いつもお付き合いいただきありがとうございます。
風薫る5月、≪五月・皐月(さつき)≫に入りました。
長期連休中の方も多いのではないでしょうか?
さて、「五月」について、国立国会図書館の「日本の暦 和風月名」のページを見てみますと、
旧暦の月:5月 和風月名:皐月(さつき)
由来と解説:早月(さつき)とも言う。早苗(さなえ)を植える月。
とあります。
広辞苑第6版ではどう説明されているか見ていきましょう
(下線筆者)
さ‐つき【五月・皐月】
①(「早月」とも書く)陰暦5月の異称。早苗さなえ月。〈[季]夏〉
②サツキツツジの略。
なるほど、「早苗(さなえ)を植える月」で「さつき」なのですね。
ゴールデンウイーク中に田植えをするよ、という農家さんは多いことでしょう。
いよいよ繁忙期が始まりますね。
頭が下がります。
さて、「皐」の字を、広辞苑付録の漢字辞典で見ていきましょう。
コウ【皐】(名前:すすむ・たかし)
①さわ。みぎわ。「皐沢」
②おか。「東皐」
▶皐月(さつき)
そんな意味があるんですね。
田植えに向けて、水が引かれた用水路や、水の張られた田んぼのイメージ、でしょうか。
水を得て、植物も虫たちも生き生きとした様子が目に見えるようですね。
ちなみに「皐月」と書いて「こうげつ」とも読むようです。
さて、「さつき」の関連語は沢山ありまして、なかでも以下の二つの使い方は時々議論にもなりますね。(下線筆者)
さ‐みだれ【五月雨】
(サはサツキ(五月)のサに同じ、ミダレは水垂みだれの意という)
①陰暦5月頃に降る長雨。また、その時期。つゆ。梅雨。さつきあめ。〈[季]夏〉。(中略)
②(1のように)途切れがちに繰り返すこと。「―式」「―スト」
さつき‐ばれ【五月晴】
①さみだれの晴れ間。梅雨の晴れ間。
②5月の空の晴れわたること。また、その晴れわたった空。
結局、5月なの?6月なの?という問題。
気象庁の用語解説のページでは、
(下線筆者)
さみだれ
梅雨期の雨(旧暦五月の雨、「五月雨」と書く)。
通俗的な用語のため予報、解説には用いない。
さつき晴れ
5月の晴天。
本来は旧暦の5月(さつき)からきたことばで、梅雨の合間の晴れのことを指していた。
ということで、
「さみだれ」は、「五月雨」と書くけれど、さらに気象用語として天気予報で使われることはないけれど、降ったりやんだりする梅雨の雨の事を指し、
「五月晴れ」は、本来は梅雨の晴れ間の事だけれど、今は5月の晴れ渡った空のことを指す、
ということですね。
ちなみに同じ混乱の言葉として、広辞苑には、
さつき‐やみ【五月闇】
さみだれの降る頃の夜が暗いこと。また、そのくらやみ。〈[季]夏〉。(後略)
もありましたが、こちらは「さつき」=旧暦5月=梅雨時のようですね。
ことばを伝えるのがお仕事のアナウンサーとしても悩ましい所であるようで、
一部を引用させて頂きますと、
(下線筆者)
「五月」[サツキ]は旧暦・陰暦の呼称です。「旧暦5月(今の6月)が梅雨のころにあたるところから、もともと「五月晴れ」は「梅雨の晴れ間」「梅雨の合間の晴天」を指しました。ところが、時がたつにつれ誤って「新暦の5月の晴れ」の意味でも使われるようになり、この誤用が定着しました。(中略)俳句の季語としては、もとの意味で使われることが多く、「陽暦五月の快晴を五月晴と言うのは、誤用」と明記してある歳時記もあります。また、同じ「五月」のつくことばには、「梅雨」を指す「五月雨(さみだれ)」と、「梅雨のころの夜の暗さ」などを表す「五月闇(さつきやみ)」がありますが、この二つのことばは今でも本来の意味で使われています。
ところで、5月の初夏・新緑の候に放送でもよく使われる用語に「さわやか」があります。「さわやか」は秋の季語で、初夏に「さわやかな天気」などと表現すると抵抗感を持つ人がいます。(中略)「さわやか」は、一般には季節に関係なく使われていますが、このところ初夏に限らず全体に多用・乱用気味です。「さわやか」だけでなく「すがすがしい」「気持ちのよい」「心地よい」「胸がすくような」など、もっと多様で豊かな表現を心がけたいものです。
ということでした。
う~ん、「さわやか」は藍期の季語でしたか~😅
つい今自分の気持ちの良い風を「さわやか」って、言ってしまいますね~😅
お話を広辞苑に戻しますが、
「五月」の異称として、「さつき」以外にも以下のようなものが広辞苑には載っていました。(下線筆者)
ふぶき‐づき【吹雪月】
(卯の花を雪に見立てた語か)陰暦5月の異称。
う‐げつ【雨月】
①雨夜の月。また、名月が雨のために全く見られないのをいう。雨の月。〈[季]秋〉
②陰暦5月の異称。
つきみず‐づき【月見ず月】
(さみだれで月が見えないからいう)陰暦5月の異称。
さくも‐づき【さくも月】
陰暦5月の異称。
うめのいろ-づき【梅の色月】
陰暦五月の異称。
た-くさ-づき【田草月】
陰暦五月の異称
「雨月」「月見ず月」は、「さつき」=「梅雨の時期」という本来の時期のことばですね~
「さくも月」の「さくも」も、雲の隙間、といった意味があるそうで、確かに梅雨時のイメージですね。
梅の色が色づくのも、「梅雨」と同じで、梅雨時ですし、
「田草月」は「多草」とも書くそうで、う~ん、これからの草取りが大変だ~😅
その他、陰暦では夏は四月・五月・六月なので、五月は
ちゅう-か【仲夏】
(夏の三カ月の真ん中の意)陰暦五月の異称。〈[季]夏〉
なか-の-なつ【仲の夏】
陰暦五月の異称。仲夏ちゅうか。
とも呼ばれるそうです。
それから、面白いものも載っていました。(下線筆者)↓
あく‐げつ【悪月】
①陰陽道おんようどうで、凶の月。
②運のわるい月。
③中国で、陰暦5月の異称。
しょう‐ご‐く【正五九】
旧暦の正月と5月と9月との称。忌むべき月として結婚などを禁じ、災厄をはらうために神仏に参詣した。(後略)
いわい‐づき【祝月・斎月】
正月・5月・9月を凶の月として忌んでいう。→正五九。
へぇ~、そうなんですね。
おめでたいイメージの正月が「悪月」とは、ちょっと意外。
ちなみに「うるさい」を「五月蠅い」と書くのは、広辞苑によると
さ-ばえ【五月蠅】
陰暦五月ごろの群がり騒ぐ蠅。(後略)
ということで、確かに梅雨時に増える蠅は煩わしいですね😅
引き続き広辞苑には
こ‐さつき‐え【小五月会】
中世、近江国(滋賀県)坂本の日吉神社や奈良の春日神社で5月9日に行なった祭礼。小五月。
とあったのですが、滋賀県の日吉大社の公式サイトにも、奈良の春日大社の公式サイトにも、「小五月会」については何も載っていませんでした…う~ん、もうやらなくなったのかなあ。
5月9日、というあたり、「5」と「9」が「悪月」と重なるので、「災厄をはらうための法要」ってことなんじゃなかなあとは思うんですが。
今日の学びの一番の収穫は、
「五月晴れ」と「五月雨」について、スッキリしたことでした
それではまた!
今日の浮世絵
『大小暦帖(尾嶋氏旧蔵古暦コレクション)』,刊. 国立国会図書館デジタルコレクション
https://dl.ndl.go.jp/pid/1286928 (参照 2024-04-24)
゜・*:.。..。.:*・゜゜・*:.。..。.:*・゜ ゜・*:.。..。.:*・゜゜・*:.。..。.:*・゜
楽しい育児クラブで子育てカウンセリングをして10年になります。
仕事は好きだけれど、それとは別に、
個人的にこのブログを書いています
✕(旧Twitter)もやっています、もちろん個人のアカウントです😅
こちらもよろしくお願いします!
https://twitter.com/f8MLeEtyUgkb75z
でももし、近藤だけでなく、
「楽しい育児クラブ」にも興味を持っていただいたなら、
無料の体験レッスン(動画)を受講してみてください。
近藤共々、よろしくお願いします
゜・*:.。..。.:*・゜゜・*:.。..。.:*・゜ ゜・*:.。..。.:*・゜゜・*:.。..。.:*・゜