「心穏やかで慎ましく、自己がととのっている。イライラした感じがない。怒るところを見せない。自立している人物のことを[プチブッダ(仏陀)]と言うのは齊藤孝(明治大学教授)さん。「60歳からのブッダの言葉」(秀和システム)によると、その齊藤さんが「プチブッダ」というのが二刀流の大谷翔平選手(もう一人がボクシングの井上尚弥選手)だという。

 金銭的、名誉欲といった我々凡人が欲しがる欲望がなく、純粋に野球を楽しむ姿勢。それは、もう少し日本でプレーしていれば、巨額な大金で契約を結べたのに、とにかくメジャーリーグにチャレンジしたい!で渡米した大谷くん。

 齊藤さんは「彼(ら)は他者からお仕着せられた価値観や基準に従うのではなく、自らの価値基準の中で主体的に生きている。だからこそ生まれる大らかな明るさがある!」と。死期が近い仏陀は弟子に「思慮ある人は、奮い立ち、努めはげみ、自制、克己によって、激流もおし流すことのできる自己を作れ!」遺言を残しています。その仏陀の教えの自力救済の実践者が大谷くん。

 今、大谷くんは岐路に立っています。肘の故障でもう二刀流は無理なのか?

FAで来年はどのチームでプレイするのか?朝が早い高齢者たちにとって、大谷くんは生きる仏様です。彼のプレイが見たくてテレビ観戦から1日がスタートします。ヒットでも大変なのに、ついホームランを期待してしまう。凡打に倒れると「何でど真ん中のボールに手を出さないかなあ?」と、画面に向かって叫んでいます。思い入れが激しいからです。あの打った瞬間にホームランと分かる「カーン」というバッド音に魅せられているのです。

 さて、来年もエンジェルスなのかどうか?私は、エンジェルスではチャンピオンシップには行けない!と思う。大谷くんも2024年には、30歳になる。まだ絶頂期は続くでしょうが、若手中心のチームである、レッヅか藤浪晋太郎のいるオリオールズに行けば可能性があると思います。若い選手にとって大谷くんは憧れで多くのことを学べます。大谷くんの姿勢がチームの結束を固める。

もう一つ。藤浪くんは、先発よりリリーフの方がいい。大谷くんが先発で投げ、7回から藤浪くんが抑える。夢のような連携だ。

 高齢者、後期高齢者の朝ドラは、大谷くんで始まる。もう、来年の春をワクワクする思いで老人たちは待っているのです。