7カ国財務相・中央銀行総裁会議(G7)共同声明
[ワシントン 24日 ロイター] 米国のワシントンで24日に開かれた、7カ国財務相・中央銀行総裁会議(G7)の共同声明は以下の通り。
G7の財務相・中央銀行総裁は、数十年来で最も深刻かつ広範な景気後退と金融混乱の中、本日会合した。世界の様相は、つい数年前までの力強い成長、新興市場国への資金フローの急速な拡大、貿易の大幅な拡大の時期から、現在の景気後退、レバレッジの減少および貿易の縮小に特徴付けられる時期へと一変した。われわれは、成長を支え、金融システムの信認と信用供給の流れを回復するため、断固として行動してきた。最近のデータには、われわれの経済の景気後退速度の鈍化やいくらかの安定化の兆候を示すものも出てきている。経済見通しは引き続き弱いなか、経済活動は今後本年内に回復を開始するであろうが、下方リスクは継続している。ロンドンにおいて首脳たちが強調したように、われわれは雇用と成長を回復し、今回のような規模の危機の再発を防ぐため協調して行動することにコミットする。こうした背景のもと、
・われわれはマクロ経済支援策を迅速に実行しており、成長を回復するために必要な規模の継続した財政努力を行うことへのコミットを再確認した。われわれは、長期的な財政の持続可能性を保ちつつ、成長トレンドへの回帰を加速するために必要なあらゆる行動をとる。われわれはIMFに対し、とられた行動をモニターし、われわれとG20に定期的に報告するよう求める。
・われわれは貸出を回復し、流動性支援を提供し、金融機関に資本を注入し、預金を保護し、不良資産を処理するため、必要に応じ、引き続き行動する。われわれは、システム上重要な機関の健全性を確保するために必要なあらゆる行動をとるとのコミットメントを再確認する。
・われわれはIMFのための資金をプレッジしており、IMFが世界の金融の安定回復を支援するうえで必要とする資金を提供するため、G20などと協働している。われわれは、世界的な景気後退が新興市場国および途上国に与える影響を緩和するため、国際開発金融機関の融資の大幅な増加と、そのバランスシートの最大限かつ例外的な活用を支持する。
・われわれは特に、IMFへの当面のバイの融資の動員についてなされた進展を歓迎。このバイの融資は、IMFの新規借入取り決め(NAB)にいずれ組み入れられ、NABは最大5000億ドル増額され、その参加国が拡大される。われわれは、2500億ドルのSDR一般配分の実行、および、IMFの新歳入モデルと整合的な形での、合意された金売却による追加的資金の最貧国支援への活用に向け作業を進めている。われわれは、貿易金融支援に少なくとも2500億ドルを供給するイニシアティブを実行している。
・われわれは、強固なファンダメンタルズを有する国の危機への対処を支援するフレキシブル・クレジット・ライン(FCL)のような新たな融資制度のIMFによる導入を歓迎し、メキシコ、ポーランドおよびコロンビアによるその利用を支持する。われわれは、現下の危機のなかにおいて、中期的に堅固な財政見通しを有する国への財政ニーズを支援するため、IMFがその権限と整合的な形でその資金を場合に応じて利用することを支持する。われわれはまた、IMF、世界銀行および地域開発金融機関が密接に協働し、借入国が直面している、銀行の資本増強や債務借換円滑化の必要性といった特別な状況を注意深く分析し、プログラムにおいてこれらを考慮することを支持する。
・われわれは引き続き、投資あるいは物およびサービスの貿易に対する新たな障壁を設けず、新たな輸出制限を課さず、WTOと整合的でない輸出刺激策をとらない。WTOはこのコミットメントについて監視し、公表される形で報告を行う。
今や多くの国々が世界経済において主要な役割を果たしており、われわれはそれらの国々による、回復を促進させる共同の国際的取り組みへの貢献を歓迎する。われわれは、中国のより柔軟な為替レートへの移行に対する継続したコミットメントを歓迎する。これは、実効ベースでの人民元の継続した増価をもたらすとともに、中国経済および世界経済全体のより均衡の取れた成長の促進に寄与する。われわれは、他の国際的パートナーと協働して、国際金融機関の適切性、有効性および正統性を高めるため、これらの機関のガバナンスを改革する。
われわれは、強固かつ安定した国際金融システムがわれわれの共通の利益であることを再確認する。為替レートの過度の変動や無秩序な動きは、経済および金融の安定に対して悪影響を与える。われわれは、引き続き為替市場をよく注視し、適切に協力する。
われわれはまた、各国および国際的レベルでの規制の改革について議論した。われわれは、ロンドンにおけるコミットメントを迅速に実施する。われわれは、システミック・リスクに対処するための各国の取り組みを強化すること、すべてのシステム上重要な機関、市場および商品を包含するよう規制の範囲を拡大すること、健全な規制、金融機関の十分な資本増強および強化されたリスク管理慣行を確保すること、透明性を向上すること、国際的な協働を強化すること、評価および引き当てに関する会計基準を改善すること、および市場の公正性を強化すること、の必要性を強調した。これに関連して、われわれはOECD、金融安定理事会(FSB)および金融活動作業部会(FATF)に対し、租税、健全性監督、および資金洗浄・テロ資金対策のそれぞれにおける国際基準を強化するための各国の取り組みに関する客観的なピア・レビューの作業を強化するとともに、非協力的な国・地域を特定し、効果的な対抗措置の道具立てを整備するよう促す。われわれはこれらの事項に関する進展につき定期的な報告を期待する。われわれはIMFとFSBの共同による試行的な早期警戒の取り組みを歓迎した。われわれはまた、FSBの参加国拡大を歓迎するとともに、FSBが国際金融の安定性促進により大きな役割を果たしうるよう、その組織的な基盤を強化することにコミットした。
景気落ち込みペースが鈍化、金融機関健全化への決意確認=G7声明草案
[ワシントン 24日 ロイター] 7カ国財務相・中央銀行総裁会議(G7)は世界経済について、落ち込みのペースが減速したとの見方で一致したほか、大手金融機関の健全化を確実にするために必要な措置を講じる決意を示した。ロイターが入手した声明草案で明らかになった。
「われわれの経済の落ち込みペースが減速したことや、安定化の兆候が一部で表れつつあることを最近のデータが示している」とした。
草案は経済活動が年後半に回復するとの見通しを示す一方、見通しは引き続き弱く、景気が一段と悪化する可能性もあると指摘した。
また「われわれは必要に応じて貸出機能の回復、流動性支援、金融機関への資本注入、預貯金保護、不良資産処理に向けた措置を継続する。システム上重要な機関の健全性を確かなものとするために必要なすべての措置を講じる決意を再確認した」としている。
[ワシントン 24日 ロイター] 4月24日にワシントンで7カ国財務相・中央銀行総裁会議(G7)が開催された。以下は、G7閉幕後の主な要人発言。
◎ガイトナー米財務長官:
<世界経済について>
「幾分心強く思うのは当然だが、昨秋に世界経済の上に垂れ込めた暗闇からの浮上が近いと結論付けるのは誤りだ」
<G7・G20の議題について>
「今後数日間に開かれるすべての会議、今後数カ月間に開催されるすべての会議の議題は同じだろう。その議題は、われわれが何をしているかというものだろう。今回の景気後退(リセッション)のリスク軽減を促す十分な行動をとっているか、早期回復に向けた基盤を築いているか、よりバランスの取れた、より持続的な回復に向けた基盤を構築しているか、というものだろう」
◎与謝野馨財務・金融・経済財政担当相:
(G7の世界経済の認識について)「景気後退しているが、その速度が鈍化しているという消極的な言い方をしている。疑問符付きの表現だ。最悪期から脱したかもしれないということを間接的に表現したもの」
◎トリシェ欧州中央銀行(ECB)総裁:
(購買担当者景気指数(PMI)などの一部の指標でセンチメントの改善がみられるが、改善がみられない指標もあると指摘)
「油断している時ではない。引き続き極めて積極的に取り組まなくてはならない」
<G7と20カ国・地域(G20)の位置づけについて>
「双方に(存在の)妥当性がある」
「現在の危機が先進工業国で始まったことは周知のことだ」
「G20は非常に重要な非公式のグループになりつつある」
<米財務長官の銀行ストレステスト(健全性審査)に関する発言について>
「この場で繰り返すべき新しい情報はなかった」
(財務長官はストレステスト(健全性審査)のプロセスについて確信を持って説明したと指摘)
◎ユンケル・ユーログループ議長:
<世界経済について>
「見通しは依然不透明」
「最近の経済指標のなかには景気悪化が底打ちしつつあることを示唆しているものもある」
<景気刺激策について>
「景気刺激策のインパクトは一段と顕著になるだろう。現時点では追加的措置で仕上げる必要はないと考えている」
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プレジデントロイター「偽りの夜明け」を本当の回復と見誤らない注意必要=日銀総裁
[東京 24日 ロイター] 白川方明日銀総裁は23日、日本がバブル崩壊後に何度か一時的な景気回復局面を経験したことを踏まえ、「偽りの夜明け」を本当の回復と見誤らないよう注意する必要性を強調した。
ニューヨークで「経済・金融危機からの脱却:教訓と政策対応」とのテーマで行った講演で述べた。
日銀が24日に発表した講演の邦訳によると、白川総裁は「日本経済は1990年代の低成長においても、何度か一時的な回復局面を経験したが、このことは経済がついにけん引力を取り戻したと人々に早合点させる働きをしたように思う」と指摘。その上で「これは『偽りの夜明け』とも言うべきものだったが、人間の常として、物事がいくぶん改善すると楽観的な見方になりがちだ」と述べ、一時的な回復を本当の回復と見誤ることに警鐘を鳴らした。
ただ、「終わりのない経済危機というものはない」とも強調し、「中央銀行は積極的な金融緩和からの適切なタイミングでの脱出も、意識しておかなければならない。脱出が遅れると、より悪い状況への入口に既に足を踏み入れている可能性がある」と出口戦略の必要性も訴えた。
白川総裁は、日本の「失われた10年」の教訓として、1)大胆だと思って採った行動であっても、事後的にみれば必ずしも大胆ではなかったという場合がある、2)政府や中央銀行による危機管理対応が、経営に失敗した銀行を救済するためではなく、金融システム全体を救うために行なわれているということを、しっかりと説明し、国民の理解を得る必要がある、3)マクロ経済政策は、経済の急激な減速に立ち向かう上で鍵となる役割を果たすが、万能薬ではない──の3点を指摘。
その上で金融危機管理の政策対応として、1)流動性の潤沢な供給、2)信用市場の機能の支援、3)マクロ経済政策による有効需要の喚起、4)公的資本の注入とバランスシートの不確実性の除去──の4点を挙げ「この4つの領域で効果的な措置が講じられなければ、経済は一段と厳しい調整を余儀なくされかねない」と強調した。
さらに「中央銀行は、不均衡が経済に蓄積されてきていないかどうかを、常に警戒しておくことが必要だ」とも指摘。「中央銀行が金融政策判断に当たって一般物価の安定だけに焦点を当てていると、経済活動の様々な側面で生じる危険な兆候を見落とす可能性が高まる」と述べ、政策当局者としてマクロプルーデンスの観点を持つ重要性を訴えた。白川総裁は「金融の不均衡は、典型的には、金融機関の信用量の伸びやレバレッジの拡大、資産価格の急騰、あるいはそうしたものの組み合わせとして現われやすい。中央銀行は、こうした指標を注意深くみることが必要だ」と語った。

