今回は茶道の釜について、お話したいと思います。
釜ってどれ?
と質問される方はさすがにおいでにならないと思いますが、
茶道で使う湯を沸かす道具で、
炉か風炉の上でほんのりと湯気がたっているあれです。
茶釜とも呼びます。
風炉で使う釜は、とくに風炉釜と呼びます。
1)茶道の釜の歴史を知りましょう
日本の茶釜の歴史は、
茶釜の祖形である、ものを煮炊きする口の
大きな釜である鍑(さがり)が中国から伝わった後、
建仁年間からか、
弘安年間から(いずれも鎌倉時代)始まったといわれていますが、
実際のところは明確でなっていないので、
鎌倉末期から室町初期にかけて、
現在の原型が確立したようです。
釜の発生から大別すると、
芦屋釜と天明の2つの種類に分けられます。
では次から芦屋釜と天明について、見ていきましょう。
芦屋釜(あしやがま)
![茶道 道具](https://stat.ameba.jp/user_images/20150408/16/coz7z/27/4a/j/t02000150_0200015013270274330.jpg?caw=800)
芦屋釜とは、
鎌倉時代末期から桃山時代の天正年間にかけて
筑前国(福岡県)遠賀川(おんががわ)の河口にある
山鹿庄芦屋津(やまがのしょうあしやづ)で制作された茶の湯釜です。
芦屋釜は、茶の湯釜が初めて作られた地で、
鎌倉時代の初期には真形釜(しんなりがま)が登場しました。
鎌倉時代末期頃より 梅などの大柄の文様を押出すようになり、
その後の代表的な文様といえば、亀甲、七宝、梅花です。
室町時代からは真形釜の胴部を八角にして
八景地紋をあらわしたものや
六角釜などの変形の釜も造られましたが、
大部分は真形釜で、
文様も松竹梅の組合せか松林の図が多く、
霰釜も多く、やや小形の釜が多くなりました。
芦屋釜は、室町時代末期まで
隆盛をきわめていましたが、 江戸時代初頭には絶えました。
天明(てんみょう)
![茶道 道具](https://stat.ameba.jp/user_images/20150408/16/coz7z/24/b1/j/t02000150_0200015013270274331.jpg?caw=800)
天明とは、
下野国佐野庄天命(栃木県佐野市犬伏町)
で作られた茶湯釜の総称です。
天明は、「天命」、「天猫」とも書きます。
古くは天命といいましたが、
寛永十年(1633)井伊掃部頭が領したときに
天命と小屋の二字を合して天明村としたと伝えられ、
天猫は利休が洒落てつけたといわれます(かわいらしいですよね)。
天明は、鎌倉時代には鋳造が
行われていたと考えられており、
最古の遺品として尾垂(おだれ)釜がありますが
茶湯用に造られたものではなく、
茶湯用に鋳出したのは室町時代頃からと考えられており、
室町時代末には芦屋釜と並び称されるようになりました。
その後江戸時代初頭まで茶湯釜を鋳出しています。
天明の作風は、大体が厚作で雑器の名残をとどめ、
多くは丸形で無地文が多く、
鐶付は遠山、鬼面、獅子が多く見られます。
天明の釜肌は、芦屋の釜肌が滑らかで
いわゆる鯰肌で地紋に重点を置いたのとは対照的に、
荒々しい肌 で、その素朴で侘びた趣が好まれました。
2) 釜の種類はどんなものがあるか?
筆者も全種類見た事はありませんが、
本当にたくさん種類があるんです。
今回は大枠と名前を紹介しますね。
丸系
![茶道 道具](https://stat.ameba.jp/user_images/20150408/16/coz7z/24/b1/j/t02000150_0200015013270274331.jpg?caw=800)
■真形(しんなり)釜
■責紐(せめひも)釜
■平(ひら)釜
■塩屋釜
■丸(まる)釜
■日の丸釜
■切掛(きりかけ)釜
■柏(かしわ)釜
■口四方(くちよほう)釜
■阿弥陀堂釜
■筋(すじ)釜
■提灯釜
肩衝系
![4](https://stat.ameba.jp/user_images/20150408/16/coz7z/58/04/j/t01500150_0150015013270274581.jpg?caw=800)
■肩衝釜
■面取(めんとり)釜
■矢筈(やはず)釜
筒系
![5](https://stat.ameba.jp/user_images/20150408/16/coz7z/b0/f4/j/t01500150_0150015013270274582.jpg?caw=800)
■達磨堂釜
■立鼓(りゅうご)釜
■棗(なつめ)釜
■肩衝筒釜
■富士釜
■車軸釜
■雲龍(うんりゅう)釜
■瓢箪(ひょうたん)釜
角系
![6](https://stat.ameba.jp/user_images/20150408/16/coz7z/f8/58/j/t01500150_0150015013270274587.jpg?caw=800)
■四方(よほう)釜
■六角(ろっかく)釜
■十文字釜
■切子(きりこ)釜
■八角(はっかく)釜
その他
![7](https://stat.ameba.jp/user_images/20150408/16/coz7z/a3/cf/j/t01500150_0150015013270274754.jpg?caw=800)
■裏(うらごう)釜
■茶飯(ちゃはん)釜
■平蜘蛛(ひらぐも)釜
■鶴首(つるくび)釜
■手取(てとり)釜
釜の口の形も様々です
■繰(くり)
■輪口
■立(たち)口
■落(おち)口
■矢筈(やはず)口
■田(た)口
■姥(うば)口
■甑(こしき)口
■十王(じゅうおう)口
釜の蓋の種類も複数存在します
■一文字蓋
■掬(すくい)蓋
■掛子(かけご)蓋
■神輿(みこし)蓋
■微笑(えみよう)蓋
■打込(うちこみ)蓋
■盛(もり)蓋
春先限定で使う釜で、
天井から下げた鎖(釜鎖)にかけて用いる小ぶりの釜があるのですが、
こんな形のものもあるの?と最初驚きます。
![8](https://stat.ameba.jp/user_images/20150408/16/coz7z/43/bf/j/t02200176_0300024013270274755.jpg?caw=800)
ちなみに釣り釜(つりがま)といいます。
一言で茶道の釜といっても、実に奥が深いです。
是非美術館で実物を見る、
あるいはウェブサイトで写真を検索をして、眺めてみませんか。