続き
治療方針を提示され、こちらがいろいろと書類にサインなどして進んでいく。
この頃の細かいことは、本人のオットは全然覚えてないようで、たぶんショックや不安などで先生のおっしゃってる実務的なことは頭に入っていかなかったんだと思う。その分私は質問したり、メモをとったりはしていたが、無知な領域だけに、大半は「はい」と答えるしかなかったように思う。
そんな深刻な毎日の中でもくだらないことだけは、しっかり覚えているのが情けない。
先生がまず男性ホルモンを抑えるために早急に手術をするとおっしゃって、「コウガンを手術してから放射線治療でそれからコウガン剤でって感じなんですが、まずコウガンの・・・えっとコウガン剤治療とややこしいですね・・・つまり最初に、玉を取ります。」と言われたのが私にはおもしろくて、オットの後ろで隠れながらマスクの下で思わずこっそり笑ってしまっていた。たぶん男性なら「ひぃー」っといろいろ複雑な気持ちになる言葉なんだろうけど、女性の私には現実味がなく、ヤクザ映画で聞くような「玉を取る。」が、穏やかな先生の雰囲気と不釣り合いで、「まぁ、抗がんと確かにややこしいよね・・・」と面白かったのだ。
しかし、オットに詳しいその手術の内容を説明されるころになると、なかなか生々しく、私はその後「ある食べ物」を進んで食べることができなくなったのだった(笑)。
手術は無事に終わり、これでこれ以上男性ホルモンが出ないようにということらしい。その後は腰椎へ転移したがんへの放射線治療が始まった。
入院した当初は精神的なショックからか、出される食事を「おいしくない」「欲しくない」と食べないことが多かったのが、「体力つけないとあかんよ。」と毎日みんなで促し、ようやく入院環境に慣れだして、少しずつ食べられるようになっていたのだが、放射線治療が始まると味覚に変化が出たらしく、「何を食べてもおいしくない。」とまた食べなくなってしまった。
しかし、その後少しずつそれも改善し、食べられるようにもなり、放射線は間隔をあけて6回ほど受けた。
現在それから1年半以上経っているが、最近の腰椎の検査でも、その後がんが増えていたり他への転移もないということで、それぞれの治療が上手くいっているのだと思う。
抗がん剤治療と、足を動かすためのリハビリの話を次回。