来談者中心療法(カール・ロジャーズ)の威力とは | 傾聴・カウンセリングのレベルアップ「臨床カウンセラー養成塾」

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心理カウンセラー(著者・セミナー&企業研修講師)鈴木雅幸が実践で通用する傾聴・カウンセリングのスキル(反射神経)について語るブログ

来談者中心療法(カール・ロジャーズ)の威力とは、

言葉のやり取りによってクライエントの精神機能が回復したり、

人間的成長が起きることです。 

 

心理療法の一つであるカウンセリング。 

 

そのカウンセリングの代表的な手法でもある来談者中心療法は、

全ての心理療法の基礎でもあります。 

 

そのセラピー効果が何なのか、あらためて解説します。

来談者中心療法こそ心理療法の原点

 

私がカウンセリングの勉強を始めたとき、

一番最初に勉強しようと思ったのが

カール・R・ロジャーズの「来談者中心療法」でした。 

 

当初はこの「来談者中心療法」を学んでから、

次の心理学や心理療法を学ぼうと考えていました。 

 

しかし学び続けるうちに、その奥の深さと確かさに魅了されていきました。 

 

結局、カウンセリングを始めて20年(2024年5月現在)も、来談者中心療法のみ。 

 

言葉のやり取りにフォーカスし、

その言葉のやり取りによってクライエントの心理的変化を起こす。 

 

そのメカニズムと手法は画期的であり、現在でも十二分に通用するほどです。 

 

なぜなら、人間は言葉でものを考え、

言葉で感情を生み出し、言葉で意思疎通を行うからです。 

 

その言葉の選び方、使い方が変わることで、脳の状態にも変化が生じる。 

 

そのことをいち早く見抜き、臨床の現場で研究を重ね、

そのノウハウを確立させたのがカール・ロジャーズです。 

 

そしてそこに注目したのが日本の臨床の歴史に名を刻む稀代の臨床家の面々です。

ロジャーズから友田不二男、そしてわが師、吉田哲へ

私が来談者中心療法でカウンセリングを続ける理由。 

 

これは私が指示した臨床家の影響が大きいのです。 

 

その臨床家とは、もう亡くなって10年以上経つのですが、

吉田哲という臨床家でした。 

 

吉田はロジャーズのカウンセリングを日本に根付かせた

第一任者とも言える友田不二男の一番弟子でした。 

 

学生時代から友田に師事した吉田は、

カウンセリングというものを徹底的に極めようとしました。 

 

そして人生の幕を閉じる最後まで、

一人のカウンセラーとして生き抜きました。 

 

その師から学んだことは、今も私の臨床の土台になっています。

数ある心理療法で最も説得力のある来談者中心療法

来談者中心療法の中で私が信頼できると思ったものは、クライエントを尊重し、

クライアントの立ち直る力を信頼しようとする臨床姿勢でした。 

 

出来る限りクライエントを否定せず、限りなく肯定的に接していく。 

 

クライエントの人格を尊重し、クライエントの立ち直る力を信じ切る。 

 

そうすることでカウンセリングは成果を上げやすくなる。 

 

この捉え方は、私の人生観や人間観とマッチするものでした。

 

もちろん、私も他の心理学や心理療法について、

時折調べたりすることがあります。 

 

しかしそれらの専門書や関連書籍を読むにつけ、

やはり土台になるのは

ロジャースの臨床姿勢であると確信するようになりました。

ロジャーズの真骨頂は逐語検討という最強のトレーニング法

具体的には音声記録や逐語記録を用いた徹底的な検討方法でした。 

 

こうした検討方法を用いている心理療法は他にはありません。 

 

多くの心理療法はどちらかと言うと知的作業や、

感情や身体ワークに重きを置くものでした。 

 

しかし、私はそれらの心理療法にひとつの限界を感じていました。 

 

その限界とは「いくら頭で考えても、そのように心がついてこない」という現象です。 

 

やらなきゃいけないと思ってもなかなかやれない。 

 

やめなければと頭でわかっていても、どうしてもやめられない。 

 

心理的な問題のほとんどが、このようなジレンマや

葛藤にぶつかると言ってもいいでしょう。 

 

しかし、ロジャーズの来談者中心療法は、

この壁をゆっくりと壊してくれるものだと気付いたのです。 

 

言葉を介したコミュニケーションを緻密に進めていくことにより、

ついてこなかった心がついてくるようになる。 

 

言葉による意思疎通を深めていく事によって、

頭でいくら考えてもわからなかった心の問題にたどり着くことができる。 

 

どうしても前向きになれなかったクライエントの心が、

対応を積み重ねていくことによって次第に前向きになっていく。 

 

こうした変化・成長が起こる過程を、

音声や文字の記録を用いて解き明かすことができたのです。

具体的な記録(逐語)を用いたトレーニングがカウンセリングスキルを上げる

ある意味、気の遠くなるような作業でもあるのですが、

私はここに活路があるということがわかりました。 

 

そしてここに活路があると確信できるには、

やはり逐語検討作業を続けるという経験をしないとなりません。 

 

そしてもう一つ大事なことは、逐語の検討というものは、

正しい逐語検討作業を数多く経験した人間でないとできないということです。 

 

この逐語検討作業から見えてくる可能性は、正直、

想像を超えるものがあると私は実感しています。 

 

これまでいろいろな逐語の検討作業を行ってきましたが、

検討作業から発見できたものは何物にも代え難いものでありました。 

 

傾聴スキルセミナーやカウンセリングの個別レッスンでも、

この逐語検討作業や逐語を使った演習問題をやってもらっています。 

 

一度でもこの作業や演習問題を経験した人は、

言葉を通して見えてくる世界の奥深さや可能性に驚きます。 

 

言葉を通して見えてくる世界がここまでのものかと驚愕すらしています。 

 

ちなみに私はあらゆる会話の逐語検討作業ができます。 

 

ビジネスのやり取りであろうと、会社の会議であろうと、

雑談やお茶飲み話であろうと、全ての会話の逐語検討作業ができます。 

 

ですので「この会話の逐語検討できますか?」と言われて、

「できますよ」と受けて、検討作業をすることもあります。 

 

このスキルを今後、他のことに活用できないかなと考えることもありますが(笑) 

 

傾聴やカウンセリングの勉強をされるのであれば、

こうした作業を是非お勧めします。 

 

そこでなされている会話、言葉、表現などの

具体的な素材をもとに学習を進めていってほしいと思います。 

 

決して抽象的な内容や理論・ 知識だけ学んで

カウンセリングや傾聴の力がつくとは思わないで欲しいのです。

【動画】カール・ロジャーズの傾聴・共感的理解のコツ

最後にカール・ロジャーズの来談者中心療法に関して、その傾聴・共感的理解のコツについて短い動画で解説します。

実際に臨床現場でクライエントと難しい問題に取り組んできた経験と研究から

リアルに言えることをわかりやすくお話しているので、ぜひご覧ください。

 

 


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