Tom Thompson
2011-09-18 11:17:00

このシーズン・オフを振り返ると、私はチャールズ・ディケンズの言葉を思い出す。:「それは最良の時代でもあったし、最悪の時代でもあった。*」
(* It was the best of times, it was the worst of times.)

NHLのドラフトが6月25日に終って以来、北アメリカのほとんどは一日単位で見れば素晴らしい夏の天気に恵まれた。他方で、ホッケー界がこれほど多くの悲劇の死によって揺り動かされた年を思い出すことはできない。

ホッケーの新しいシーズンは秋に始まる。ほとんどのNHLチームにとって新シーズンは将来有望な若い選手が参加して行われるトーナメントで始まる。今年のトーナメントはオシャワ、ペンティクトン、フロリダ、そして、それらの中で最も古く最も大きなミシガン州トラヴァース・シティー (Traverse City) で開催された。

2つのディビジョンに分けられた8チームが5日間のトーナメントを行った。総当りの3試合の予選後、最終日のプレーオフで各チームはもう一方のディビジョンのチームと組み合わされる。(決勝でレインジャーがセイバーズに敗れた。)

長年のデトロイト・レッド・ウィングズのキャンプ地で開催されたこのトーナメントいつも高い興味をひく。多くの明日のNHLスターと接することができ、観客は熱狂的になる。

ファン達がこのトーナメントのスター選手の将来に楽観的になるのには十分な理由がある。昨シーズンのカルダー・トロフィー受賞者Jeff Skinnerはトラヴァース・シティーでカロライナ・ハリケーンでの選手生活を始めた。NHLの多くの偉大な選手達がこのトーナメントのスターとなった。例えば、デトロイト・レッド・ウィングズのPavel Datsyuk、Henrik Zetterberg、ニュージャージー・デビルズのIlya Kovalchuk、ミネソタ・ワイルドのDany Heatley、サン・ノゼ・シャークスのBrent Burns、フィラデルフィア・フライヤーズのScott Hartnell、ナッシュビル・プレデターズのDavid LegwandとMartin Erat等だ。

このトーナメントの卒業生の成功率は注目すべきものがある。この卒業生のうち、これまでに297名がNHLでプレーした。この合計のうち146人はNHLで50試合未満プレーし、41人は50~100試合、52人が100~250試合、46人が250~500試合、12人は既に500試合以上プレーした。

トーナメントでの競争は非常に激しい。有望選手達はそれぞれのクラブから認められ、場合によってはキャンプへ呼ばれようと全てのゲームを戦う。トラヴァース・シティーからその選手生活が始まった選手は多い。また、中にはドラフトされていない選手もいる。例えば、私がミネソタ・ワイルドにいた頃、試験的にPascal Dupuis、Zbynek Michalek、Joel Wardをトラヴァース・シティーに招待した。3人共トーナメントで活躍し、ワイルドのキャンプに呼ばれ、全員NHLの契約をした。一旦NHLでプレーする機会を与えられると、3人は数百万ドルの契約を手にした。また、Dupuisはスタンレー・カップの指輪を勝ち取った。(* 2009年ピッツバーグで)これらの出来事のどれもトラヴァース・シティーのトーナメントなしでは起こっていなかっただろう。

トーナメントは、NHLの選手の成長に非常に役立っている。多くの選手にとって、チームメイトと初めてプレーする場であり、初めてNHLのユニフォームを着る時なのだ。ヨーロッパの新人選手にとっては、北アメリカのリンクでハイ・レベルなゲームをする初めての経験となる。確実にキャンプへ呼ばれるエリート・レベルの有望選手にとっては、トラヴァース・シティーで緊張を解き、キャンプが始まった時にレギュラーの座を獲得することに専念することができる。トラヴァース・シティーでのトーナメントに参加しているチームのアメリカン・リーグのコーチ陣にとっては、将来チームの中心となる選手を見る最初の機会となる。

このような理由から、トラヴァース・シティーを中心に開催される新人トーナメントは来たるNHLシーズンに向けて大いに弾みをつけるものとなっている。

ホッケー界から悲惨に失われた命を悲しみ、尊敬し続ける一方で、ホッケー・シーズンが生命のように常に新しく生まれ変わることを覚えておこう。そして、この時にこそ、この春のプレーオフで私たちを大いに楽しませたホッケー界に新しい才能が新たに生まれることを楽しみにしよう。

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