╲こんにちは/

いつもお付き合いいただきありがとうございます。

 

今日は読書の記録です。

 

『歌われなかった海賊へ』逢坂冬馬 早川書房 2023年10月23日初版発行
 

胸に突き刺さる言葉が沢山ある本でした。

 

まず袖の紹介文を引用させてください。

 

1994年、ヒトラーによるナチ体制下のドイツ。
密告により父を処刑され、居場所をなくしていた少年ヴェルナーは、
エーデルヴァイス海賊団を名乗るエルフリーデとレオンハルトに出会う。
彼らは、愛国心を煽り自由を奪う体制に反抗し、
ヒトラー・ユーゲントにたびたび戦いを挑んでいた少年少女だった。
ヴェルナーらはやがて、市内に敷設されたレールに不信を抱き、
線路を辿る。その果てで「究極の悪」を目撃した彼らのとった行動とは。
差別や分断が渦巻く世界での生き方を問う、歴史青春小説。

 

それからこちらは帯の紹介文です。

 

隣の町に、ナチスの強制収容所があると知ったら、あなたはどうしますか?
1944年、ナチ体制下のドイツ。「究極の悪」に反抗した少年少女の物語。
『同志少女よ、敵を撃て』本屋大賞受賞後第1作。


エーデルヴァイス海賊団は、実際に1930年代からドイツにあった、少年少女たちの反体制集団。

きっちりと組織だった、というよりは、小集団でゲリラ的に行動していたようです。

 

若さって、純粋で敏感で、そして無鉄砲。

でも、それが眩しくもあり、見ていて苦しくもある。

ああ、私もいい加減「大人」だな。

 

読んでいて、いたたたた…と思った言葉を上げさせてください。

 

 

 

主人公であるヴェルナー・エルフリーデ・レオンハルト、そして爆弾少年のドクトルの住む村では、線路の敷設工事が行われていました。

新設されている線路の先に何があるのか、大人たちは「操車場がある」と言っていました。

何となく、あまり良くないものがありそうだと思いつつも、村の経済はこの工事で回っているのだし、「そういうことでいいじゃないか」という雰囲気の大人たち。

しかしヴェルナーたちはそれに納得せず、線路の先にあるものを見定めに旅に出ます。

 

その途中で、同じくエーデルヴァイス海賊団を名乗る別のグループに出会い、寝場所を分け合って一晩を過ごします。

そのグループにいたLGBTQのベティとアンケをめぐっての会話や声なき声です。

 

私たちはそんなんじゃないのに、どうしてみんな自分の都合で分かろうとするんだろうね
(中略)
あなたを分かっているよと、頭上から注がれる声は、優しさに満ちているけれど、だからこそ反吐が出る。
(中略)
では、本当の自分たちとは、何なのだろう?
(中略)
私たちは、バラバラでいることを目指して、集団でいる。


食糧を分け合って別れ、ヴェルナーたちは線路の先を見定める旅を続け、ついにはその先の「究極の悪」を目撃します。

あれは悪だ、と分かっているものの、それをどうにかするには、あまりに危険。

話し合いの中でのエルフリーデの言葉です。

 

私たちは何も見なかった、私たちは何も聞かなかった、私たちはただ自分たちが生きられるように精いっぱい頑張っただけですって。そうやって他人をごまかして、自分をごまかして、本当の自分に向き合うのを避けて一生を送ることになる。私は嫌だ。私は見た、私は聞いた、私は人の焼ける匂いを嗅いだんだ。その責任を果たす。そうでなければ私は…(後略)

 

そして彼らはその「悪」に立ち向かうべく、行動を開始します。

 

彼らから大人たちに投げかけられる辛辣な言葉は、そのまま私にも投げつけられた気がしました。

いくつかをご紹介します。

 

迎合主義(中略)

自分の被った仮面を付け替え、戦時下に明かせなかった本心なるものを用意し、そうして彼女は戦後における「いい人」になるのだ。

 

無知という名の安全圏

 

とはいえ、彼らもまた「大人」によって、産み育てられ、その「大人」を愛したい自分がいます。

 

差別する側の育ての親と、差別される側の生みの親。
その間で葛藤するエルフリーデにレオンハルトは言います。
「無理に切り捨てようとするな。自己欺瞞だ。」

ヴェルナーが言います。
「自己欺瞞でも良いだろう。時には自己欺瞞も必要だ。」


人間って、矛盾するもの。

どちらも本当の自分で、それで良い。

 

そうか、ベティが言った「他人」が「自分の都合で分かろうとする」ことに対する嫌悪は、そのままエルフリーデが「自分」を「自分の都合」に合わせようとした苦しみにつながるのかもしれません。

それに対し、「自分の都合に自分を合せなくていいんだよ」と、そういうメッセージなのかもしれませんね。

 

人って、他人の事はよく見えるけれど、自分の事は見えにくいものです。

 

 

この物語の最終盤、戦後の話の中で、

うすうすと、もしくは、確信的に、間違っていると感じながらも、率先して戦争を利用していた企業が、

戦後も莫大な利益を上げ続けている様子が描かれています。

 

今、「正義」の名のもとに人を殺している現実があります。

そして、私自身も、巡り巡って、どこかできっとその「恩恵」にあずかっているのだろうと、思います。

なんだかやりきれないけれど、やり切れないけれど、やり切れないけれど…じゃあどうする?

 

そう思った本でした。

 

 

さて、今日のおやつは

年末「どうする家康」の岡崎の大河ドラマ館に行った時に自分用に買った

名古屋は坂角総本舗の「姫ゆかり」です。

名古屋銘菓の海老せんべいを小さくして可愛らしいパッケージにしたものです。

ゆかりは学生時代に名古屋出身の子に何度もお土産にもらいました。

その頃はこんな可愛らしいパッケージのものは見なかったけれど、レギュラーの海老せんべいはその時と変わらぬ様相でお店に並んでいました。

懐かしいお味でした照れ

 

 

それではまた!

 

 

以前読んだ、このご著者さんの『同志少女よ敵を撃て』です。

こちらは、独ソ戦でロシア軍の兵士として最前線で戦う女性たちのお話です。

ロシアによるウクライナ侵攻が始まって、もうすぐ2年ですね…

少しでも現地の人々が安心して暮らせるようになりますように…

 

 

 

 

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楽しい育児クラブで子育てカウンセリングをして10年になります。
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