2024年の11月。

 夏ころから腰の調子が悪い(思い返せばそれまでも腰や足の調子が少しずつ悪くなっていたような気がする)と言っていたオットが、近所の整形外科へ行って、電気をあてる治療などしたりしていたが、痛みなどがひどくなり、足の感覚がなくなってきていると言い出した。

 あっという間に階段の昇り降りが危ない感じになり、普通に歩けなくなってきた。

 少し大きな整形外科まで行ってMRIをとってもらい、そのままオットは処置室で寝ているようで、私が呼ばれた。

 担当の先生から画像を映したものを示され、「ここ(腰椎)見えます?黒いの。2つあるでしょ?これが腫瘍ね。これ、いきなりここにできたのではないよ。転移して来てる。原因はおそらく別のところにあって、まぁ、前立腺だろうね。いったん麻痺すると足の回復は難しいし、まずは早く泌尿器科へ行って原因の部分を診察してもらうこと。すぐに紹介の手続きをするから。」と言われた。

 

 私の頭の上には大きなクエスチョンマークが浮かんでいたと思う。

 「?」

 とりあえず、口から出た言葉は「・・・えっと、この腫瘍は癌ってことですか。」

 「そうなるね。」

 ドラマのような感じだ・・癌なんだ。それもいろいろまずそうな状況だ。

 「えーっと、オットには私から言うんですかね?」

 「あ、このあと説明に行くけど、まぁ・・・言ってもらっても。」

 

 ちょっとどこかへ行ってるあいだに、先生が来て、先生から言ってくれないかな・・・などとも考えたが、一応処置室へ入ってみた。

 私は相当変な顔をしていたんだと思う。

 オットがすぐに「なんて?・・・ええ話ではなさそうやな。」と言ってきた。

 「あ・・、骨のところに腫瘍があって歩けなくなってるみたい。それで原因は他にあるから他の病院へ行くことになるって。」

 なんでもないことのように一気に言ったけれど、オットは「・・・癌か・・・」とだけ言ったような気がする。

 オットがどんな顔をしていたかはまったく思い出せない。きっと私は顔を見られなかったんだと思う。

 

 今では多くの人が癌に罹患するようになって、このようなことはいくらでもあるシチュエーションなのだろうけど、いわゆる「まさか自分が」っていうのはやはり誰もが思うことなんだろうなぁ・・・と実感した。

 

 この日からオットと支えてくれるスタッフの人たちとの、いわゆる「癌との闘い」が始まった。