△日本百名山 No.085「聖岳」(2/2) | 名人塾2

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△日本百名山 No.085「聖岳」(2/2)







●聖岳 ひじりだけ 静岡県と長野県 3,013m



薊畑からの聖岳


コース:百間平→大沢岳(7818m)→大沢渡分岐→中盛丸山(2806m)→小兎岳(2738m)→兎岳(2799m)→聖岳(3011m)→奥聖岳(2978m)→聖岳→小聖岳→薊畑→聖平

朝は厚い雲がかかっていてどうなるのかと思ったら、次第に晴れてきて、聖岳山頂に着くころには快晴になった。今日のハイライトは兎岳から聖岳の間にある急降下と急登である。これはすさまじかった。



登山記録:2007年8月13日(月)(画像は1983年の登山記録)

・・・・「聖岳」(1/2:2月8日投稿済)より続く

聖岳山頂へ

小屋跡からはすさまじい岩場の下りが続く。まっ逆さまといった感じの岩場を下って行く。下に見える尾根には鋭い岩峰がいくつも連なり、その先の聖岳の右側は大きく崩落したガレ場になっていて、登山道はガレに沿って登って行くのだった。見なければよかったと思うほどのすさまじい道である。
鞍部の岩峰は樹林の中を左から捲いてしまって、聖岳の登り口に着く。砂礫の鞍部でここで少し休憩して、これからの急登に備えて息を整える。5人ほど登山者が休憩していた。
鞍部からは岩場の急登である。両手フル稼動で、岩につかまった登って行く。右は聖の大崩落地と呼ばれる断崖である。岩場の登りからザレた急な道になって、これをジグザグに登る。山頂までは延々と急な登りが続くのだ。振り返ると兎岳からの岩場の下降路を眺めることができる。あの道を下ったのか…とため息が出てしまう。
ようやくハイマツや潅木の中の登りになると傾斜は緩やかになる。ほっとしたのも束の間、すぐにハイマツの急斜面の登りになる。見上げると首が痛くなるほどの急斜面だ。足元を見つめながら、ゆっくりと一歩一歩登ってゆく。この急斜面を登りきって、そこが山頂かと思ったら、その先には明瞭な尾根が続いていた。ハイマツの茂る稜線を行く。尾根の向こうに山頂と思われるピークが見えるのだが、まだまだ遠い。
この頃になると、聖岳にかかっていた雲はすっかり晴れて、頭上には真っ青な空が広がっている。夏の太陽がガンガン照りつける。山頂直下の登りが一番きつかった。
砂礫の急斜面を登って聖岳山頂に着く。時間は12時10分であった。
山頂には、昨日隣にテントを張った学生たちが休んでいた。彼らは暗いうちに出発したはずだが、ここで追いついてしまったのだ。
南側を眺めると、山頂に雲がかかったりっぱな山が聳えている。地図で確認すると上河内岳なのだ。昔、茶臼から縦走したときは、上河内岳の印象がほとんどない。こんな立派な山だったのかと改めて感心してしまった。
長めの休憩をとっていたが、この聖岳山頂からは東に伸びる尾根があって、その先には奥聖岳山頂があることに気がついた。せっかくなので往復することにした。分岐にザックを置いて空身で奥聖に向かう。
聖からは険しい岩稜を下る。痩せた岩場の尾根を過ぎると、尾根は広くなって、砂礫の道を緩やかに下って行く。ケルンがたつピークに着くと、その先は急下降になっていて、ここが奥聖岳の山頂であった。山名の標識はなかった。聖岳山頂にはたくさんの登山者がいたが、ここには私の他に老夫婦の三人だけであった。
聖に引き返して、再び重いザックを背負う。この後はもう登りはなくて、聖平に向かって下るだけだ。



兎岳からの下り



稜線を行く



聖岳山頂が近づく



聖岳山頂



奥聖岳への道



奥聖岳山頂












































小聖岳から聖平へ

ザラザラの急斜面をジグザグに下って行く。岩礫の広い急斜面で、その向こうには明瞭な尾根があって、尾根沿いに続く登山道が見える。でも、そこまではものすごく遠い。ガラガラの道をひたすら下る。振り返れば、白い岩礫の急斜面の上に真っ青な空が広がっていた。
広い斜面から尾根道に入る。その右には急峻な沢があって、少しだけ水が流れているのが見えた。下の方からは水が流れる音が聞こえてくる。登山道からこの荒れた沢へは足場が悪いものの、行けないことはない。ここが水場といっていい。
昔、この道を聖に登ったときは、聖平で水を補給できないまま登って、完全にバテてしまった。そのとき登山路の途中で水場を見つけて救われたのだが、それはここだったのではないかと思う。
アップダウンを繰り返して痩せた尾根を下って行くと、広い平坦地に着いた。そこには標識がたってるので何かと思ったら、小聖岳山頂なのだった。ここから見上げる聖岳はひたすら大きい。
小聖から右に下ると樹林の中に入って、どんどん下って行く。途中には時々アップダウンがあって、そのわずかな登りがものすごくつらい。でもダケカンバの林の中にはお花畑があって、きれいな花に元気づけられてしまう。
樹林が途切れたところから、遥か下に小屋が見えた。疲れ果てている自分んひはものすごく遠く見えた。
どんどん下って樹林から抜け出すと、一面のお花畑が広がっていた。花の咲く斜面の中を下って行くと指導標の立つ分岐に着いた。ここが「薊畑」であった。少し行くとお花畑があって、その一郭が保護柵で囲われている。昔、一帯に咲いていたニッコウキスゲがほとんど絶滅してしまったため、その植生回復の実験をしているのだそうだ。
このあたりから振り返る聖岳は、美しいお花畑と針葉樹林の上に大きく聳えていて、すばらしく絵になっている。
薊畑から急下降してゆくと、下には草原の広がりとそこに続く木道が見えた。
ようやく草原に下り着くと分岐があって、直進すると縦走路、左の木道を行くのが聖平小屋への道なのだ。木道を緩やかに下ると、林に入ってすぐに小屋の前に着いた。
小屋の前は広いテント場になっていて、ここでは場所を指定されることなく自由にテントを張っていいのだ。テントを張って落ち着いたら、すぐ近くに昨日の大学生がテントを張っていた。昨日は狭いところに張っていたのに、今日は広いところに張れている。その代表が声をかけてくれて、このテント場は快適だと喜んでいた。
テントを張り終えて落ち着いたのは15時半。水場はすぐ目の前にあって、本当に快適なテント場である。そしてトイレに行ったら、洋式でしかも水洗だった。
日当たりがいいのでシュラフを干しながら、のんびりしてしまった。



聖岳からの下降路



小聖岳に着く



お花畑を下る



薊畑分岐から聖岳



小屋に向かって木道を下る



聖平小屋前のテント場










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