パチンコホール、証券化で大型資金を調達へ-再編見据えた新財務戦略 | 東京リーシングと土地活用戦記

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 顧客数減少が止まらないパチンコホール業界で、新たな財務戦略を採用する動きが広がっている。「事業証券化」と呼ばれる最新の金融技術を使い、パチンコ台の入れ替えや店舗網拡大に必要な大型資金を調達、シェアを伸ばそうとするホール運営業者が出てきた。界再編が進む国内最大のレジャー産業で、こうした戦略が優勝劣敗を加速させる可能性がある。

 事業証券化とは、ある事業から得られる将来収益を担保に債券を発行して、投資家から資金を調達するもの。住宅ローンや自動車ローンなどキャッシュフローが予測可能な資産の証券化に比べて、より高度な技術が必要だとされる。業界の総売上が約30兆円といわれるパチンコ業界に、この金融技術を応用すれば、ホール運営業者は数百億円単位の資金を一括調達できる

 業界3位のガイア(東京・中央区)は2005年12月、この証券化手法により 700億円を調達した。パチンコホール事業の証券化はさらに続くとみられ、米証券最大手メリルリンチや、ローン証券化プログラムを複数保有する新生銀行などが、最大1600億円の資産担保証券(ABS)を年内にも販売する見通しだ。

「将来キャッシュフローの証券化は、メリルリンチの強みでもあり、この分野における足がかりを日本でもつくっていきたい」と、メリルリンチ日本証券・三原淳一郎マネージングディレクターは言う。現在、パチンコホール事業の証券化商品組成に向けて準備中の同社は、グローバルに蓄積した専門性を活用できる分野として、このビジネスに注力する方針だ。

 新生銀は05年12月、業界7位のダイエー(福島県会津若松市)に対し、総額230億円の資金供給を実施した。同様のローンを複数束ねて証券化することで、総額500億-1000億円の資産担保証券を投資家に販売することを計画している。

市場が伸び悩むなか業界再編

 1995年に30兆円に達したパチンコ市場の規模は、伸び悩みが続いており、 05年には10年前と比べて4.6%減の29兆4860億円となった(社会経済生産性本部・レジャー白書2005)。参加人口は10年前の2900万人から1790万人と、 38%の大幅減。レジャーが多様化しているため、パチンコ市場全体は伸び悩んでいる。こうしたなか、大手ホール運営業者は順調に業績を伸ばす一方で、経営破綻に追い込まれる中小業者も後を絶たない。

業界最大手、京都市に本社を置くマルハンは、06年3月期に売上高1兆 6000億円を達成し、今後2年でこれを2兆円へと拡大させる計画だ(同社ウェブサイト・中期3カ年計画)。ダイナム(東京・荒川区)も06年3月期に売上げを1兆1832億円に拡大した。

 全国のパチンコホール店舗は05年末に、前年比3%減の1万5165店となり、 10年連続で減少した(全日本遊技事業共同組合連合会ウェブサイトより)。一方、1店舗あたりの遊技台数は、10年前の260台から323台へ増加しており、店舗の大型化が進んでいることが分かる。全体の店舗数が減少するなか、業界3位のガイアは05年、53の新規店舗を出店している。

「陣取り合戦がまさに佳境」

 業界全体では、娯楽関連の破たんが目立った02年頃に比べ、倒産件数は落ち着いているが、競争激化による淘汰はいまだ続いている。ホール8店舗を運営していた大阪物産は05年11月、負債68億円を抱えて特別清算手続を開始。千葉県のホール運営スペース・バリューも6月、負債約40億円を抱えて再建手続きに入った(いずれも帝国データバンク)。

 パチンコ業界では「陣取り合戦がまさに佳境」(新生銀・キャピタルマーケッツ部・増田一郎部長)に入っており、大手チェーンは、パチンコ利用者の人気を勝ち取る店舗を相次いで建てながら、シェアの拡大を狙っている。新規店舗をスタートするには、用地確保やシステム整備などに数億円、郊外型の大型店舗の場合は20億円程度を要するため、大型資金のニーズが高まっている。

 証券化をいち早く実行したガイアでは、数年後に「ごく一部の運営業者が大半のシェアを握るようになるとみており、それに先駆けた資金調達の意義は大きいと考え、証券化を実行した」(澤田賢二・財務経理部長)。また、従来は短期の銀行借入金に依存していた同社にとって、投資家から長期資金を調達したことで、財務の安定化にもつながったと指摘した。

証券化市場

 新規発行が05年、前年比7割増の8兆6000億円(ドイツ証券調べ)へ急拡大した日本の証券化市場
では、住宅ローンや商業用不動産関連の証券化取引が増加しており、投資家層の裾野も広がっている。


 ホール運営業者の間で注目される証券化だが、米国に比べて日本市場の成熟度は低いとされており、パチンコホール事業を担保とするABSの販売が、容易でないという指摘もある。「将来キャッシュフローを担保にした証券化は、倒産隔離などの仕組みづくりが簡単でないうえ、他のABSのような幅広い投資家層があるわけでもない」(メリルリンチの林義直ディレクター)。

 パチンコ業界は「反社会的組織との不透明な取引および脱税事件が指摘されていたことなどから、社会的認知度の向上が遅れていた」(S&P2月23日リポート)だけに、機関投資家の腰が重いという事情もある。

 パチンコの景品を現金に交換するシステムに明確な法解釈がないことも、投資家にとってはリスク要因だ。換金問題を含め、「パチンコ産業が抱える構造的な問題は、国民のパチンコ離れを加速させる可能性がある」(BRICs経済研究所の門倉貴史代表)という指摘もある。

 ガイア証券化取引をアレンジしたドイツ証券の西田尚弘・証券化商品部長は、同商品を10以上の国内機関投資家に販売したと語った。ガイア案件をアレンジしたことで、同社にはパチンコホール業界からの問い合わせが10件程度、相次ぎ、今後は同様の事業証券化取引を他の業種も含めてアレンジしたいという。 (ブルームバーグ)

 30兆円の売り上げ規模があるパチンコ業界、まるで、戦国時代のようですね。