今日一日楽しくて、それが将来につながるということ | カウンセリングかコーチングか|杉本良明(心理カウンセラー)

カウンセリングかコーチングか|杉本良明(心理カウンセラー)

カウンセリングもコーチングもその目的は結局、心が元気になることです。心を元気にする「うんちく」を書いています。


カウンセリングかコーチングか|杉本良明(心理カウンセラー)


「苦悩のない人生などない。また苦悩から逃れたところに幸せはない。本当の幸福は苦悩のなかにあって、苦悩を苦悩としない心のなかにある」


中村天風の言葉だが、この人らしい豪快な言い方だ。


小乗仏教では「一切皆苦」という言葉がある。人生は苦しみの連続だが、その苦しみと表裏一体なのが、幸福である、と仰ってるわけだ。「苦悩を苦悩としない心」が覚りだとすれば、それは静的に安定した状態ではなくて、苦悩との葛藤のなかで生まれる動的なものに違いない。


つまり、人生とは苦悩の連続だが、それが実は幸福である、ということらしい。要は「何があってもいつも幸福」、これが人生あるべき姿なのだ、私はこう理解したい。


そう考えると、今日という一日を耐え忍んで、将来の成功に備える、という発想では、人間あまり幸福になれないのは明らかだ。将来成功したあかつきの幸福感なんて、せいぜい2~3日持てばいいところなのだ。


やっぱり、今日一日が楽しくなければならないし、そのために工夫する必要がある。将来の理想のために今が犠牲になるのはよろしくない。


といって、今日一日が刹那的に楽しいだけでは、本当に楽しくはならない。人間、五感に集中すれば、一瞬は苦悩を抜け出せる。しかし、今の瞬間を生きるだけで、幸せというのも無理があると思う。それは聖人の境地であって、凡人はついていけない。


やっぱり、自分なりの将来を設計する必要は断然あるはずだ。今日一日楽しくて、それが将来につながるのがベストだ。


凡人が苦悩を苦悩としない心を持つには、今日一日楽しくて、それが将来につながるという設定(つまり人生設計)が不可欠なのだと思う。それでこそ、苦悩のなかにあって幸福を無理なく感じることができるのだ。