戦後72年を迎えた今、米国と北朝鮮の一色触発に平和日本も揺らぎ始めている。河野洋平氏が、対米追従一辺倒の安倍外交を危険だ!と批判(神奈川新聞)。自民党ハト派の河野外交は「政治とは戦争をしないこと」だった。憲法九条も守り「自衛のための実力行使が許される地理的範囲は日本の領海と公海、公空に及ぶが、武力行使の目的で自衛隊を他国へ派遣する海外派兵は、自衛のための必要最小限度を超えるものとして許されない」と、はっきりしていた。これをぶち壊したのが安倍だ。集団的自衛権なんて、米国のため我が国を捧げ日米同盟への依存度を深めて行く戦争ありきの新安保保障法制でしかない。

    法案が閣議決定したとき「これにより日本が戦争に巻き込まれるおそれは一層なくなっていく」と、強調した安倍のマヌケ顔が思い浮かぶ。

   長崎原爆慰霊祭の後、被爆者団体の代表から「安倍首相、あなたはどこの国の総理ですか?」と迫られた。核禁止条約に、世界で唯一の被爆国の日本が参加しないなんて各国は驚いたに違いない。トランプ大統領誕生時には、世界一早くポチ外交をした安倍が核禁止条約不参加を忖度した。新安保条約には「朝鮮半島有事の際には、在日アメリカ軍が事前協議なしに出撃できるといった密約が日米間で交わされている」と、いうことを日本国民のどれだけの人たちが知っているだろうか。

「戦争する国にしないための中立国入門」(磯村英司著・平凡社新書)を読んで、つくづく思った。安倍の祖父、岸信介が60年日米安保闘争あたりに、軍事優先の政策ではなく、永世中立国というオプションを検討すべきだったのではないか?と。

   磯村さんは「日米安保体制が同盟政策でありながら、その本質は日本の対米依存ないし対米従属であることは否定しがたく、新安全保障法制は対米依存・対米従属をより鮮明にした感がある。サンフランシスコ平和条約で独立を回復したあともなお、沖縄の基地問題などアメリカの意向を第一に考慮するような対米依存・従属が、はたして日本の安全保障を確保する最善の策といえるのか」

『戦後レジュームからの脱却』を言うならば、アメリカからの真の独立と、戦争に巻き込まれないための永世中立政策が必要と、磯村さんは提案している。

    戦争をしない決断をしたスイス、オーストリア、コスタリカ、スウェーデンに続き国連総会で永世中立国承認を目指す国にモンゴルがある。モンゴルは、中国とロシアからの圧力にも負けず、アメリカ、EU,日本、インドなど第三の隣国との関係を深める多元的外交を進めている。

    私は記者時代に、広島・長崎の原爆資料館を訪れる度、怒りで何度も泣いた。焦げた衣服、溶けた弁当箱、ねじれた三輪車…。親なら、すぐに我が子を重ね合わせて涙するのだ。毎年のように原爆慰霊祭に参加する安倍首相は、何とも思わないのだろうなあ?別に、自分に子供がいる、いないは関係ない。あの惨状を伝える遺品を見て、感じる心と想像力が欠落しているのだ。72年前の戦争で、私たちは310万人もの同胞を失った。そして誓った。どんなことがあっても、二度と戦争はするまい!と。幼い頃、祖父母たちからよく聞かされた。「お天道様(神様、仏様)に見られて恥ずかしいことはするな!」今この歳になって、この言葉の偉大さ重さをしみじみ感じる。