スクールの夏季合宿には元愛工大名電高校野球部の
中村監督が指導に来てくださいました。
中村監督は25年の監督生活で、800人近くの卒業生を
送り出しています。
合宿での試合中、中村監督は子供たちの試合を
見ていて時折
「あの選手は何年生だ?」
と私に聞いてきました。
監督が目をつけた選手は体が大きく、しかも下半身が
どっしりとした選手です。
良いプレーをした選手にも同じことを聞いてきますが、
体が大きな選手の方が興味を持つことが多くありました。
中村監督に聞かれると私が何年生ですと答えるのですが、
その選手たちに共通していることは、合宿中の食事を
たくさん食べる選手でした。
合宿初日の最初の食事にカレーが出ました。
旅館の中居さんは、食べるのは小学生だというのに
大人でも食べられるか疑問に思うような量を皿に
盛っていましたが、食事が始まり私が半分も食べていないのに
お代わりに行く選手がいました。
そして、続々とお代わりの列ができ、あっという間に
お代わりの分のカレーがなくなりました。
その間に3杯も食べた子供もいて驚きました。
そのようにたくさん食べる選手もいれば、1杯目のカレーも
食べられずに最後までもぐもぐしている子供もいました。
当然ですがたくさん食べる選手の方が体が大きく、
最後までモグモグしている選手は体が小さかったのです。
中村監督が興味を持った選手のほとんどは、私たちが
驚くほど食べていた選手たちです。
野菜に全くはしをつけない子、魚を嫌う子、嫌いなものばかりで
米ばかりを食べている子など様々ですが、
共通しているのは、好き嫌いなく何でもたくさん食べる子ほど
体が大きくてしっかりした体格をしています。
合宿では事前に保護者の方にお子さんのプロフィールを
書いてもらうのですが、その項目には
・アレルギー
・普段の就寝時間
・服用中の薬
・現在のポジション
・やってみたいポジション
・この合宿で身に付けたいこと
などです。
この項目の中で
・この合宿で身に付けてほしいこと
の項目には
・守備がもっとうまくなってほしい
・打球を遠くに飛ばせるようになってほしい
・早い打球を打てるようになってほしい
・ヒットがたくさん打てるようになってほしい
・速い球を投げられるようになってほしい
・遠くまでボールを投げられるようになってほしい
というような答えが多くありました。
これらのことを実現するためには、技術的なことも
重要ですが、筋力や大きな体格など力が必要なこと
ばかりです。
身に付けてほしいことは選手の個人の願望というより、
親御さんの方が希望されることのようです。
当の本人の選手らは、
野菜は嫌い
これはいや
これはまずいから食べられない
匂いがいや
などと、好き嫌いばかり言って食べようとしません。
ご両親の希望と選手たちがやっていることは逆のことで
食べなければ力はつかないし、体も大きくなりません。
そんな小さく細い体で打球を遠くに飛ばそうとか、
遠くにボールを投げられるようにというのは、技術で
カバーできることではありません。
スクールの栄養サポートをしてくださっている、至学館大学
スポーツ栄養科学の杉島先生は、ゴールデンエイジと
言われる年代に、いかにたくさん良い栄養を取ることで、
その後の成長に大きく影響があるとおっしゃっていました。
家庭でのしつけや教育方針があるので、私はあまり
口出しできませんが、体が小さな選手で大成しているのは
足がとんでもなく速い、守備がとんでもなく上手い、など、
体格差を圧倒する技術を持っている選手だけです。
体が大きければ力もそれなりにあり、何となくスイングした
だけでもオーバーフェンスしてしまいます。
体が大きく力があり、その上で技術を身につけることで
活躍する選手になることができます。
子供たちそれを言ってもまずいとか、臭いとか食べようとしません。
私は174cmの身長ですが、野球選手としてはかなり小さい方です。
プロ野球選手の中でも170cm前半の身長の選手は少数だと
思います。
私たちコーチも子供たちに何度も言って聞かせますが、それよりも
毎日一緒にいるご両親にそれはお願いしたいと思います。
子供達に食べさせてください。
好き嫌いはしょうがないと思いますが、今厳しくしても
成長して大きくなり、恵まれた体格になった時に
ご両親に感謝すると思います。
食べることは大切です。
私たちは中村監督に「食べることも練習だ!」と
教育されました。
私の限界は174cmでしたが、あなたのお子さんの可能性は
これからです。
お子さんの活躍を願うのでしたら食べさせてください。