「やらされる100発より、やる気の1発」
この言葉は我が恩師、元愛工大名電高校野球部監督の
中村監督の言葉です。
私の現役時代には聞いたことがない言葉ですが、
中村監督が愛工大名電高校を定年され、豊田大谷高校の
野球部監督に就任され、私も中村監督の下でコーチをしていた時、
盛んに言われていた言葉です。
愛工大名電野球部と豊田大谷野球部では歴史と文化が違い、
また、新監督の中村監督が就任したということで
豊田大谷高校野球部の選手も戸惑い、
お互いの信頼関係を築くことからスタートしました。
愛工大名電野球部の部員は
「プロになりたい」という意識の高い選手が
多く入学し、個人の目標はプロ野球選手、東京6大学への進学などで、
チームの目標は全国制覇でした。
豊田大谷高校野球部は甲子園出場を目標にして
集まる選手がほとんどでした。
このような個人の目標、チームの目標の違いもあり、
当然、個々の意識の違いもあり、練習に取り組む
姿勢も違いました。
プロ野球選手になる、東京6大学に進学するなど個人的な
目標を持っている愛工大名電野球部の選手たちは、
指導者が強要する必要もなく、自らの目標を実現するために
「何をするべきか」
という考えで練習に取り組みます。
個々がレベルの高い目標に対して努力をするので、
自然にチーム力も上がってきます。
方や豊田大谷高校野球部の選手たちは、甲子園出場を目標に
するので、個々がどのレベルに達すればいいのかという
具他的なゴールがありません。
そうなると、それぞれの選手の価値観でレベルを判断するので
とうぜんムラが出てくるのと、指導者が求めるレベルとの
ギャップが生じます。
指導者である中村監督と私は、甲子園に出場できるレベルを
理解しているので、選手たちをそのレベルまで鍛えることが必要です。
甲子園に出場するための練習は、それはもう厳しい内容です。
こちらがメニューを作り、選手たちにそれをやらせますが、
チンタラやる者、目を離すと手を抜く者などいろんな選手がいます。
そんな時に中村監督が大きな声で、
「おい!やらされてると思ってたらいかんぞ!!」
「これはお前たちが甲子園に出場するための練習なんだから、
自ら進んでやれ!」
「やらされる100発より、やる気の1発の方が効果があるんだ!」
「やらされていると思う者は、今すぐ辞めて帰れ!!」
というのが日常でした。
スクールでも
以前のブログに登場したサウスポーピッチャーのTくん。
Tくんの素質は、「工藤の小さい時のようだ!」と
中村監督に絶賛されています。
個人指導でピッチング指導を続けていますが、
その時は良くなっても次回の練習には元通りダメダメに
なっています。
こちらが指示した自宅での練習を全くやっていなかったのです。
毎週渋滞の中、港区から1時間かけてお母さんに車で送迎して
もらい、そんな苦労をかけて練習に通っても、
ほとんど進歩がありません。
スクールではコントロールが良くなる、球速が上がる、
怪我をしないためのフォームを指導しているのですが、
それを身に付けるために家で毎日練習する必要があります。
スクールでの週1の練習ではそれらを身に付けることはできません。
それを何度もTくんに言い続けましたが、遊ぶのが忙しく
なかなか家で練習できないようです。
小学生に「自ら練習しろ」といっても皆が出来るわけない
と思い、したくはなかったのですが、毎日の練習を強制しました。
学校から帰ると塾や友達からの誘いで、なかなか集中できないとのこと
なので、朝6時に起床させ、1時間の練習を指示しました。
6時に起きたらTくんの携帯電話から私の携帯電話にメールを送らせることにし、
それから練習を始めさせました。
1日でもメールがなければ、スクールでのピッチング練習をやめさせるどころか、
スクールも強制退会という厳しい条件付きです。
そんなことをさせて1週間が経ち、昨日はTくんの練習日でした。
昨日のスクールのピッチング練習では
見違えるような良いフォームになっていて、
コントロールも定まり、キャッチャーをやっている子も驚いていました。
練習は嘘をつかない、裏切らないと言われていますが、まさに
その言葉どおり、1週間でTくんは見違えるようなフォームになっていました。
自分でもコントロールが定まっていることに驚いているくらいで、
1週間の練習の成果を実感したようです。
お母さんの話では、早朝自主トレの初日は練習に行って30分もしないうちに
帰ってきたそうです。
そんな早くできるわけないと、
お母さんが「もう終わったの?」と声をかけると
「だって、言われた数が終わったもん」とごまかしていた
そうです。
お母さんが「そんな早くできるわけない!もう一回やるよ!」
と一緒に公園に行き、
お母さんはウォーキングをしながらTくんの練習を
見守る毎日になったようです。
「やらされる100発より、やる気の1発」ですが、
Tくんに限らず、小学生にはまだ難しいようです。
まずはやらせることから始め、
やった効果を実感させることで、練習へのモチベーションと
必要性を自ら感じるようになると思います。
今週は修学旅行らしいので、朝の日課となっている
「おはようございます。今起きました。練習行ってきます。」
という素っ気ないメールが入らないので寂しいです。
Tくんはいいものを持っているので、頑張って欲しいと思います。
Tくんが「やる気の1発」ができるようになるのはいつでしょう。
そんな選手ばかりになるようにスクールでは指導していきたいと
考えています。
あなたもいっしょに野球をしませんか。
Nagoya23バッティングスクール Count23
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