2016年11月20日。
茨城県つくばで行われた“つくばマラソン”に出場してきました。
今シーズンの一番のガチレース。
夏場じっくりトレーニングしてこの大会に照準を合わせて練習してきました。
目標はズバリ「サブスリー」。
初マラソンでサブフォーを達成して以来5年も目標にし続けてきた数字です。
さて、それを実現することは出来たのでしょうか?
完走後の感想です。(初っ端から軽いおやじギャグ)
 
とにかく、疲れました…
頭真っ白というか、とても大切にしていた大会なのに、あんまりよく覚えてないのは何故なのだろう…
 
必死に覚えているところから記憶を掘り起こし、時系列に並べました。
もう何度目かのマラソンの備忘録。
しかし、私には宝物です。

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それでは、つくばマラソン当日の備忘録の始まり。
 
今回、早速、体重コントロールに失敗しました。
カーボローディングとか思って、結構前日食べたんです。
そしたら大会当日の朝体重が66.2kgになってたんです。
これは身長174cmの私からすると結構記録的な体重で、
この3ヶ月出したことのない重さだったんです。
最近は63〜64kg台で保っていたのでこれには結構ショックで、走る前から少し焦ってました。
でも、いまさらしょうがない。
走りで挽回するしかないということで開き直って会場入りです。
つくばの会場のグラウンドがめちゃくちゃぬかるんで勝負シューズが走る前から泥だらけ。
めっちゃ気持ちが萎えます。
しかも今日は気温が上昇するんだとか。
後半の苦しい時間帯に追い打ち?
こんな風に、スタート前からサブスリーに対してアウェイ感漂っていたので、なんとなく、今日は無理かも、なんて弱気になってました。
 
でも、まぁ、なるようにしかならんです。
今の自分のベストを出そう。
それなりに練習も積んで体も作ったのだからサブスリーだってひょっとしたら出来るかも。
そんな感じで走ることにしました。
 
作戦はとにかくペースの波を作らないこと。
調子に乗っていつも以上のペースを出さないこと。
どうせ長く走り続けることは出来ないんだから。
自分を甘やかさず、されど厳し過ぎず、
苦しいと思う手前ギリギリで走り続けて、それが4:15/km切りペースだと良いな、という感じで走ることにしました。
 
で、スタート。
私は陸連登録選手で、規定のタイムに達していたのでAブロックでした。
が、Aブロックもなかなか人が多い。
大会側の説明ではA,Bブロックで3000人ぐらいいるらしい。
なので、スタート地点はなかなかの団子状態。
こりゃはじめの1kmはウォームアップ程度に捨てた方が良いと思いました。
 
【スタート〜5km】
あんまりコースが広くないのか、スタートから1km超えても団子は解消しませんでした。
手元の時計で1km 5分ちょっとかかっており、若干焦ります。
が、体型も走りもしっかりした良いペーサーになりそうな人を発見。
タイムを追っていくと気持ちが乱れるのでその人について行くことにしました。
この人ちょっと速かったのですが、自分を甘やかさずに走るには丁度良い速さでした。
5kmを通過したところ43分近く、ちょっと4:15/kmよりも遅いペース。
 
【 ~10km】
5km通過時点でタイム的には借金をしていたので焦りがありました。
コツコツ想定よりペースを上げて借金を返済していかなければなりません。
同じことをペーサーとしてターゲットにしていたランナーも思ったのか
どんどんペースを上げていきました。
便乗してついていくことに。
ただ、ペースの上げ幅がかなり急激で呼吸が乱れそうになりました。
なので、その人にぴったりつくのではなく視界に入っていればよい、
という感じで緩くついていくことにしました。
この人のおかげでダレることなく走ることが出来て10km通過時には
借金無し42:30というプラマイゼロのタイムでした。
 
【 ~15km】
呼吸も整い始め、体も軽くなってきました。
峠を超えて気持ちいい時間帯に突入です。
ペーサーにしていったランナーもぐんぐんペースを上げていきました。
が、ここで飛ばすと後半もたないのは何回も経験しているので、
ここでペーサーにしていたランナーについていくのをやめました。
特に次にペーサーにする人は探さず、
「寝る」ことにしました。
呼吸は息切れして乱れる一歩手前の心地よいギリギリを。
足は体の傾きだけを利用し自分では意識的に動かさない走り方を。
言うなれば“腰高”で脱力を心掛けました。
この脱力が私的には「寝る」感じ。
本当にほぼ目を閉じるのに近い感じで走ります。
ときより目を開くとなかなか綺麗な紅葉がみれて周りの景色を楽しむ余裕がありました。
これでタイムも4:10/km前後で走れていたのでとても楽でした。
この区間で少し貯金が出来ました。
 
【 ~20km】
まだまだ前の15kmまでの走りと同じ、
「寝る」区間です。
焦ることなく淡々と距離を刻みます。4:10/km前後のペースで走れていて
貯金の区間。
この区間は確か田畑がみえるのどかな景色だったかと思いました。
とにかく呼吸を整え、心を整えることに集中しました。
あるいは何も考えないか。
休む区間。エネルギーは30km以降に取っておくように考えていました。
 
【 ~25km】
中間地点を過ぎて電光掲示板で1:28:43というのが見えました。
貯金が十分とは言えませんがまだサブスリーを狙える圏内です。
ペースを上げるのは難しいと思っていましたが、1分ちょっとのアドバンテージを使ってどこまで粘れるか。
サブスリーは達成したいけれど、そこにこだわるというより、
どこまでそれに近づくか、みたいな少しクールな気持ちでいました。
ペースはこの区間も落ちることなく、また少し疲労は感じるもののまだまだ余力がありました。
これは私的には今までにないことです。
今までだとハーフまでで安心していた、というかハーフを過ぎるとペースも落ち始め気持ちも折れるころでした。
逆にいうと、今まではハーフまでサブスリーのペースで走れれば御の字、みたいな気持ちだったのです。
それが今回は気持ちも体力も違います。
走っていて楽しかったです。
 
【 ~30km】
もう限界!と思う頃。
ですが、まだペースはほぼ4:15/kmを刻めていました。
大分疲労が溜まってきましたがまだイケる感じがしました。
段々景色を楽しむ余裕も沿道の声援に応える余裕もなくなってきましたが平坦なつくばのコースに助けられ、淡々と呼吸に気を付けて走りました。
この区間で前半ペーサーがわりについていった人を抜かしました。
その方はフォームはしっかりしているもののだいぶへばっているようでした。
多分あのまま付いていったら自分もこうなっていたような気がします。
なんだか怖いなぁと思いました。

【 ~35km】
30kmを超えてだいぶ体がきつくなってきました。
しかし、残り12kmぐらいと考えると普段練習で走っている10km程度の距離に近づいてきてイメージ出来てきました。
この体の疲労感と距離の関係からするとトップスピードでは走れないけれど大崩れせずにゴールできるイメージは持つことが出来ました。
しかし、やはり体は正直でこの区間から段々4:15/kmペースで走るのが辛くなってちょっとずつオーバーするようになってきました。
もはや周りを見る余裕はありません。
 
【 ~40km】
表示が段々「xxキロ通過」という表示から「残りxkm」に切り替わってきました。
応援も「あとちょっと」とか「サブスリーいけるよ」みたいな声に変わってきました。
私自身は「サブスリーいけるよ」は全く信じていませんでした。
壁と言われる35kmを過ぎても大きな壁はやってきませんでしたが足は重くなり、タイムが落ちていくのを感じていました。
このころからもう“腰高”の軽いステップでは走れていませんでした。
足は重かったですがしかし気持ちは折れず残りの体力をどう使おうか考え始めました。
37kmを過ぎて、のこり5kmになった頃もうこのペースで走り続けるのも限界かなぁと思い始めたころ
沿道から「ここからだよ~」とか「おしていけ~!」とか声が多く聞こえるようになりました。
周りのランナーも自分たちの限界に挑んでいるように見えました。
私の呼吸はゼーハー乱れ、もはやどこまでこのペースで走り続けることが出来るかわかりません。
どうしよう?と思いましたが、そこに子供たちの「頑張れー」という声援も聞こえたり。
そう、私の娘は今頃妻と遊んでいることでしょう。
しかし、娘や妻に「今日パパ頑張ってきたよ~」と笑って話したい。
そんな気持ちが溢れ出てきて、食いしばって歪んでいた顔を無理やり笑顔にして、今までのペースを落とさないように必死に走りました。
40km手前でしょうか、つくばの中では珍しいはっきりとした上り坂が来て足がつりそうになりましたが、ここも必死に堪えて足を動かしました。
この区間から時計をみるのをやめました。
時計をみてもこれ以上速く走ることは出来ないし。
逆にサブスリーに微妙な時間だったり、無理だったりしたらたちまち気持ちが折れて全力を出せない気がしたので。
とにかく完走した後「もうちょっと出来たかも」と思うような事が無いようにしようとも思ってました。
チラッとですけど。
 
【 ~ゴール】
残り2kmちょっと。
大学の敷地内の綺麗な紅葉の中で走っているはずですが
もう景色を見る余裕もありません。
周りのランナーにも、抜いているのか、抜かれているのか。
足が遅くなっているのか、なっていないのかよくわからなくなりました。
そんなに多く抜かれている感じもしませんし、
地味に数人抜いていってる感覚があり、その意味ではスピードは落ちていない感じがありました。
呼吸はこの上なく苦しく、足は重いです。
残り一キロになったはずですが、一向にゴールの姿が見えません。
本当に長い一キロ、極端に長い一キロを感じていました。
ゴールはまだかと、必死に目標を探してました。
そして、「どこだー、ゴールはまだかー」口に出して言うようになりました。
そして最後のコーナーを曲がるとすぐにグラウンドとFinishラインが見えました。
電光掲示板もみえました。まだ「2:58:xx」。
 
おぉ、3時間切れるのか?
最後の100mぐらいも必死。
電光掲示板の表示は
 
「2:59:xx」。
 
分表示が変わってしまったけれど、サブスリーを確信してのゴール。
ゴール付近は人がごった返していました。
皆サブスリー狙いでいたんでしょうね。
沢山の人が喜んでいました。
 
自分はというと半信半疑。
マジか?
マジでやったのか?
初マラソンから5年かかって達成したのに目標。
苦しかったけれど、なんか結末が呆気ないような。
信じられない気持ちというか、整理出来ない気持ちをどうしていいやら。
でも、確かにやったんだなと思ったら
少しだけ目頭が熱くなって……
脱水に近かったのか涙は出なかったんですけどね(笑)
もしくはドライアイか?(笑)
 

イオンウォーターをもらってクールダウンしながら完走証を受け取りに行きました。

確かにその完走証は2時間台で印刷されていました。

長い5年間。

コツコツ積み上げてきた練習が実を結んだ瞬間でした。

 

正直ホッとしました。

これからはここまで追い込まずに楽しく走れるんじゃないか。

目標を達成した満足感と、目標を失った喪失感が入り混じった不思議な感覚。

やった人にしか体験できないとても濃い経験をさせてもらいました。

 

今まで関係した人すべての人に感謝したいです。

ありがとうございました。

 

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