トロントの街を歩くと…
雪の降る中、小学校の校庭でスティックを持って地面の上でホッケーに興じる子供たち。
あるカフェでは店員と客が激しく口論をしていました。
聴いているとどうやらそれそれが応援するチームのどちらが強いか、次の試合はどちらが勝つかというようなことを言い合っていました。
日本でキャッチボールをしている人を見たり、居酒屋で野球のことをああだこうだと話したりしているのを聞いても何とも思わないのと同じように、カナダの人々にとっては何でもないことでしょうが、私は「ホッケーの街にいるんだ」ということがたまらなく嬉しかったです。
トロントでは試合の他にもう一つお目当てがありました。
ホッケーの殿堂 (Hockey Hall of Fame) に行くことでした。
現在、この殿堂はトロントの市街地にありますが、そのころはExhibition Placeという広い公園(?)にありました。
市街地から路面電車でこの公園の正門に着いたものの、さて、その中のどこに目指すHall of Fame があるのか。
日本で手に入れたパンフレットを頼りに雪が積もっている公園内を歩き始めました。
しかし、以前は野球場などの競技場などがあったほど広い場所なので歩いても歩いてもなかなかそれらしきものは見えてきません。
しかも、ほとんどが雪で覆われているので人っ子一人いません。
すると、後ろからクラクションの音が聞こえました。
パトカーが近づいて来て、どこへ行くのかを聞かれました。
訪れる人のいない公園を一人で歩いているのを不審に思ったのかもしれません。
Hall of Fameへ行こうとしていることを伝えると「乗せていってあげよう」とのことで無事にHallに到着。
日本でも乗ったことのないパトカーにカナダで乗るとは!
もちろん、その後も乗ったことはありません。(笑
Hockey Hall of Fameにはそれまでにホッケーに貢献した人や活躍した選手を讃えるために、その人たちの顔や功績の内容が書かれた盾や使われた用具、ユニフォームなどが展示されています。
日本では東京ドームに野球殿堂がありますが、それのホッケー版とお考えいただければ良いです。
館内には私以外には誰もおらず、一人静かに一つ一つの展示をゆっくり見ることができました。
名選手たちのユニフォームや記録を作ったときのスティックやパックなどなど、それまでに知った伝説的な選手たちに触れることができ、一番の目的である試合を見る前から既に気持ちが昂ぶっていました。
Stanley Cup(スタンレーカップ)も展示されていました。
毎シーズンのNHLの優勝チームが獲得するホッケーの最高の栄誉と言って良いでしょう。
側面にはそれぞれの優勝チームの選手や監督の名前が彫られています。
珍しい記録もありました。
例えば、The fastest three goals(最も早い3得点)という記録です。
1952年に作られたもので21秒間に一人で3得点したというものです。
こういうものを見ているとどんどん時間が経ってしまいます。
いったい何時間いたでしょう。
帰りはどんよりした天気の中、行き先表示を見てもどこに行くのか分からない路面電車を乗り継ぎながら市内のホテルへ戻ったのでした。
この旅行の間、新聞を毎日を買ってホッケーの記事を読みあさりました。
一般誌にもホッケーの記事がたくさん載っています。
私にとっては貴重な資料です。
ジュニアホッケーのWayne Gretzky(ウェイン・グレツキー)という有望選手のこともこのときに知りました。
ホッケー以外のことは何も調べていかなかったのですが、トロントからバスでナイアガラの滝へ日帰りで行けることを知り、「せっかくだから」と思って行きました。
今なら日本語の表示があるのかもしれませんが、当時はそういうものは一切ありません。
しかも、カタコト英語。
たくさんの中長距離バスが発着するバスターミナルで耳をこらして自分が乗るバスの案内を待ったのでした。
そして、ナイアガラの滝のターミナルについたものの、ここも雪だらけで人っこ一人いません。
観光シーズンには賑わっているであろう土産物店はすべて閉まっています。
あたりを見回すと遠くに水けむりらしきものが立ち昇っているのが見えたので、そちらへ向かって歩くと、滝へつながる階段は雪で覆われて通ることができません。
仕方なく、かなりの大回りになる道をトボトボ歩き始めました。
雪に覆われた車道。
たまに車が通るだけで、歩いている人などいません。
すると、ここでもまた後ろからクラクション。
どこへ行くのかを聞かれたので、ナイアガラの滝だと答えると「近くまで乗せてあげよう」。
観光客のいない雪景色のナイアガラの滝。
美しかったです。
その後、どうやって戻ったのかは覚えていませんが、来た道を歩いたのでしょう。
こうして1週間ほどトロントで過ごし、さあ、次はいよいよモントリオールです。





