの朝日新聞社説は、「税金を高くすると消費が低迷し、成長を損なうと懸念する声も、あって当然だ。だが、近年の経済指標を分析すると、いちがいにはいえないことがわかる。
税金が高く社会保障支出が大きいスウェーデンも、税が安い米国に匹敵する高成長を維持してきた」と書いている。これはミスリーディングだ。
「経済指標を分析した」と書いているが、おそらく官僚からの聞きかじりで、自らは分析していないのではないか。
事実関係からみてみよう。最近10年間におけるOECD諸国の税・社会保障の対GDP比と名目成長率の関係を示したのが次の図だ。
これを見ると、税等負担率が高い国ほど、名目成長率が下がるのが統計的にみてとれる。
そして、日本は例外的に税等負担率が低いわりには名目成長率が低いことがわかる。
それでは、名目成長率に影響をあたえる他の要因を調べてみると、次の図のように物価上昇率であることがわかる。なんのことはない、日本だけがデフレで名目成長率が低いのだ。
デフレのまま増税なら確実に二番底
そういえば、民主党はマニフェストに、みんなの党などが書いている日銀に対する物価安定目標を書いていない。
これは、日銀官僚に対して責任を課すので、日銀官僚が忌み嫌っているものだ。菅政権は口ではデフレ脱却といいながら、日銀官僚のいいなりでその実行手段を欠いている。
今の段階で参院選の結果がどうなるかわからないが、このままでは選挙後、物価安定目標がなしでデフレ脱却ができないまま、消費税増税議論が進行していくだろう。
となると、景気が悪くなる。
楽観的にいえば、そこまでいけば物価安定目標などのデフレ脱却策を民主党政権は採用せざるをえなくなる。その場合年末までに株価15000円も夢ではない。しかし、デフレのまま増税になったら、間違いなく二番底だ。
本コラムでギリシャ問題に悪のりした増税キャンペーンが行われていると書いたが(5月10日付け「菅財務相も騙される「ギリシャ問題」に悪のりした増税キャンペーン」)、まさに参院選挙で、菅直人総理の街頭演説でそれが実行されている。
私はテレビをあまりみないが、ワールドカップをみようとしていたら、菅直人首相の街頭演説を聞いてしまった。
曰く、消費税は上げたくないが、上げざるを得ないという。財政破綻危機のあるギリシャの例を持ち出し、「誰が一番被害を受けるか。ギリシャで最初にやられたのは、年金と給料のカットなんです」と言っていた。
あたかも、国民の年金と給料を守るためには、消費税を増税しなければいけないといっているようだ。
事実はどうか。
まず、ギリシャの消費税率は、今年3月に19%から21%、5月に23%へと引き上げられた。それとともに、年金の給付はカットされ、「公務員」の給与もカットされる。ギリシャでは、消費税も増税されたが、年金と公務員給与がカットされたのである。
年金と公務員給与がカットされたのは、あまりに酷いからだ。まず、ギリシャの年金は給付水準が高すぎる。
現役の時の所得の何割をもらうかを所得代替率というが、OECDの調査では、ギリシャは96%、日本は36%、G7(除く日本)は48%だ。年金財政は出生率にも左右されるが、ギリシャの出生率は1.4程度で日本と同じ程度である。
それでいて給付水準は日本の2倍以上もあるので、年金財政は破綻状態だ。
またギリシャは公務員天国だ。OECDの調査では、4人に1人が公務員でその給与は民間の1.5倍であるという。これでは国家財政が持たない。
一方、ギリシャは日本と異なり、名目成長率は高い。ここ10年間の平均名目成長率は7.3%だ。ちなみに、日本は0%、G7(除く日本)は4.3%だ。
このため、ギリシャの年金問題などはあまり顕在化せずに、財政はそれほど悪くなかった。日本の財政問題はひとえに名目成長率の低さに由来する税収不足である。
このように、ギリシャと日本の財政問題はまったく異なる。
この決定的な違いを無視して、ことさら菅総理がギリシャ問題に悪のりして消費税増税をいうのは不可解である。
ギリシャは年金がデタラメで公務員の給料が高いから財政が危機に陥ったのだ。年金の見直し、公務員の給与引き下げは当然の対策である。国が破綻したから年金引き下げ、公務員の給与が下がったのではない。原因と結果がまったく逆なのだ。
さらに付け加えると、下がったのは公務員の給料であって、民間企業のそれではない。
そもそも名目成長率の低さは、日本だけが先進国の中で15年以上デフレだからだ。日本において、このデフレのままに消費税増税なんて、とても正気の沙汰でない。レスターサロー名誉教授(マサチューセッツ工科大学)が、デフレ下の消費税議論をクレイジーというのはよくわかる。
私も、外国人に日本経済を説明する機会があるが、消費税議論をみんなクレイジーといっている。
それでも、菅総理や財政当局の増税キャンペーンは続くだろう。最近は欧州では財政再建論議に乗り出していると、新聞も書き立てている。
欧州はユーロ圏と非ユーロ圏がある。独自の金融政策を発揮できないユーロ圏は財政再建しか手がない。もちろん欧州中央銀行も金融緩和しているが、個々の国では財政を頑張るしかないのは当然のことだ。
これは通貨統合で各国が金融政策手段を失ったため、ある程度仕方ない(これが通貨統合の欠点である)。
非ユーロ圏については、間接税の引き上げを打ち出した英国を引き合いに、財政再建に舵を切ったとキャンペーンを張る。
ここで、忘れはいけないのは、英国は金融危機で生じたGDPギャップを埋めるほどの金融緩和を行っている事実だ(1月8日付け「なぜ日本経済だけが一人負けなのか」)。このため、英国ではデフレにならないで、そろそろリーマンショック対応の出口戦略という段階になっている。
ところが、日本では金融緩和をさぼったために、入口に入っていない。ここで、消費税を増税すれば、菅総理のお得意の「第三の道」による使い道がいくら有効であったとしても、日本経済にはマイナス効果は必至だ。
そもそも、財政再建と経済成長を両立させる具体的なロジックである「増税も使い道を間違わなければ経済成長する」という話を菅総理はサミットで話したのだろうか。
この議論には、1929年からの大恐慌のような大量の失業者がない状態では、政府が国民より賢く、政府が増税で国民からお金を巻き上げ、政府が国民に代わってお金を有効に使えるという前提がある。
増税の前に国の資産700兆円を売却せよ
最近、この種の特殊な前提にもとづく政策が多くなってきた。
25日、財務省は、国有地などの国有財産を「有効活用」するために官民合同チームを結成する方針を固めたと報道された。このポイントは、それまでの国有地を原則売却する方針を転換し、売却せずに「有効活用」するとしたことである。
国有地を売却する方針というのは、政府が民間より賢くないので民間に所有させたほうが国全体としていいという判断であった。
しかし、国が国有地を有効活用できるというのは、政府が国民より賢いが前提になっている。民間の知恵を借りるなどと口当たりのいいことをいうが、政府が所有することにより種々の利権を確保したいことがミエミエだ。
また、これは、借金返済の鉄則の一つである、資産の売却を否定することにもなる。
国の借金が1000兆円もあるというのは、消費税増税キャンペーンの重要アイテムだ。しかし、資産も700兆円もある。増税の前に、それをまず売却すべきだ。
特に、700兆円のうち500兆円は金融資産である。年金見合い資産150兆円を除けば売却できる。しかも、それらは官僚の天下り法人への資金提供であるので、売却によって天下り法人も原則廃止できる。
資産700兆円のうち、残りの200兆円は固定資産なので、売りにくい。それでも、一部の資産は原則売却になっていた。それを今回の措置で売却しないこととなった。
これでわかるだろう、国の資産700兆円は売れないのではなく、売りたくないのだ。そして、それを既成事実化して、まずます消費税増税キャンペーンに拍車がかかるのだ。
総理、「埋蔵金というが、政権をとってみるとできない」といったんですか?
それはないでしょう?
自民党政権下では売却を基本原則にしていた不要資産売却を民主党政権でやめたじゃないですか。
独立行政法人国立印刷局の不要資産を売却ー現金化させないで、現物納付させて、有効活用という名の塩漬けしたじゃないですか。
総理は売れる資産があることを知っているじゃないですか?
今年3月10日の下記の中川秀直とのやりとり覚えてますね。ここでは「売却ないしは活用」といっていたけど、結局、売却しないですよね?活用という名の埋蔵金の塩漬けじゃないですか?
衆院内閣委員会3月10日会議録より
○中川(秀)委員 ・・・印刷局のその他三カ所の不要資産についてまとめて聞きます。
大手町敷地、膨大なものですね。虎の門工場、久我山運動場、それぞれ売却はいつですか。売却しないとすると、その理由は何でしょうか。
久我山については、先ほど菅大臣もちょっと言われたが、もう会計検査院から、「譲渡を含む適切な処分に向けた調整を積極的に進めて、調整がつかない場合には国庫へ返納すること」、そういう処分計画を作成してという改善が決算検査報告で出ておりますけれども、行われたものとされています。
ともかく、この五年間の維持費が七千二百十万円、利用料金が六百五十三万円、一割にも満たない。印刷局の負担は六千五百五十七万円と多額であります。
印刷局は、二十一年九月に、不要資産とされたこの久我山運動場について、杉並区への適正な対価による譲渡を含む調整を積極的に進める、調整がつかない場合は、国庫返納のための法的整備が整い次第速やかに返納するという処分計画を作成することにしたそうですが、これも踏まえてお伺いをいたします。
いずれにしても、先ほど御答弁もありましたが、こういう不要資産を一刻も早く処分して、この財政難の中で財政に寄与させる、これはもう大方針でなければならぬと思いますが、いかがでしょうか。
○菅国務大臣 先ほども申し上げましたが、今御指摘の三カ所については、国へ現物で納付の予定がされておりまして、その後どうやってそれを売却ないしは活用するかということで、今も中川委員が言われましたが、久我山運動場については、杉並区、東京都から公園施設としての利用要望も出されておりまして、また、周辺の地域を含めた都市計画公園区域に指定されているということもありまして、そういう中でどのように、例えば都なり区に売却ができるのか、どうできるのか、そういうことを検討していると聞いております。
また、大手町の方も、すぐそばにいろいろと、NTT、NHK、日本郵政株式会社等々が近くにありまして、再開発計画を策定中と聞いております。そういう再開発の中で、これも、売却になるのか、あるいは一緒にそういう事業をやることになるのか、そういう形で進めておりまして、決して、何かそのまま持っておこうということではありません。
市ケ谷についても御指摘がありましたが、確かに一部に大きなマンションが建っておりますが、これはいろいろな議論があるところだと思います。すぐ隣接して機動隊の本部等々もあって、そういう民間的な活用が望ましいのか。ある場合には、逆に民間的なものが望ましいところがほかにあれば、そういうものと振りかえてそういった利用がいいのか。ここは、一つの活用のあり方としては、大いに透明な形で議論する必要があるかなと思っております。
○中川(秀)委員 あえてもう一回言います。この会計検査院の決算検査報告にも出ているんですけれども、二十年の四月二十五日に独法通則法改正案が国会に提出されたんですが、もうあえて経緯は言いませんが、結果的にこれは廃案になってしまったわけです。したがって、資産を国庫に返納する仕組みというのは法的に整備されないままになっているんですよ。
だから、今度の通則法も、ちゃんとそれを入れてやらないと、また売らない。今言った意欲はわかるけれども、手続がないじゃないかみたいな話になってくる。だから、一刻も早く、検査院のこういう検査もあるわけですから、処分を具体的にする、関係者の話し合いもする、それで本当にことしじゅうに現金納付をさせる、そういう強い決意で政治的主導をやらなければならぬ話だと思います。これは、私の意見として申し上げておきます。
活用という名の塩漬けした不要資産、増税前に売ればいいじゃないですか?
【みんなの党】をアメーバで検索
アメーバ 中川秀直氏
まったくねーー!!
まるで、ジェットコースター内閣っていうんでしょうか??
人のいい国民も、やっと・・
気づいてきたんだと思いますネーーー
今日、駅前で、民主党のマニュフェストらしいものを配っていましたが・・
ぜんぜん、だれも、貰っていませんでした。反応がすごいねーー
