経営者の決意~西田 厚聰(東芝 社長)
持続的な成長は不断のイノベーションで
日経ビジネスマネジメント
経営者 経営革新 イノベーション 持続的成長 成長戦略 戦略 ビジョン 製造
混迷の時代、成長戦略を声高に叫ぶことに躊躇する企業は多い。
だが、東芝の西田厚聰社長は明快に「成長」路線を宣言する。
いわゆる「失われた10年」時代、東芝も低成長に甘んじた。
今の東芝は変わった。相次ぐ提携や撤退の決断——。
経営の意思決定のスピードは速い。
「攻めの西田」の発想の原点はどこにあるのか。
成長。2005年の社長就任以降、掲げ続けているのがこのキーワードである。
にしだ・あつとし 1943年三重県生まれ。70年東京大学大学院法学政治学研究科修士課程修了。75年東芝入社。95年パソコン事業部長、97年取締役。常務、専務を経て、2005年6月に社長就任。
1990年代初頭のバブル崩壊以降、日本経済は「失われた10年」と言われた時代があった。東芝も例外ではない。95年度に5兆円の売上高を達成して以降、10年にわたって5兆円台が続いた。この間の年平均伸び率は1.3%。GDP(国内総生産)成長並みにとどまっていた。
2005年は会社設立130周年目に当たった。グローバル化が著しく進展し、日本市場への依存率を低下させる必要に迫られていた。次の130年を生き続けるためには何が必要か。「利益ある持続的成長」は、考え抜いた末の1つの答えだった。
なぜ成長なのか。それを説明するためには、東芝が置かれている状況を再確認していただく必要がある。
現在、当社には44の戦略的事業単位(SBU)がある。この中で、東芝だけが唯一、市場参入している製品はごくわずかに過ぎない。新市場を形成できるような、または、これまで世の中に存在しなかった新しい価値を提供できるようなものは非常に少ない。コモディティーの定義は様々だが、「競合相手が必ずいる」と定義してみると東芝製品の90%以上がコモディティーに分類される。火力発電でさえも該当する。つまり、グローバル市場での競争で勝つためには、大半を占めるコモディティーに対応した経営が必要になる。
高度経済成長期、日本企業の間では、「シェアか利益か」「品質かコストか」といった議論があった。日本の市場全体が成長している時には、こうした二者択一でも通用したのだろう。しかし、現在の市場環境では、この相反する両要素をバランス良く追求していかなければ、生き残りは難しい。
失われた10年の時代、売り上げよりも利益志向のムードが、日本企業全体にあった。しかし、コモディティーで利益だけを追求しても、縮小均衡に陥るだけである。この先、何十年と生き続ける基盤を築き上げることはできない。
とはいえ、経営者が「成長、成長」と唱えていれば成長できるという、単純なものではない。コモディティーでは価格競争力が重要になると同時に、品質も高めなければいけない。さらに差異化できるような新しい価値を加える必要もある。
つまり、成長を推し進めるためには、「不断のイノベーション」こそが問われてくるのである。
日経ビジネス
東芝の発表した太陽電池戦略、3つの点で要注目 東洋経済 09/01/13
東芝が、電力・産業用の太陽光発電システム事業を2015年度に売上高約2000億円規模へ育成する中長期計画を公表したことで、株式市場でも注目を集めている。
前08年3月期時点ですでに売上高8兆円弱に達している東芝にとって、7年後に約2000億円という事業規模そのものはさほど大きいとはいえない。だが、「東洋経済オンライン」では、今回の東芝の太陽電池戦略は3つの点で評価できると考える。第1には東芝そのものにとって。第2には重電セクターにとって。そして第3は「日の丸ソーラー勢」全体にとって、である。
第1の東芝にとっては、太陽電池分野への取り組み姿勢を明確としたことが評価できる。近年の東芝は原子力発電に傾注してきた。「買収前は国内向けに重点を置いていたが、それでは生き残りが難しいと考え、買収に踏み切った」(西田厚聰・東芝社長)として、06年には米国ウェスチングハウス・エレクトリックを傘下に収め、NAND型フラッシュメモリとともに原子力発電を「戦略的集中投資」の対象と位置づけてきたのである。その一方、二酸化炭素排出量低減のための研究開発や事業展開としては、「原子力発電や火力発電向けに経営資源を投入してきたため、太陽電池や風力発電などへは手が回らなかった」(西田社長)という事情もある。そこへ今回、社内カンパニーである電力流通・産業システム社に「太陽光発電システム事業推進統括部」を1月1日付で新設し、グループ横断的に太陽電池分野を育成する方針を打ち出すことにしたのである。同分野への世界的な関心の高まり、将来性や可能性などを考えれば納得できる動きといえるだろう。
第2の注目点としては、重電セクターにとっての意義だ。これまで太陽電池分野では、発電素子(セル)生産大手であるシャープ、京セラ、三洋電機といった家電や電子部品を手掛ける関西勢にばかり脚光が当たっていた感がある。だが、今回の東芝の戦略は、重電各社による太陽電池分野への寄与の可能性をあらためて注目させる契機となりうる。従来から明電舎が「発電素子は生産しないものの、それ以外の各種装置で太陽電池分野へ寄与する」という事業形態を推進してきが、東芝も同様の事業形態を採用するものとみられる。
西田社長はこう語っている。「たしかに、当社はシリコン半導体の集積回路では世界第3位級の企業。ただし半導体集積回路の企業が必ずしもシリコン基板系の太陽電池の生産も手掛けているわけではない。しかも、すでにシリコン基板系の太陽電池の生産を手掛ける企業は世界に数多くあるうえ、その光電気変換効率も約20%にまで到達している。そうした状況下で、今から東芝がシリコン基板系発電素子の生産を開始する必然性は小さい。むしろ、当社には、たとえば天候の変化に発電量が左右されがちという太陽電池の短所を補いうる、安全・長寿命な蓄電池である新型二次電池SCiBなどの技術がある。そうした技術で太陽電池の普及に貢献したい」。
今後、太陽電池が住宅用のみならず産業用・電力用として活用されるとともに、日立製作所、東芝、三菱電機、富士電機ホールディングス、明電舎という「大手5社」をはじめ重電各社が活躍しうる各種装置の市場が拡大していくことを、今回の東芝の戦略は示唆している。
第3に、太陽電池分野に携わる日本の「日の丸ソーラー勢」全体にとっての意義も大きい。シャープ、京セラ、三洋電機、三菱電機をはじめとする日本の発電素子各社は、政府による導入支援策が一時途絶した05年ごろから、ドイツや中国など外国勢の追い上げにより相対的な地盤沈下を余儀なくされてきた。だが、長期にわたる高い光電気変換効率の持続などが要求される電力・産業用の需要拡大は、信頼性にまさる日の丸ソーラー勢が巻き返す好機といえよう。その電力・産業用へ東芝が各種装置で本格参入することは、太陽電池市場拡大の側面支援となる。
また、発電素子各社にとって、東芝そのものも大きな販売先となりうる。現時点では東芝が国内外のどの企業から発電素子を調達するかは定かではない。ただ、東芝では電力・産業用の太陽光発電システムの市場規模に関し、今08年度は約1.2兆円であり、15年度には約2.2兆円へ拡大すると想定している。その2.2兆円市場のなかで、東芝は事業規模約2000億円、つまり市場占有率約1割獲得を目標に掲げていることになる。当然ながら、日本の発電素子各社にとっても、東芝向けは大きな商機となりうるのだ。
太陽電池をめぐるサプライチェーンのなかで、日本勢は原材料となる珪石・金属シリコン・多結晶シリコンなどの「川上分野」では宿命的な弱みを持つ。だが、一方で発電素子や直交変換装置などの「川下分野」における技術的蓄積は世界首位級だ。今回の東芝の電力・産業用の太陽電池戦略は、そうした日の丸ソーラー勢の川下分野における強みに、さらなる厚みを加えうる動きといえるだろう。
(石井 洋平)
《東洋経済・最新業績予想》
(百万円) 売 上 営業利益 経常利益 当期利益
◎本2008.03 7,668,076 238,099 255,558 127,413
◎本2009.03予 7,600,000 125,000 145,000 60,000
◎本2010.03予 7,700,000 185,000 175,000 72,500
◎中2008.09 3,495,830 -23,468 -63,505 -38,454
◎中2009.09予 3,500,000 5,000 0 0
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1株益¥ 1株配¥
◎本2008.03 39.5 12
◎本2009.03予 18.5 10-12
◎本2010.03予 22.4 10-12
◎中2008.09 -11.9 5
◎中2009.09予 0.0 5
東芝、太陽光発電に本格参入 競争激化へ
1月5日 産経新聞
東芝は5日、電力・産業用の太陽光発電システム事業に本格参入すると発表した。同事業を統括する受け皿組織を設置し、平成27年度に約2000億円の売上高を目指す。地球温暖化防止に向け、大規模な太陽光発電システムの普及が見込まれており、態勢を整備し、成長市場での事業拡大を目指す。太陽光発電市場では国内外の企業が販売競争を繰り広げており、東芝の参入で競争が激化しそうだ。
1日付で社内カンパニーの電力流通・産業システム社に「太陽光発電システム事業推進統括部」を設けた。約20人の陣容でスタートし、順次増やしていく。戦略策定やマーケティングを行うほか、他の社内カンパニー、グループ会社にまたがる同事業を横断的に統括する。
同社は高効率インバーターや、独自開発の新型リチウムイオン充電池「SCiB」など太陽光発電システムに不可欠な製品を生産しているほか、電力系統のシステム技術も保有している。これまで顧客の要望に応じ、太陽光発電システムを納入する例はあったが、事業全体を統括する組織がなかった。また、パネルは外部調達する方針。
新型二次電池「SCiB」の本格量産に向けた拠点整備について
2008年12月24日

当社は、新型二次電池「SCiB」の将来の需要拡大を見据え、本格的な生産に向けた第二量産拠点の整備を決定しました。現在生産を行う佐久工場(長野県佐久市)に続く新しい量産工場は新潟県柏崎市を第一候補として、今後、具体的な検討を進めていきます。
SCiBは、高い安全性と、一日一回充放電を行っても10年以上使用可能な長寿命性能、わずか5分間で容量の90%以上の充電が可能な急速充電性能を備えています。すでにキャノンデールスポーツグループの電動自転車への採用が決まっているほか、現在、さまざまな企業から高い関心を得て、当社から提案活動を続けているところです。
また、2010年度以降、産業用途、車載用途のリチウムイオン電池の需要の大幅な伸張が予想され、2015年度には、グローバルなリチウムイオン電池市場全体で約1.7兆円の市場規模が見込まれます。このような中で、第二拠点として、新たに量産工場を建設することで、今後の産業用途や車載用途の需要急増にタイムリーに対応できる体制を整えるとともに、将来のSCiBの速やかな量産規模の拡大に備えます。
新潟県では、経済産業省が推進する「EV・pHVタウン構想」注1に柏崎・刈羽地域をモデル地域の一つとして応募しており、低炭素社会実現・関連産業の創出を目指して電気自動車に係わる取り組みを展開しております。今回の候補地検討にあたっては、将来的に車載用途向けへの採用も目指すSCiB事業と方向性が一致していること、先行する佐久工場に近接していること、さらに助成制度など、総合的に判断をしてこの度、複数ある候補地の中から柏崎市を第一候補として選定したものです。
新工場は、2009年秋頃の着工を目指し、産業用途の需要拡大が期待できる2010年秋を目処に量産を開始する計画です。工場建設地の決定時期や、具体的な建設予定地、建設スケジュール等の詳細については、今後の市場動向を踏まえ、改めて決定いたします。
当社は、SCiB事業を成長性の高い新規事業と位置づけており、産業分野や車載分野を中心にグローバルに事業展開を図っていきます。
注1:経済産業省が進める、EV(電気自動車)やpHV(プラグインハイブリッド車)を普及させるための「タウン構想」。
成長を推し進めるためには、「不断のイノベーション」こそが問われてくる・・・・・
東芝、米で原発建設受注へ…日本メーカーの単独直接は初
1月19日 読売新聞
東芝は、米電力大手NRGエナジーグループがテキサス州に建設する原子力発電所の原発プラント2基の受注を獲得し、早ければ3月末までに同グループと受注契約を正式に締結する。
東芝の子会社で米原子力大手、ウェスチングハウス(WH)が米国などで原発を受注したケースはあるが、日本メーカー本体が海外の原発建設を単独で直接受注するのは初めて。日本勢の今後の海外受注にも弾みがつきそうだ。
東芝が受注する2基は、原子炉内の水を蒸気に変えて発電機を回す「沸騰水型軽水炉(BWR)」で、出力は各140万キロ・ワット級と大型のタイプになる。受注総額は6000億~8000億円にのぼり、2015年ごろの完成を目指す。
東芝は06年10月にWHを子会社化し、世界最大の原発建設グループとなった。WHはすでに米国で6基、中国で4基の建設を受注しており、東芝は今回の2基も合わせ、15年までに世界全体で39基の受注を獲得したい考えだ。
米国の原発開発は、1979年のスリーマイル島原発事故で凍結されていたが、米政府は地球温暖化対策の観点から方針を転換し、30年までに約30基が新設される。
