ある日、ある所で、ある馬の話。
(業務上、守秘義務により、詳細明かせず。あしからず・・・)
とんでもなく暴れて人を落とすという馬をどうにかしてほしいとのヘルプコールが。
しかし、聞けば、どうやら初期馴致に失敗し、それを騙し騙し、4ヶ月も経過してるとのこと。
とりあえず、見ることに。。
・・・・・・・・・どうして、こうなる前に、もっと早く呼んでくれなかった??
いつもTomさんが思うこと、らしいです。
私もそう思います。
いじりたおして、完全に馬が学習している。
例えるなら、ビスのネジ山がバカになってて、ドライバーも効かない状態、みたいな。
私も一度、見に行ったけど、ハミが全く効かない。
というか、ハミの抜き方を馬が覚えてる。
恐怖も感じてるんだろう。プレッシャーを強めると、筋肉が震えていたのを見た。
尾を巻き、背中を丸め、一瞬の硬直の後に、最大限の力を振り絞って大ジャンプする。
それはそれは、見上げるほどの高さまで飛んで、それからかぶる。
正直、こんなんじゃ、たいていの人は乗ってられないだろう。
現に、数人を振り落とし、病院送りにし、牧場も3つ転々としている。
思えばかわいそうな馬だけど。。
なんで、ここまでなった?
恐怖もあるけど、馬が完全に学習している。
私から見ても歴代ワーストに入るほどの牝馬。
過去に、もう10年以上昔になるかな、とんでもない牝馬がいた。
Tomさんも、夜もうなされて、私も、もう手を引いたほうがいい、命がいくつあっても足らないと思ったほどの手ごわい牝馬。
あの馬を思い出すね・・と何度も話した。
とりあえず、どうにか無事に競走馬デビューを果たしたその馬の頭絡は、今でもうちにとってある。
まさに、その馬の再来ともいえるくらい・・・。
あの頃と違うのは、Tomさんも、膨大な数の症例を見てきて、やり方の引き出しが増えたこと、かな?
でもビビリの牝馬ほど、たちが悪いものはない、と私は思う。
今でもTomさんの見てる競走馬(育成馬)の中では、年間に数頭、とんでもなくひどいのがいるらしいけど、受け皿がいいと、時間をかけてでも、良化していくらしい。
でも、やっぱり人手も時間もかけれない牧場が多い中で、悪癖馬を改善していくには、相当なハードルがあるみたい。
その馬のためにも・・どうにか頑張って、競走馬デビューを果たしてほしい。
早く治してくれ、といわれても、4ヶ月かかって、こじれたものを、魔法のように数日で治すことは不可能。
でも、時間をかけてでも・・・・
無事、おとなしく安心して人を背中に乗せれるようになる日が来ますように。。
その馬に明るい光が差しますように。
関わる人たちが、ケガなく、その馬を送りだせますように・・・。