崩壊の悪夢 日本勢覆う ビッグ3、見えぬ救済の道
12月4日 フジサンケイ ビジネスアイ
経営危機に陥っているGM(ゼネラル・モーターズ)、フォード・モーター、クライスラーの米自動車大手3社(ビッグスリー)が米議会に再建計画を提出し、3社の資金支援要請額は最大340億ドル(約3兆1790億円)に膨れ上がった。特にGMは予想以上に深刻な状況にあることが判明した。ただ、救済法案が可決するかはなお不透明で、仮に1社でも破綻(はたん)するような事態になれば、日本の自動車メーカーも大きな打撃を受けることは確実だ。日本メーカーがビッグスリー支援へ動く可能性はあるのか。
≪部品業界も窮地に≫
「(ビッグスリーが)危険な状態になれば、われわれも大変なことになる」
ホンダの福井威夫社長は米政府の救済策を支持する。ビッグスリーも日本メーカーも、同じ部品メーカーに依存しているからだ。自動車業界は世界中で、同じ部品メーカーから供給を受けるケースが多く、その数は数百社に上る。仮にGMが破綻すれば、傘下の部品メーカーが連鎖倒産する可能性もある。ボルト1本でも欠ければ自動車は作れないだけに、日系メーカーにとっても頭の痛い問題。「米国依存度の高いトヨタ自動車やホンダが大きなダメージを受ける」(業界筋)との声もある。
自動車部品大手のボッシュ日本法人のステファン・ストッカー社長も「欧州の完成車メーカーに泣きつく部品会社もいる。今後は体力の弱い部品メーカーの淘汰(とうた)が進む」と、ビッグスリーの危機が部品業界の再編を誘発するとの見方を示す。
ビッグスリーの動向が経営に重大な影響を与えるのは、蜜月関係にあったスズキとマツダだ。GMが全保有株を売却し、資本関係を事実上解消したスズキだが、販売台数はトヨタの約4分の1。莫大(ばくだい)な投資が必要な環境技術を単独で開発するのは苦しい。今後も業務提携は続けるが、仮にGMが破綻すれば次のパートナー探しが不可欠。鈴木修会長も「これからの提携は親子関係というより、普通の『親戚(しんせき)付き合い』のような(資本に依存しない)提携が増える」と次の展開に備える。
フォードが経営権を手放したマツダについても市場は手厳しい。フォードと車台を共通化したり、海外でも合弁生産を行って負担を抑え規模の小ささを補完してきたが、仮にフォードが重大な経営危機に陥れば「他社との連携が必要だ」(アナリスト)との見方が根強い。
≪「環境」軸に連合?≫
今回、GMやフォードは「サターン」「サーブ」「ボルボ」などのブランド売却を視野に入れた戦略見直しを計画に盛り込んだ。ただ、世界中の自動車市場が落ち込み、経営状態は悪化の一途。日本メーカーどころか、中国など新興国メーカーですらこうしたブランドを「今は買収できる体力がない」(日系メーカー幹部)とみられる。
業界きっての再編論者である日産自動車のカルロス・ゴーン社長も「M&A(企業の合併・買収)には資金が必要。特に自動車メーカーの時価総額は平均75%も落ちた。現下の情勢では無理」とあきらめ気味だ。
むしろ今回の再建計画に日本勢が関与するとすれば、ビッグスリーがそろってハイブリッド車や電気自動車の開発・投入などを掲げたことだ。トヨタやホンダ、日産は環境対応車で一日の長があるうえ、電機業界でも日立製作所がGMに次世代リチウムイオン電池を供給する関係にある。莫大な開発投資を分担するため、米国内で開発する環境対応車に関して「ビッグスリーを中心に日欧のメーカーも加わる企業連合に発展する可能性もある」(日本メーカー)との見方もある。(田端素央)
ビッグ3がアジア、欧州勢にシェアを奪われること自体は、今に始まったことではない。20世紀に入って70年間、市場の90%超を握っていた米国勢だが、昨年12月の米国乗用車及び小型トラック販売台数に占めるシェアは50.6%まで低下。104年の歴史を持つフォードは昨年、全米2位の座をトヨタ自動車に奪われた。

今回何が違うかというと、ビッグ3の販売減少とシェア低下が経済全体に大きな影響を与えるということだ。かつて米国メーカーはインセンティブを増やす一方で余剰生産分をレンタカー会社に売り、減産を避けた。米シカゴ連銀のエコノミスト、トーマス・クライアー氏曰く、「以前は生産を調整する代わりに価格を調整していた」わけだ。
ところが、昨年秋にUAWと交渉した新たな労使契約により、メーカー各社の対策の余地が広がった。ジョブバンク制度*1は存続も危ういし、会社は安い賃金で新規採用できるようになった。「人件費は再び変動費となり、生産量を調整できるようになった」(クライアー氏)のである。
GMとフォードは昨年、利益率の低いレンタカー販売を24万台減らした。フォードCEO(最高経営責任者)のアラン・ムラーリー氏は先日、来年の黒字転換という目標達成のために必要なだけ北米生産台数を減らす意向を示し、「毎月、市場を見て需要を確認する」と語った。米グローバルインサイトによると、ビッグ3の生産台数は昨年の950万台から今年880万台に減る見通しだ。
オバマ氏のニューニューディール政策の先鞭になるでしょうか??
