△日本百名山 No.095 「九重山」 | 名人塾2

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△日本百名山 No.095 「九重山」







●九重山 くじゅうさん 大分県 中岳:1,791m



坊がつるから大船山


コース:300名山の大船山(だいせんざん 1,786m)だけを往復するつもりだったのだが、山頂から久住山を眺めたら縦走したくなった。結局、11時間も歩くことになった。


(筆者注:山の統一的な名称については論争があったが、旧直入郡久住町と玖珠郡九重町との合意で、黒岳、大船山、平治岳、三俣山、稲星山、久住山等の山々の総称をひらがな表記で「くじゅう連山」とすることになった。これにより「阿蘇国立公園」にこの地域を加えて改名するにあたり名称を「阿蘇くじゅう国立公園」とすることになった。また、坊ガツル・タデ原のラムサール条約への登録名も「くじゅう坊ガツル・タデ原湿原」となっている。Wikipediaより)




登山記録:2003年9月13日

根子岳の登山口を出発して、再び一宮町を目指す。この途中の道はいかにも阿蘇山麓らしい草原の中の道を行く。緑の絨毯がゆったりと畝っている。
宮地駅の前から右折して、阿蘇神社の前を通っていく。このあたりの地名は「一の宮」というのだが、一の宮というのはその地域での一番格式の高い神社のことである。是非立ち寄りたかったのだが、それどころではない事情がある。私はスーパーを探しているのだ。
今夜の夕食の買い出しができていないのだ。探しながら行くのだがどうしても見つからない。
道は山並みハイウェイを行く。こんなところに店はない。
山並みハイウェイの素晴らしい阿蘇の草原の中の道を行き、長者原に着いたのは3時半であった。
長者原の駐車場は、キャンパーでいっぱいである。私と同じように、この駐車場で一泊しようとする人が多いのだ。またキャンピングカーもたくさん停まっていた。
時間に余裕があるので、麓の集落まで行ってみることにした。
温泉にも入りたいし、スーパーを見つけて買い物もしなければいけない。
下っていくと、中村の集落で小さなスーパーを見つけた。ここで買い物をすることにした。
私はいつも焼き肉に決めているのだが、このスーパーでは肉が売っていなかった。
しかたがないので、カップ麺の焼きそばと冷凍の枝豆を買った。
さて、食糧の調達もできたので温泉に入ることにする。
釜ノ口温泉という案内板を見つけたので、この温泉に入ることにした。
入浴料は200円で、ひどく素朴な温泉である。お湯は茶褐色をしていて、見た目には泥水のようである。青森津軽半島の不老不死温泉を思い出してしまった。
温泉で汗を流して長者原に帰ってきた。
ともかく、この長者原は車がいっぱいである。
椅子・テーブルは出さずに、駐車場内のベンチに腰掛けて食事をした。
といっても、カップ麺の焼きそばと枝豆だけなのだが。やっぱり焼き肉をしないと、ビールを飲んでいても盛り上がらない。
缶ビールを飲みながら、次第にくれて行く九重の山並みを眺める。
長者原から目の前に三つの峰を持つ山が聳えている。三俣山である。
それが山頂部を赤く染め、しだいに暗いシルエットに変わって行く。
明日の山が楽しみである。





三俣山に朝日がさす



早朝の長者原



タデ原湿原を行く



雨ヶ池への入り口



長者原を見下ろす





登山記録:2003年9月14日

5時半に起床。
パンで朝食をとって、6時半に出発した。
今日は長距離を歩くことになる。
ともかく最大の目的は大船山に登ることである。そのあとで余裕があったら九重の最高峰中岳と久住山に登るつもりである。このコースは11時間ほど歩くことになる。
まず、雨ヶ池を越えて坊がつるをめざす。
今日は本当にいい天気で、気持ちも軽くなってくる。
まず、ヘルスセンターから山に続く舗装された道を行く。すぐに左に入る道があって、これを行くと草原の中の道になる。
このあたりは遊歩道が縦横に巡らされているのだ。
分岐があって、雨ヶ池には樹林の中の道に入る。林の中で、森林浴の遊歩道みたいなもので、これを歩いて行くと次第に傾斜がきつくなってくる。
雨ヶ池峠に着いたのは9時少し前であった。雨ヶ池を目指していたのだが、その池は気がつかないうちに通り過ぎてしまった。
峠を越えて坊がつるに下って行く。
坊がつるは九重連山の真ん中にある窪地で、まわりを本当に山々で囲まれているのだ。
坊がつるの草原が下に見える。その向こうには白口岳、中岳が聳えている。下っていく左手には丸い頂きの山が見える。私はこれが大船山だと思っていたのだが、そうではなかった。これは平治岳で大船山はその右にある山なのだ。
私はなぜか大船山は山頂はまるいなだらかな山だと思い続けていたのだ。実際の大船山は山頂部は岩峰である。
坊がつるに下りつく。褐色の草原が広がっている。
坊がつるで一度はテントを張ってみたいものである。あの有名な「坊がつる讃歌」思ってしまう。
坊がつるには意外と林道のような広い道が通っていた。これが法華院温泉に通じている。
坊がつるのキャンプ場をめざす。
坊がつるにはけっこう大きな川が流れていて、その水量も多い。まずこの川を渡らなければいけない。これを橋で渡るためには少し遠回りになる。
キャンプ場に張られたテントは意外と少なかった。
行き止まりのところに指導標があって、ここから登山道に入る。草原の中の道は樹林の中の道に変わる。
次第に高度を上げていくと、坊がつるを囲む山々の展望が広がってくる。今日はすばらしい天気で、九重の山々を間近に眺めることができるのだ。
大船山でまず目指すのは「段原」である。
ここが岩峰を形造る山頂の肩になっている。大船山もまた火山であって、この が火口壁である。ここから山稜は右に大きく円を描いている。下を見ると昔の火口が下に広がっていて、これを米窪という。
ここからは大船山の山頂がすぐ近くに見える。険しい岩場が待っている。
これに登って行く。見た目では30分以上かかりそうなのだが、実際は15分ほどで山頂に立つことができた。
この山頂がまたすばらしい。
坊がつるを囲む山はこの大船山のすぐ北隣が平治岳である。この山の左は谷を挟んで三俣山である。これが長者原からはよく見えるのだ。三俣山の左はv字に抉れていて、ここがスガモリ峠、ここからこの谷を下って来たところが法華院温泉。この山頂からも温泉の建物が良く見える。
そしてこの左に大きく盛り上がっているのが九重の最高峰、中岳を中心にした白口岳、稲星岳などである。眺めていて飽きることがない。
山頂の東下には池があった。これも火口湖ということになる。
この山頂では御池巡りといって、この池を巡るコースも設定されているのだ。
行きたかったのだが、今日はこれから中岳・久住山に登らなければいけない。時間的な余裕がないのだ。
山頂には30分いて下山した。
坊がつるに下ってきたのは12時少し過ぎた頃。まず法華院温泉をめざす。
法華院からは白口谷を登って、白口岳と中岳の鞍部に出るつもりである。このコース、登りがかなりきつい。
ところが法華院ではこの登山口をなかなか見つけることができなかった。
仕方がないので、白口岳に続く道を歩いて行った。
ところがその途中のキャンプ場の中に登山口があった。
さて、この登りは本当にきつかった。
途中、崩壊している箇所もあって、道は沢の中を通る。大きな岩を越えて行くすごい道である。
ようやく鞍部に登りつくと、そこには指導標がいろんな方向をさしている。
ここから左に行くと白口岳である。右が中岳に登って行く道。この左右の道の間に二つの道がある。一つは目の前に聳えている稲星岳山頂に続く道。その右の道は真っ直ぐに久住山山頂に向かう道なのだ。私はこの連山の最高峰中岳とクジュウの名前の由来であろう久住山に登るつもりだった。ところが目の前に立派な山が聳えている。この稲星山は標高1774mでけっこう高い山なのである。
以前この九重に来たときもこの山には登らなかった。
登ってみることにした。
時間はもう2時になっている。あんまり寄り道している余裕はないのだが、すこしでもたくさんの山頂に立ちたいというのはヤマヤの「サガ」でどうしようもない。
ザレた道を登って行く。20分ほどで山頂に立った。ここからすぐ前に聳える2つのピークを見る。最高峰の中岳である。そのすぐ隣にも切り立った山頂がある。
私は大きな勘違いをしていて、これを久住山だと思っていたのである。この二つの笈―句から90度くらい左の方向にどっしりとした山がある。山頂にはたくさんの人が立っているのが見える。この山はいったい何ナノだと思って地図を調べると、これが久住山であった。中岳から久住山はこんな離れていたのだ。これでは時間がかなりかかりそうである。
あわてて下山、さっきの鞍部に戻る。
ここから中岳に登る。かなり急な岩場の道である。
中岳山頂からは、すぐ下に池を見ることができる。これが「御池」である。
私はすぐ隣の天狗峰に縦走しようと思っていたのだが、このエメラルドグリーンの水面をみていたら、池に下ってみたくなった。
池の畔の道を巡ってそれから久住山をめざす。
御池の南岸を巡って天狗峰との登り口に合流する。そこから右に大きな窪地をみながら稜線を行くと久住の分れとの分岐に着く。いよいよ久住山への登りとなる。
もう3時過ぎなのだが、山頂にはたくさんの人の影が見える。
その山頂で大きな声で何かしら騒いでいる。何かと思ったら、この分岐にザックを置いて登っているのだが、そのザックからカラスがお菓子類を引っ張り出しているのだ。
私がその傍を通りかかると、カラスは袋菓子をくちばしにに咥えて飛んでいった。

最後の登り、距離はたいしたことないのだが、けっこうしんどい。
山頂には2~3人しかいなくなっていた。みんな下山してしまったようだ。
この山頂からは噴煙をあげる硫黄山の姿がすごい。
最後にもう一度九重の山々を眺めて山頂を後にした。
山頂からは久住の別れにショートカットで下った。登山道は大きくUカーブしているのだが、これを最短で下ろうというわけである。北の急斜面を下った。私意外にもこのように下る人は少なくないみたいで、踏み跡がある。
久住の別れまではともかく、大きな石のゴロゴロする歩きにくい下りである。
久住の別れからは涸れた沢筋を下る。これもかなり急な下りである。
下り着いたところは、ひどく広い平坦地である。これを北千里浜に向かって歩いて行く。
左手には硫黄山が聳えていて、音をたてて噴煙を吐き出している。すごい迫力である。
私はこのまま下るだけだと思っていたのだが、もう一度登りがあった。
突き当たったところがT字路のようになっていて、右に行くと坊がつる、左が私がめざすスガモリ峠である。登りはたいした距離ではないのだが、今日一日の疲れが出てきていて、けっこうつらい登りであった。
スガモリ峠には丸石を積み上げたような小屋(休憩施設)があった。
ここからはけっこう広い道で、これを少し行くと通行止めのロープが張られた林道が左にある。私の先を歩いていた登山者は平気でこの道に入っていった。私はそのまま登山道を行ったが、ここからけっこう歩きにくい大きな岩が累々とする道になった。
これを下っていくと最近工事されたばかりの防水堤に出て、この沢の向こうには立派な林道が出来ている。さっきの進入禁止の道はここに通じていたのだ。さっきの登山者ははるか先にいた。
林道をどんどん下って行くと指導標があって、右に長者原とある。この道に入る。ところがこれはすさまじく歩きにくい道であった。粘土質で滑りやすいのだ。傾斜もけっこうあって、これがずいぶん長く感じた。
ようやく林道に出る。進んでいた方向にそのまま林道を歩いていくと登りになっている。
おかしいと思って引き返すと、長者原にはいったん逆方向に行って、その道が大きくカーブを描いて長者原に至るのだ。
疲れているのに余計な距離を歩いてしまった。
長者原に着いたのは6時であった。もうあたりが薄暗くなる頃である。
今日は11時間、歩いていたことになる。
疲れた。





雨ヶ池付近の木道



坊がつる、向こうには大船山



坊がつるのキャンプ場



大船山への登山口



段原を目指して登っていく



五合目



段原



大船山山頂



山頂直下に御池がある



坊がつるから大船山を振り返る



法華院温泉



中岳・白口岳の鞍部に向かう



稲星山山頂



九重連山の最高峰、中岳



久住山山頂



北千里から硫黄山



スガモリ峠



硫黄岳を振り返る



九重山を行く



大船山



山頂から三俣山




山頂から久住山



由布岳が見えた/段原方向の展望



法華院温泉に向かう



中岳と御池



稲星山から久住山