中日ドラゴンズで投手だった木下選手の急逝を、私達は忘れてはならない。選手にとって、コロナワクチンは強制接種だったのである。

 

 

 

スポーツ界でも新型コロナウイルスのワクチン接種が加速化している。一方でプロ野球の広島・鈴木誠也、DeNA・オースティンらが接種による副反応で翌日の試合を欠場するなどのケースも見受けられる。当然ながら大前提にあるのは「接種は個人の自由意思、判断」で、決して強制されるものではない。

Jリーグの村井満チェアマンも「選手の一部にはさまざまな風評によって接種を避ける方々がいないわけではない」と、その実情を語る。同チェアマンが各クラブ関係者から伝えられた選手の不安には大きく以下のものがある。

「1度、コロナに感染した人は受けなくていいんですよね?」

「変異株には効かないんですよね?」

「心筋炎を引き起こすんですよね?」

「接種によって、全国で200人ぐらい死んでいるんですよね?」

「DNAの変異をもたらすんですよね?」

「ドーピング検査で引っかかる可能性があるんですよね?」

どれも科学的エビデンス(証拠)はない。それでも不安を100%拭い去ることができないのも事実。プロ野球界も同様だ。6月21日に中日・与田監督、選手、チームスタッフら約60人が東京都内で職域接種を受けた。それを前に、プロ野球とJリーグが設立した「新型コロナウイルス対策連絡会議」の専門家メンバーでもある愛知医科大・三鴨廣繁教授は中日ナインと個別に話をする機会を持った。

そこで選手が漏らしたのは20代、30代だからこその不安と恐怖だった。ずばり、生殖毒性。「これから子供を作ろうと考えているんですが、影響はないですか?」--。これはかなり深刻な悩みで、中には妻が夫の接種に難色を示す例も。ほかにも「将来、癌(がん)になるのではないですか?」との声も聞かれたという。

その上で、三鴨教授は「今回の五輪で〝流行〟した言葉を使うなら、接種することによってチーム内も安心安全、家族も安心安全、(球場に来る)観客も安全安心ということになれば、プロ野球界の接種率も高い数字がいい。私の希望としては70%以上の選手が受けてほしい」とした。

プロ野球の各球団、Jリーグの各クラブには、専門家チームと地域アドバイザーが制作したワクチン講義のビデオが届けられる。(東山貴実)

 

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