いつでも旅に出たい

いつでも旅に出たい

プロのオンライン家庭教師&塾講師であり、現役の編集・ライターです。家庭教師は主に「マナリンク」で稼働。
https://manalink.jp/teacher/11617
授業での気づきなどを書いています。

限られた文字数の中で、自分の意見を書く小論文。

決められた紙面の中で、写真や文章を魅力的に配置する雑誌。

 

この二つはまったく異なる分野のようでいて、

実は共通点があると考えています。

 

その共通点を5つ、ピックアップしてみました。

 

 

①「企画」を立てる(テーマ・ターゲット)

 

雑誌を作るとき、まず決めるのは

「誰に、何を伝え、どう動いてほしいか」です。

 

小論文もほぼ同じ。

小論文に置き換えると、

 

ターゲット:出題者(大学の先生)

ゴール:「この受験生は我が校にふさわしい」と思わせること

 

となるでしょうか。

 

ここがブレると、どんなにアイデアが斬新でも

企画はボツになってしまいます。

 

 

②「取材」と「セレクト」(リサーチ・要素抽出)

 

次に欠かせないのが、リサーチ・裏どりです。

 

膨大な資料を集めて精査し、

ときには足を運んで自分の目で確かめ、

その中から誌面に載せるべき情報を

決め込んでいきます。

 

情報(ネタ)や選定が良くないと

編集長や先輩編集者にやり直しを命じられます。 

 

小論文でも、蓄えてきた知識や課題文の中から、

論証に必要となる要素をピックアップし、

どの情報を使うかセレクトする作業が欠かせません。

 

 

3. 「ラフ」を描く(デザイン・構成)

 

編集者は、1ページまたは見開き2ページの空間に、

「ここに写真を、ここにコピーを、ここにはあしらいを」と

ラフ案と呼ばれる下書きを描きます。 

 

このラフ案は、まさに小論文における「構成メモ」。

 

「限られた文字数(スペース)」の中で

意見、根拠、例示、結論の要素を配置し、

読み手が迷子にならない論証を考えます。

 

小論文は序論・本論・結論の型が決まっています。

 

4. 「発注」して「ピース」を集める
 

雑誌では、カメラマンやライター、デザイナーなどに

素材を依頼しますが、

小論文ではその何役も自分でこなします。

 

写真:説得力のあるエピソード

文章:論理を繋ぐ的確な言葉

デザイン:読みやすく伝わる段落構成

 

これら一つひとつのピースが揃って、

説得力が生まれます。

 

 

5. 「読者の行動」を促す(クロージング)
 

「この服が買いたい!」

「ここに行きたい!」

と思わせるのが雑誌の力。 

 

小論文の出口も同じ。 

 

読み終えた瞬間に、採点者が

「この子の考えをもっと詳しく聞いてみたい(合格させたい)」

という欲求を抱くかどうか

ではないでしょうか。

 

 

「書くことがない」

「書くことが整理できない」

という悩みは小論文ではあるあるです。

 

それはまだ「編集」の技術を

習得できていないだけとも言えます。

 

こうして書き出すと

生徒がどこでつまずいているか

分かりやすくなりました。

 

編集者としての経験を生徒に伝え、

彼らが最高の1ページをプロデュースする

「編集者」の視点を持てたとき、

小論文はもっと面白く、

そして強くなりそうな予感がします。

 

 

 

 

 

子どもはどうして宿題を早くやらないのか?

 

 

その原因について調べていた時に

「先延ばしのメカニズム」に出会いました。

 

実は、子どもが勉強を先延ばしにするのは、

単に「やる気」や「根性」がないからではありません。

私たちの脳がもともと

「先延ばしするようにできている」からだとか!

 

 

狩猟採集時代、人間にとって

「目の前の食べ物を今すぐ食べる」ことが

生き残るために有利でした。

 

そのため、私たちの脳には

「衝動性(今この瞬間だけを考える性質)」が

強く刻まれています。

 

受験勉強のような「将来のため」の行動は、

脳の進化の歴史からすると、

とても苦手な分野なのだそうです。

 

 

 

組織行動学とモチベーション研究の第一人者である

カナダ・カルガリー大学のピアーズ・スティール教授は、

先延ばしの仕組みを次のような方程式で表しました。 

 

期待 × 価値 ÷ 衝動性 × 遅れ = モチベーション

 

勉強が進まない子どもに当てはめると

こんな感じでしょうか。

 

期待: 「自分にもできそうだ」という自信

価値: 「これをやると良いことがある」というご褒美の価値

衝動性: 目の前の誘惑(スマホやゲーム)への弱さ

遅れ: 報酬が手に入るまでの時間

 

「結果が出るのがずっと先(遅れが大)」で

「スマホが近くにある(衝動性が大)」状況では、

モチベーションが下がりやすいということ。

 

ここで思い出したのが

「先延ばしの報酬」の話です。

 

 

「報酬の先延ばし(遅延満足)」は、

将来の大きな成果のために

目先の欲求を我慢する心理的能力のこと。

 

心理学では、これを「満足遅延」と呼びます。

 

一方、目先の誘惑に負けて

行動を後回しにする傾向を

「現在バイアス」や「遅延割引」といいます。

 

現在バイアスや遅延割引は

もう少し複雑な仕組みだったのですね。

 

 

将来の大きな成果=受験の成功のために

役に立つのは当然「報酬の先延ばし」の能力。

 

1970年代にスタンフォード大学の

心理学者ウォルター・ミシェルが行った

有名なマシュマロ実験でも、

誘惑を我慢できた子どもたちは

学業成績や経済的成功など

ポジティブな傾向を示したとか。

 

遅延への耐性を身につければいいと思うのですが

個性もあるし子どもだから情緒も不安定だし

そううまくはいかないですよね。

 

どんな対策ができるのか。

価値にフューチャーすると、

目的意識を持つことが挙げられます。

課題が目標を達成するのに

役立つものと結びつけること。

 

価値が大きく感じられれば

先延ばしのリスクが下がるという仕組み。

 

もう一つ。

生産的な先延ばしを許容すること。

どうしても重い腰が上がらない時は、

まずは「漢字10分だけ」など、

少し楽な課題から手をつけます。

 

一旦始めると、脳が

作業モードに切り替わりやすくなります。

 

 

先延ばしには「意志の弱さ」だけでなく

「脳の仕組み」も関わっています。  
 

子どもの意志が弱いと感じるから「ただ叱る」では

負の無限ループを脱出することはできません。

 

勉強の「価値」を上げたり、

周りの「誘惑(衝動性)」を減らしたりする工夫を

一緒に考えてみては。

書き手であれば、

誰もがぶち当たる「書けない」の沼。

何度も何度も書き直しても、

納得できないときってありますよね。

 

昼は取材と原稿、夜は家庭教師

という生活を続けているのですが、

この時期に増える小論文や志望理由書の指導の中でも、

高校生たちが同じ悩みにぶち当たっています。

 

「書くことの悩み」に

職業も立場も年代も

関係ないことが分かります。

 

途方もなく高く見える「書けない」壁を

乗り越える必殺技はずばり、

 

一旦全部忘れて、一から書き直すこと!

 

これを言うと「えええええ~~!」と

一様に苦い顔をする子供たち。

 

せっかく書いたものを消すのは

勇気がいります! 

 

でも、25年の間に私は

「捨てたほうが、結局は良くなる」

という経験を何度もしました。

 

市長インタビューでの「一万字の全消し」

子育て支援政策がテーマの市長インタビュー。

10,000字という長尺の原稿を、

取材ノートを何度も往復して

書き直していました。

 

ところが、

修正を重ねれば重ねるほど、

文章は継ぎ接ぎだらけになり、

肝心の「市長のキラーワード」が

浮かび上がってこない。

 

迷路に迷い込み、

自分でも何が書きたいのか

分からなくなってしまったのです。

 

締め切り間際。

私は思い切って、

その10,000字をすべて捨てました。

 

一度リセットすることの効果

 

真っさらな画面に向き合い、

もう一度「一番伝えたかったことは何か」

だけを考えて書き始めると、

その後の原稿は驚くほど

するすると進みました。

 

「10,000字の格闘」があったからこそ、

自分の中で構成が整理され、

客観性を持って必要なものだけを

残すことができたのです。

 

勇気を持って白紙の前に立つ

 

原稿にせよ小論文にせよ、

「パッチワーク」のような

部分的な修正を繰り返すと、

主語と述語がねじれたり、

論理が破綻しやすくなったりします。

 

「せっかく書いたのにもったいない」


ーーその執着を手放したとき、

目の前が開けて

文章をスムーズに紡ぐことができます。

この爽快感は、ちょっと特別です。

 

これまでに費やした時間は、

決して無駄にはなりません。 

 

一度壊して、もう一度積み上げる。

 

その「思い切りの良さ」こそが、

実は締め切り間近のライターを救い上げ、

受験生には合格を

もたらしてくれるような気がします。

どのレベルの生徒であれ、

現代文の授業で

私が欠かさず行っているのが

「要約文の添削」です。

 

同じ文章を扱っていても、

紡ぎ出される言葉は

一人ひとりまったく違う。

 

その個性を比較して読むのが、

私のひそかな楽しみでもあります。

 

 

添削を重ねるうち、ふと

自分の朱書きを眺めて気づきました。

 「結局、私はずっと同じことを言い続けているな」と。

 

「主語と述語が噛み合っていない」

 「主語が途中で変わっている」

 「主述のねじれが起きている」

 

 

バリエーションは違えど、

指摘の根底にあるのはすべて

「主述の関係」。 

 

国語の先生として一番気になるのは、

やはりこの“基本のキ”らしいのです。

 

 

中学国語の文法でも、「文節の働き」は

 

中1の最初にさらりと触れるだけ。

そのまま二度と振り返られないことも

珍しくありません。 

 

これでは、子どもたちの意識に

上らなくて当然ですよね。

 

 

一方で、もともと書くのが得意な子には、

こうしたツッコミを入れる隙が

最初からほとんどありません。

 

多くの先生のブログを拝見していると、

国語には勉強しなくてもできてしまう

「強者」がいるそうです。

(特に女子に多いのだとか)

(私のところに来るのは国語苦手族の子)

 

彼らは、主述の関係を自然にマスターし、

呼吸するようにブレることなく

使いこなしている。 

 

だから筋の通った

読みやすい文章を書けるのでは。

 

書く力をつけるために

文法の勉強が必要な子たちへ、

この意識を届けるのが

私の使命だと思っています。

「本文を読むのが遅くて

模試で時間が足りません!

どうしたら速く読めますか?」

生徒からのよくある質問の一つです。

 

 

ただスピードを上げたいだけなら

速読法を身に付けたらよいでしょう。

 

しかし生徒たちは、

「書かれていることを理解しながら

早く読みたい!!」

と思っているはず。

 

そういうときは視点をちょっと変えて

「急がば回れ」戦法です。

 

 

  速く読むためにまず時間を測ってみる

 

一冊の問題集を用意して

数日間、時間を測って「読解」を行います。

そうすると、自分が読みながら理解するには

どれくらいの時間が必要か算出できます。

 

一冊の問題集と指定したのは

難易度も文字量もだいたい同じだから。

 

読解に必要な時間から

解くのに費やせる時間を計算して

模試や本番に臨むようにすると

“予想外”の時間不足は

だいたい解消できます。

 

ほとんどの生徒は

「解く時間が全然ない!」

となって一旦焦ります。

 

でも本番で「あちゃー!」となるより、

事前にこれだけ足りないと判明していたら、

「分からない問題を切り捨てる」という

割り切りも心づもりできます。

 

焦って冷静さを欠くのが

本番では一番やってはいけないこと。

失点につながる失敗は

ほぼ「焦り」が原因です。

 

 

 

  SNS時代の流し読みから脱却する

 

読解にかかる時間の話に戻りますと、

時間を測るお試しの際にはまず

“ゆっくりめに読む”ようにアドバイスします。

 

現代の生徒たちはSNSやYouTubeのおかげで

流し見ることに慣れてしまっています。

目に入ったところだけを読む。

倍速で映像を見てわかったつもりになっている。

チャットもLINEも即レスが当たり前。

 

じっくり見る、じっくり読むことが

意識できるようになると、

類義語や対義語を見落とすこともなくなり、

接続詞や助詞の働きを理解できるようになります。

 

一見遠回りに見えますが、

この語彙力や文法力の土台を作れば

自然に読むペースは上がっていきます。

 

己をよく知ること、

逆算してものを考えることが、

“今”という現実を変えるのに

有効な手立てとなるはずです。